40代・50代女性の髪のエイジングに関するお悩みの代表選手とも言える「白髪」。生え際や分け目、根元などの白髪は目立ちやすいこともあって、少しでも伸びてくると気になるという声も多く聞きます。
白髪になるメカニズムや予防する方法などについて、サロン向けのカラーリング剤やヘアケア剤などの製造販売を手がける株式会社ミルボンの研究開発部 基礎研究グループ・青山日和さんにお話をお伺いしました。
■そもそもどうして白髪ができるの? 黒髪と白髪は何が違う?
「黒髪と白髪の違いは、メラニン色素の存在の有無です。髪の色は『メラニン』という色素によってつくられており、そのメラニンを生み出しているのが『メラノサイト(色素形成細胞)』です」
「①メラノサイトが髪の色の元であるメラニンを生成し、➁髪へと受け渡す、という2ステップのいずれかが、『加齢』『遺伝的要素』『ストレス』等によってうまく進まないことで白髪化が進みます」
「また、頭皮の慢性炎症(赤み)が、白髪や細毛の原因となるという事もミルボンの研究から判明しています。頭皮の慢性炎症には、『コリネバクテリウム』という頭皮常在菌の異常増殖が関与していることがミルボンの研究でわかっています」
「頭皮には腸や肌と同様に常在菌(善玉菌、悪玉菌、日和見菌)がいて細菌群(スカルプフローラ)が存在しています。コリネバクテリウムは日和見菌で、スカルプフローラのバランスが取れている時には、頭皮の皮脂を食べて頭皮のpHを弱酸性に保つ働きをしていますが、増殖してバランスが崩れると炎症を引き起こします」
「髪を分けて見て、頭皮が青白く透明感がある色合い(画像左)なら、頭皮が健康な状態ですが、赤くなっている(画像右)場合は、炎症を起こしている可能性があります」
■白髪を減らすことや白髪を予防することはできるの?
「既にある白髪を減らすことは難しいですが、予防をすることは可能だと思います。白髪の予防には、正しいヘアケアと頭皮ケアを続け、規則正しい生活を送ることが大切です」
(1)正しいヘアケアで白髪を予防!
・シャンプー前の予洗いをしっかりすること
「まず、お湯だけである程度の汚れを落とします。シャンプーは髪ではなく地肌を洗うイメージで、爪を立てずにもみ洗いしましょう。頭皮表面の皮脂を洗い落として清潔にすることで、頭皮の炎症を予防改善できます」
・洗い残しのないようにしっかりすすぐ
「すすぎ残しもフケやかゆみを伴う頭皮の炎症を引き起こす要因になるので、しっかりとすすぎましょう。また、頭皮に必要なうるおいまで奪わないよう、すすぎの際はぬるめのお湯がおすすめです」
・ドライヤーで根元からきちんと乾かす
「髪を濡れたまま放置すると、雑菌の繁殖につながります。また、濡れた状態の髪は乾いている時よりも摩擦などのダメージを受けやすいため、今ある髪を傷めてしまうことにも」
「タオルドライで水気をしっかり取ったあと、きちんと根元からドライヤーで乾かしましょう」
・頭皮用の保湿ローションを使用する
「頭皮の慢性炎症を抑えて、頭皮環境を改善するには保湿をすることが大切なため、頭皮用ローションやスカルプエッセンスなどを使うことをおすすめします」
「殺菌効果があるケアでは善玉菌まで減ってしまうので、コリネバクテリウムだけを減らすケアが必要です」
「ミルボンでは、シソ・ローズマリー・ペパーミント・セイヨウハッカの4種の植物エキスが、コリネバクテリウムの増殖を抑えて、スカルプフローラを正常なバランスに戻していくことも発見しました」
「頭皮用ローションやエッセンスはシャンプー後、タオルドライをした状態で使いましょう。頭皮を軽くマッサージしながら、まんべんなくなじませると血行が促進されて効果アップが期待できます」
(2)白髪を増やさない生活習慣って?
・規則正しい生活&ストレスを溜めないこと
「頭皮の炎症はストレスによっても引き起こされます。また、睡眠不足や食生活の乱れも頭皮や髪に悪影響を与えます。バランスの取れた食事を心がけ、ストレスを溜め込まない工夫をすることも大切です」
・頭皮にも日焼け対策を行うこと
「紫外線は、老化につながる『酸化』を引き起こす外的要因の一つ。頭皮も帽子や日傘、頭皮にも使えるタイプの日焼け止めなどで紫外線対策をしましょう」
白髪を予防するためにも、これ以上白髪を増やさないためにも、頭皮を健康に保つことが重要だということが分かりました。次回は、白髪染めを長持ちさせるコツや、自宅で白髪ケアするポイントなどについてお伺いします。
(つやプラ編集部)
【青山 日和さん プロフィール】
株式会社ミルボン 研究開発部 基礎研究グループ リサーチャー 近畿大学大学院総合理工学研究科修士課程卒。2014年ミルボン 入社。ヘアカラーチームにて主にオルディーブブランドの開発を担当。2019年からは基礎研究グループにてエイジング毛におけるケミカル施術(ヘアカラー、パーマ)の研究や製剤分析に従事している。
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