冬の定番料理といえば鍋。グツグツと煮える具材に、美味しそうな香りが漂い心を弾ませます。そんな鍋料理を引き立たせるこの時期の食材が、牡蠣です。乳白色の身が目を引きつけ、独特のプリッとした食感が舌を虜にします。ただ、食中毒を起こしやすい食材でもあるので、注意が必要。今回は、料理研究家の筆者が、「牡蠣鍋を安心して味わうための下処理法」をご紹介します。
■「生食用」と「加熱用」の違い
鮮度のいいものが生食用で、落ちたものが加熱用だと思われがちですが、そうではありません。違いのひとつは、獲れた海域です。保健所が指定した海域で獲れたもののみが、生食用として認められます。そしてもうひとつは、保健所の規定に従い浄化漕で浄化処理されているかどうか。以上ふたつの条件のどちらかを満たしているのが生食用で、それ以外が加熱用になります。
■加熱して縮まないよう「塩水」で洗う
牡蠣を洗う際は、浸透圧に注意しなくてはなりません。水分は、塩分濃度の低い方から高い方に移動します。真水で洗うと、浸透圧の関係で牡蠣が水を吸っていったんは膨らみますが、加熱すると縮み、旨みも外に出てしまうのです。
■「大根おろし」や「片栗粉」で汚れを取る方法も
大根おろしや片栗粉をまぶしてそのまま置いておくと、牡蠣に付着したよごれが落ちてきます。しばらくして塩水で洗い流すと、ぬめりも取れて、臭みもさらになくなります。少し手間がかかりますが、美味しく食べたいのであれば取り入れて欲しい手順です。
■85~90度以上で90秒以上加熱
牡蠣でしばしば問題となるのが食中毒です。その大きな原因となるのが、ノロウイルス。ノロウイルスは、85~90度以上で90秒以上熱すると死滅するとされています。くれぐれも、縮むのを恐れて早めに鍋から取り出さないよう、じっくり煮てから食べてください。
いかがでしたか? ノロウイルスに感染してしまうと、発熱や嘔吐や下痢などの症状に陥ります。美味しい食べものには危険がつきものです。しっかり安全に調理した上で、味わって食べてください。
(料理研究家 オガワチエコ)
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