多くの人が普段あまり意識することのない舌の位置。実は、安静時の舌には理想的な位置というものがあります。
舌の位置が悪いまま習慣化すると、顔のたるみやフェイスラインの崩れのほか、歯並び、口臭、いびきなどの口腔トラブルの原因になることもあります。
今回は、歯科医師/日本口腔外科学会指導医・専門医/日本口腔科学会指導医・認定医の見立英史先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、正しい舌の位置について教えていただきました。
■舌の位置が悪いと老化が早まる!?
舌には本来、理想的な位置があり、間違ったところに舌が位置していることを「舌癖(ぜつへき)」といいます。
文字通り舌の癖のことで、舌を上下の歯の間から出したり、歯に押しつけたりといったことが、無意識に習慣化されている状態です。
舌の位置が正しくないと、舌周りの筋肉が弱り、表情筋のバランスも崩れ、顔のたるみや二重あごが目立つようになります。
フェイスラインにも影響が出て、実年齢よりも老けた印象に見えてしまうこともあるでしょう。
また、舌癖は歯並びに影響したり、虫歯や歯周病のリスクを高めたり、口臭・いびきの原因になったりする場合もあります。
舌癖を解消するには、普段から正しい舌の位置を意識することが大事です。
■正しい舌の位置をチェック
まずは、正しい舌の位置を見てみましょう。
舌が正常な位置より下がっている状態のことを「低位舌(ていいぜつ)」といいます。
低位舌は、舌が下の前歯の裏側を押している状態です。舌のつけ根が後ろに下がりやすくなっていることで、気道も狭くなってしまうため、常に口呼吸になりがちです。
舌が上の歯と下の歯の間にある場合も、正しい位置ではありません。
これは「開咬(かいこう)」といい、前歯で噛み切れず、また奥歯でしか噛み合わないために歯に大きな負担がかかります。
舌の正しい位置は、上あごに軽く触れている状態です。
■舌の動きをなめらかにするエクササイズ
低位舌の原因のひとつに、加齢による舌の筋力低下があります。
そこで、舌の筋力低下を防ぐためのエクササイズ、「パタカラ体操」をご紹介します。
すぐに試せる舌の運動なので、ぜひ試してみてください。
舌の筋肉を鍛えよう!「パタカラ体操」
(1)「パ」は、しっかり口を閉じたあと、唇を弾くように意識します。
(2)「タ」は舌先を上あごにつけます。
(3)「カ」はのど奥を締め、舌を上あごの奥につけます。
(4)「ラ」は巻き舌で発音します。
順番に「パ」を8回、「タ」を8回というように、この運動を各8回×2セット行います。
テレビを観ているときなど、ちょっとしたスキマ時間にできる舌の運動なので、習慣化して舌の筋肉を鍛えましょう。
■顔のたるみを引き締めるには漢方もおすすめ
顔のたるみの対策には、漢方薬の活用もおすすめです。美容整形のように即効性はありませんが、漢方薬はからだの内側からたるみの原因の改善が目指せます。
たるみの原因は、紫外線によるダメージや乾燥、血行不良、ホルモンバランスの乱れなどが考えられます。
また、加齢による内臓や精神力の機能低下によって疲れて見える場合もあるでしょう。
顔のたるみに対しては、下記のような働きをもつ漢方薬が選ばれます。
・肌の新陳代謝をよくして紫外線によるダメージを回復する
・血行を改善して、肌に栄養を与える
・水分の循環をよくして肌に潤いを与える
・ホルモンバランスの乱れを整える
漢方薬はからだのバランスの崩れを改善し、慢性的な悩みを解決することを得意とします。
肌のたるみに関しても、体質ごとに適切な漢方薬を選ぶことで、改善が期待できます。
顔のたるみ・フェイスラインを整えるのにおすすめの漢方薬
桂枝茯苓丸料加薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)
のぼせるのに手足の末端の冷えを感じる人に。滞っている血(けつ)の巡りをよくして、肌に栄養を行き渡らせるとともに、ホルモンバランスの乱れに働きかけます。婦人系疾患、いびき、しみなどにも用いられます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
冷え症や貧血気味で疲れやすい人に。水分代謝をよくして血を補うことで、ホルモンバランスの乱れに働きかけます。婦人科系疾患全般にも用いられます。
長年にわたって顔のたるみやフェイスラインが気になる場合には、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
また、漢方薬を選ぶ際の重要なポイントは、その人の状態や体質に合っているか、という点です。
うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
■正しい舌の位置を理解して健康的な生活を!
普段、あまり意識することのない舌の位置。顔のたるみだけでなく、舌癖はからだのさまざまな不調を引き起こす原因にもなるため、放置は禁物です。
正しい舌の位置を意識するとともに、今回ご紹介した舌の運動などもとり入れながら、健康的な生活を送りましょう!
【監修医:見立英史(みたてえいじ)先生 プロフィール】
歯科医師/日本口腔外科学会指導医・専門医/日本口腔科学会認定医。福岡市内の歯科医院および病院歯科口腔外科に勤務するかたわら、大学医歯薬学総合研究科の客員研究員として研究も行なっている。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
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