美容業界の第一線で活躍するプロフェッショナルの方に、素敵に年齢を重ねる秘訣をインタビュー。
今回は、美容エディター、ライターとして数多くの美容誌や女性誌で発信を続けている松本千登世さんにお話をお伺いします。
美肌への第一歩は「肌の声」に耳を傾け、変化に気づく目を持つこと
ーー松本さんのプロフィールで現在54歳と拝見して、とても驚きました。肌も髪もつややかですが、エイジングに関するお悩みを感じることはありますか?
エイジング、もちろんずっと感じています。ただ、私は若い頃、自分の肌が汚くて嫌いで、周りの人と比べては、ずっとコンプレックスを感じてきたんです。
肌が弱く、すぐに不安定になっていたのですが、生まれつきだから仕方ないと諦めてもいました。
30代で編集者に転職して美容担当になったのですが、取材でお会いしたある美容の大家の先生に、「あなたは自分の肌を愛していないのに、他の人に向けて美容の記事を作る資格はない」と厳しく言われました。
その言葉にとても愛を感じて、先生の言うことを信じてお手入れを続けることにしたのです。
時間はかかりましたが、自分の肌との付き合い方が徐々に分かってきて、自分が好きだなと思える肌になることができました。
自分の肌が大嫌いと思うくらい肌の状態が悪い時期があったので、エイジングによるショックが、他の人より小さいのかも知れません。もちろんエイジングは気になりますし、日々鏡を見ては落ち込みますが、あの頃の肌より今の肌が好きだと思えるんです。
ーーそんなことがあったのですね。先生に言われたことで特に印象に残っていることはありますか?
とにかく当時は自分の肌が嫌いだったので、「どうせこんな肌だから何をしても同じ」と、肌をこすったり、タオルでゴシゴシ拭いたりとぞんざいに扱っていました。
そんな私に先生が仰ったのが、「あなたの肌は本当はシルクなのに、デニムのように扱っている」という言葉でした。
美容担当になってからは、一発逆転を狙ってたくさんの化粧品を次から次に使ったり、これさえ使えば!と高いコスメをむやみに投入したり。それに対して先生から「あなたがしていることは真夜中に焼肉を食べているようなもの。本当は肌はすごく疲れていてお粥でいいと言っているのに、焼肉を無理やり食べさせている。そんな状態で肌が言うことを聞いてくれるわけないじゃない」と言われました。
ーーどちらも思い当たるという人が多くいるような気がします。そういったことを経ながら、肌のお手入れ方法を変えていかれたんですね。
そうです。肌を雑に扱っていじり壊すことも、ケアをしすぎていじり壊すこともやめました。
スタンダードでシンプルなお手入れをきちんと毎日すること。肌が喜ぶのはどういうケアだろう、と考えながらお手入れするようになりました。
シンプルなステップを踏んだ上で、足りないと思ったら足して、すごく疲れている時は省いてと、「肌の声」を聞いて調整するようにしています。
ーー疲れたけど、お手入れはきちんとしなくては…と思わなくていいんですね。
肌は全身の状態を語っていると思うので、肌の調子が悪いと思う時は身体も疲れているし、逆もそうです。メイクも落とさず寝てしまうというのは別として、疲れているのに無理にフルコースのお手入れをするよりも、最低限のケアで済ませて、その分休息に充てた方がいいと思います。
そんな時、私は化粧水を省いてクリームだけ塗って寝てしまいます。緩急をつけてその時々必要なケアができていれば、いつも完璧なお手入れにこだわらなくていいと思いますね。
自分の肌の「ちょっといい」を見つけることが、次のキレイに繋がる
ーー自分の肌をきちんと見ることが大切なんですね。
美肌になりたい、肌をいい状態に整えたいなら、まずそこから始めるといいと思います。友人からもよく美容に関する相談を受けますが、その度に、自分のいい状態を認めてあげられていない人が多いなと感じます。
朝起きて鏡を見たら肌がいつもより明るかった、手触りがもっちりしてる、というようなちょっとした変化に気づけるといいなと思いますね。
そうした肌の小さな変化に感動を覚えると、お手入れを続けるモチベーションが生まれてくると思うんです。
あとは、アドバイスに耳を傾けて、実践して、変化を感じられる素直さも大切だなと感じています。心の素直さは肌の素直さだと思うので。
昔の私がそうだったのですが、なんでも化粧品のせいにして、これは効かないから次のコスメ!という風にしていると、肌が全てを跳ね返してしまい、何を使っても効いてくれません。素直に化粧品の良さを知ろうとすることも、スキンケアする上で必要だと思いますね。
ーーたしかに、自分が選んだ化粧品を信じていなければ、何を使っても効果を感じられないかもしれませんね。そんな松本さんが信頼して使い続けている、日々のスキンケアに欠かせないコスメを教えてください。
クレンジングミルクが私の肌を変えてくれたコスメ。職業柄、色々なコスメを試しますが、肌が疲れた時に安心して戻れる存在として、常にクラランスのクレンジングミルクをスタンバイさせています。クレンジングミルクを拭き取るトーニングローションもクラランスのものを愛用しています。
エイジングによる肌の変化を感じている人や、肌が不安定になりやすかったり乾燥しやすかったりする人は、一度ミルクやクリームのクレンジングを試してもらいたい! ミルクやクリームのクレンジングはソフトに肌になじんで、こすりすぎを防ぐことができますし、トーニングローションで拭き取る方法はコットンで汚れ落ちを確認できるので、洗いすぎによる乾燥を起こしにくくなると思いますよ。
長年、美容の仕事に携わっていて、洗いすぎ、落としすぎで肌の調子を崩している人が非常に多いと感じています。
「丁寧に」「きちんと」というのは、ともするとやり過ぎに繋がることも。
いい意味で「いい加減」を知るきっかけにも、ミルククレンジングはおすすめですね。クレンジング後のふっくらと柔らかい肌の感触を味わうと、「肌は洗顔で変わる」を実感できるはずです。
引き算上手になった今、若い頃よりメイクが楽しい!
ーーメイクに関してはいかがですか? 若い頃と現在、変わったことはありますか?
たくさんありますね! 私の場合は、年齢を重ねるにつれてメイクがどんどん薄くなっています。最近は、自分としては頑張ってメイクして出かけたのに、会う人会う人に「メイクしてる?」と聞かれるほど(笑)
ある時、ビューラーをしっかりかけてマスカラを塗って、アイラインもバッチリ入れて、とすると目元のシワとまつ毛が交差して、シワがより目立つことに気づいたんですね。
それからは、マスカラを塗るならビューラーは使わない、アイラインを入れる時はマスカラは塗らない、という風に引き算をしながらメイクをするようになりました。眉をしっかり目に描くとぼやけた顔にならないので、最近は眉を丁寧に作って、ほかは引き算することが多いですね。
ーーなるほどー。年齢を重ねるほど、しっかりメイクしないと!と思いがちですが、メイクがエイジングサインを際立たせてしまうこともあるんですね。
私の場合、メイクを頑張りすぎると、顔の印象が古くなって老けて見えてしまうことがあります。
最近、唇にしっかり色をのせるメイクが人気ですが、この時もすべてのパーツをしっかりメイクしてしまうと、一気に古い顔になる気が……。
私は口紅に強めの色を持ってくる時は、まず口紅を塗って、それからバランスを見ながら他のパーツのメイクをしています。ベースも下地だけ塗った状態にしておいて、リップを塗ってから鏡で顔全体を見て、頬の逆三角形部分など、スポット的にファンデーションを塗るんです。
こうすると、塗り過ぎ・やり過ぎを防げるので昔っぽい顔にならず、顔全体としてバランスのいい仕上がりになります。
ーーいつもリップはメイクの最後に塗っていました。リップを先に塗る、さっそく試して見たいと思います!
若い頃はすべてのパーツを全力でメイクしても、逆に、メイクしなくても、何でもアリですし、何をしても似合いますよね。
年齢を重ねてみると、メイクをすると、顔がみるみる元気になったり、ぼやけた印象がくっきりしたり、メイクによる変化をより感じられるようになった気がします。
若い頃より今の方がメイクが楽しいし、面白い!
「つやプラ」読者のみなさんも、アラを隠さなくちゃ!という義務感や、決まった手順に縛られずに楽しんで、今の自分がいい感じに見えるメイクを見つけてもらいたいですね。
【松本千登世さん プロフィール】
美容エディター、ライター
1964年生まれ。航空会社の客室乗務員、広告代理店勤務、出版社勤務を経てフリーランスに。数多くの美容誌、女性誌で連載・特集の執筆を行う。長年にわたる美容に関する取材で得た知識と審美眼を通して綴られる美にまつわるエッセイは幅広い年代に人気。著書に『もう一度大人磨き 綺麗を開く毎日のレッスン76』(講談社)などがある。
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