最近口臭が気になっていたり、人と話している最中に「口から嫌なニオイがしたらどうしよう」と心配したりしていませんか?
それには、更年期による女性ホルモンの変化が関係しているかもしれません。
今回は、歯科医師/日本口腔外科学会指導医・専門医/日本口腔科学会認定医の見立英史先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、口臭がする人がやりがちなNG習慣について教えていただきました。
■更年期女性の口臭の特徴とは?
女性ホルモンは、自律神経を整えて唾液を分泌させる働きがあり、口の中に潤いを与えて、口の粘膜を守ります。
女性ホルモンが減ると、唾液の分泌量が減り、口の中が乾きやすくなります。口の中が乾燥すると、口の中の細菌が増え、口臭の原因になるのです。
また、口の中の食べかす・プラークなどを洗い流し、綺麗に保つ働きのある唾液が減少すると、歯肉炎や歯周病を引き起こし、これも口臭の原因になります。
そのほかに、ストレスも自律神経に影響を与えるため、口臭に関連があるといわれています。
■口臭がする人がやりがちなNG習慣
では、どのような習慣が口臭を引き起こすのでしょうか。口臭につながるNG習慣と、それがなぜ口臭につながるのかを解説します。
水分をあまり摂らない
水分をあまり摂らないでいると、口内が乾くため、歯や歯茎に残った食べかすや舌苔(ぜったい)が流されず、口臭が強くなってしまいます。
舌苔には食べかすや細菌が多量に付着しており、口臭の原因の6割が舌苔によるものといわれています。
柔らかいものをよく食べている
柔らかいものばかり食べていると噛む回数が減ってしまい、これは唾液分泌量の減少につながります。
朝食を摂らない
空腹の時間が長いと唾液の分泌量が減り、口内が乾燥します。加えて、睡眠後3時間ほど経つと口内の細菌が増えるといわれており、これらが朝起きたときの口臭の原因です。
話す機会が少ない
口臭を気にして人と話す機会を避けていると、唾液の分泌量が減って口が乾き、さらに口臭が強くなるという悪循環が生じます。
また、そういった悪循環がストレスとなってしまうことも口臭の原因になります。
■ニオイをコントロール!口臭の予防法
口臭の予防法をご紹介します。
水分をこまめに補給する
水分をこまめに補給することで、口の中の乾燥を軽減することができます。
朝起きたときの口臭を防ぐためには、寝る前にコップ1杯の水を飲んでおくといいでしょう。
根菜など歯応えのあるものをよく噛んで食べる
噛む回数が増えると、唾液の分泌量を増やすことができます。
歯ごたえのあるにんじんやごぼうなどの根菜、玄米、きのこなどを積極的に食事に取り入れ、しっかり噛んで食べるようにしましょう。
朝食を抜かないようにする
毎朝、朝食を摂りましょう。
また、朝食はゼリーや乳飲料などで手軽に済ますのではなく、きちんと咀嚼(そしゃく)できるものを選んで食べましょう。
咀嚼は唾液の分泌を促すうえ、舌苔を防ぐ働きもあります。
口周りを意識的に動かす
顔の筋肉や舌などの口周りを意識的に動かすことは、唾液腺を刺激し、唾液の分泌量を増やすことにつながります。
そのためには、顔のマッサージはもちろん、よく話すことも大切です。
人と話すことで気分がリフレッシュしてストレスが解消され、口臭の軽減につながることから、一石二鳥です。
また、ガムを噛むことも唾液の分泌につながるので、即効性のある口臭予防法です。
歯科で定期的にクリーニングをする
歯科医院を定期的に受診し、歯のクリーニングをしてもらいましょう。
歯と歯茎の健康を保つことは、むし歯や歯周病、そして口臭予防につながります。
定期健診の頻度の目安は、むし歯や歯周病のなりやすさにもよりますが、おおむね3~6か月おきです。
■口臭対策には漢方薬もおすすめ
口臭予防には、根本的な体質改善を行う漢方薬も効果的です。
漢方薬は一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされており、対症療法ではなく体質の改善に働きかけることで、根本的な解決を目指すものです。
また、セルフケアを毎日続けるのは苦手という人も、医薬品として効果が認められた漢方薬なら、症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
口臭の原因としては、唾液分泌の減少やストレス、胃腸の不調などが考えられます。
口臭の改善には、以下のような作用のある漢方薬を選びます。
・水分の循環を改善して唾液分泌を増やす
・自律神経を整えて、唾液を出やすくする
・血流を改善して胃腸の働きをよくし、消化不良を改善する
口臭が気になる人におすすめの漢方薬
五苓散(ごれいさん)
水分の循環を改善することで、のどの渇きを改善します。体力に関係なく使用できます。
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
からだにこもった熱を冷まして、のどの渇きやほてりを抑える漢方薬です。体力中等度以上の人に向いています。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
気(エネルギー)の流れを整え不足した血(けつ、栄養)を補うことで自律神経に働きかけ、ストレスを和らげます。更年期症状の治療にも使われ、体力中等度以下の人に向いています。
慢性的に口臭が気になる場合には、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないことや、副作用が生じることもあります。購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師などにご相談ください。
■正しい対処方法で更年期の口臭を予防しよう!
口臭対策には、お口の中を清潔に保つことや乾燥に気をつけることといったセルフケアに加えて、漢方薬の服用もおすすめです。
正しい方法でお口のケアをして、口臭の悩みやストレスから解放されましょう!
【監修医:見立英史(みたてえいじ)先生 プロフィール】
歯科医師/日本口腔外科学会指導医・専門医/日本口腔科学会認定医。福岡市内の歯科医院および病院歯科口腔外科に勤務するかたわら、大学医歯薬学総合研究科の客員研究員として研究も行なっている。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
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