「料理をもっとおいしく仕上げたい!」というとき、何にこだわりますか? 肉や魚を高いものにする? プロと同じ道具に変える? 実は「油」を使い分けると、料理の仕上がりが一気にアップするのをご存知ですか? 料理誌の編集者やフードカメラマンは、家で料理をするときにこれをやっています。といってもスーパーにある、ごく普通の油でOK。フードライターで食限定の取材歴15年以上の筆者が、「食の業界人がこだわる油の使い分け方」を紹介します。
■和・洋・中すべてに「サラダ油一本使い」はやめる
今、おうちのキッチンに油は何種類ありますか? 「料理はする方だけど、サラダ油のみ」なら、おためしいただきたいのが以下の方法。油は風味や香りに個性があり、料理に案外強く移ります。油を変えただけで料理の仕上がりがぐっと変わりますよ!
■最初にこの3本をそろえる(一番小さなビンでOK)
サラダ油一本使いの方は、以下の3本をそろえてください。コンビニだと太白ごま油がない可能性もありますが、普通のスーパーならたいてい買えます。「え、一気に3種類も!」と気後れする方も、高いものでなく、一番小さいビンでOKなので、ぜひまずこの基本の3本を。
1.ごま油
2.太白ごま油
3.エキストラバージンオリーブオイル
1.中華と和食(こってり)には普通のごま油
茶色いごま油は香りと味にコクがあり、麻婆豆腐やチンジャオロース、酢豚など中華の定番、和食はレバニラや根菜のきんぴらなどこってり系に。力強い味わいにごま油のコクが重なって、とても合います。油が勝手に料理をおいしくしてくれるかのようです。
2.和食(あっさり)には太白ごま油
太白ごま油はさっぱりした軽めの味ですが、サラダ油にないかすかな風味があり、それが料理に乗ります。白菜やもやしなどの淡色野菜の炒め物や鍋料理に使うと、とても上品で奥深い味に仕上がります。実は、和食のレシピで材料に 「サラダ油」とあれば、すべて太白ごま油に変換してもおいしくできます。
3.洋食全般・イタリアンにはオリーブオイル。でも和食の“干物”にも意外と合う!
和・中おかずはごま油・太白ごま油でまかなえますが、洋食だとさすがに味の薄い太白でも「ん?」と仕上がりの味にズレを感じます。そこで活躍するのがオリーブオイル。厳密にはピュアオイル、エキストラバージンなどランクがありますが、エキストラバージンでも手に入りやすい価格のものが出ており、ドレッシングからパスタまで全部作れてしまうのでおすすめです。
また、和食の「干物」にもどうぞ。オリーブオイルをひいたフライパンで焼くとパリッと仕上がり、しかも魚とオリーブの風味が意外にベストマッチ!
■サラダ油はこういうときに使う
ごま油やオリーブオイルを新しくそろえても、持っていたサラダ油は捨てないで。大量に油を使う天ぷらやコロッケなどの揚げ物全般に重宝します。オリーブオイルや太白も使えますが、予算が厳しい。油使い分けワザ愛用中の料理関係者も「揚げ物だけはサラダ油」にしている人、多いです。
■味だけでなく、体の調子も良くなる?意外な効果
油の使い分けをしばらく続けると「味付けは変えてないのに、最近うちのごはんはおいしい」と感じていただけると思います。しかしさらに驚くのは「なんだか体が調子いい、軽い!」と思えることです。植物油は共通して大さじ1杯約120kcalなのでやせる効果はありません。またサラダ油自体もきちんと安全性が認められている食品です。どうしてそうなるのか科学的にわからないのですが…実践している人はみんな口をそろえて言います。毎日使う調味料だからこそ、1種ではなくバランス良くいろいろな油を摂ると、体も喜ぶのかもしれません。油使い分けワザ、料理好きの方なら一度おためしください。
(フードライター&エディター 浅野陽子)
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