更年期の「汗」に悩まされている人は、少なくないでしょう。
急に汗をかいたり、大量に出たりすると、不快感で毎日を楽しめなくなってしまいますよね。
管理栄養士の筆者が、更年期の汗悩みにアプローチできる食べ物と飲み物をご紹介します。
■更年期に汗をかくメカニズム
更年期は、女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、自律神経が乱れやすくなります。
自律神経は血管や汗腺のコントロールを担っているため、ここが乱れると、急に汗が出たり大量に出たりと、不調を引き起こします。
また、更年期女性は、精神的なことが発汗に影響することもあるのだそう。
イライラ感や不安感を抱くと交感神経が優位になり、緊張状態が続くことで汗をかきやすくなるといわれています。
親の介護や子供に関する家庭の問題や、仕事のプレッシャーなど、更年期は緊張や不安を抱く場面が多いことも、汗に悩む人が多い理由だといえるでしょう。
制汗スプレーなどで対症療法も可能ですが、体の内側から汗にアプローチできるとより効果的です。
■汗悩みに◎おすすめの食べ物&飲み物
汗の悩みに役立つ食べ物を4つ、具体的にご紹介していきます。
(1)トマト
トマトには「GABA(ギャバ)」というアミノ酸が含まれています。
GABAは、副交感神経を優位にすることで、神経の高ぶりや興奮を抑える働きがあるのだそう。
更年期の汗悩みは、精神的なものから来ている場合もあるため、GABAを意識して摂取することで、汗悩みを解決できる可能性があります。
GABAにはリラックス作用もあるため、ストレスで眠りにくいという人にもおすすめですよ。
トマトは夏野菜で、そのまま食べられる手軽さも嬉しいポイントではないでしょうか。
これから汗に悩む季節ですので、意識してトマトを食べてみてくださいね。
(2)黒豆
黒豆には「イソフラボン」が含まれており、イソフラボンは女性ホルモンと似た働きをします。
更年期の汗悩みは、女性ホルモンの分泌低下による自律神経の乱れが原因であるケースがみられるため、イソフラボンの摂取は汗悩みに効果的だといえるでしょう。
また、イソフラボンは、骨の中のカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きもあり、更年期から気になってくる骨の健康維持にも役立ちます。
更年期女性のさまざまな不調におすすめな黒豆には、ほかにも抗酸化作用がある「アントシアニン」や「ビタミンE」が含まれているため、あわせてアンチエイジング作用も期待できますよ。
(3)モロヘイヤ
夏野菜であるモロヘイヤには、「ビタミンE」や「カルシウム」などの栄養素が豊富に含まれています。
ビタミンEは女性ホルモンの代謝に関与していることから、女性ホルモンによる汗悩みなどの不調を改善する働きが期待できます。
また、カルシウムも豊富で骨の健康維持にも役立ち、更年期のさまざまな不調にアプローチできるでしょう。
ビタミンEは脂溶性であるため、「モロヘイヤと豚肉の炒め物」や「モロヘイヤとトマトのオリーブオイル和え」などのメニューにすると、効率良くビタミンEを摂取できるためおすすめです。
(4)緑茶
汗の臭いにお悩みの人は、緑茶がおすすめです。
汗は通常臭いがしませんが、皮膚表面の常在菌の働きによって臭いが発生することがあります。
緑茶に含まれる「カテキン」には、殺菌・抗菌作用があるため、臭いの原因となる菌の活動を抑えられる可能性があります。
緑茶を飲むときは、「2~3番煎じのものを飲む」のがポイント。
1番煎じの緑茶は最もカテキンが抽出されるように感じますが、実は1番に煎じたものはカテキンなど有効な成分が茶殻に残ってしまうのだそう。
味は薄くなりますが、2~3番煎じの緑茶を飲むことで効率よく汗の臭いにアプローチできるため、試してみてくださいね。
更年期は汗をかきやすいため、何らかの対策が必須です。体の内側からアプローチするには、ご紹介した食材&飲み物を積極的に取り入れるのがおすすめ。いずれも夏が旬であったりスーパーやコンビニで簡単に購入できたりするものばかりですので、ぜひ参考にしてください。
(フリーランス管理栄養士 今井 尚美)
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【参考】
※GABA(ギャバ) – わかさ生活
※黒豆 – わかさ生活
※モロヘイヤ – わかさ生活
※カテキン – わかさ生活※白鳥早奈英・板木利隆/監修『もっとからだにおいしい 野菜の便利帳』(2009年)高橋書店