梅雨の時期や湿気の多い日に、からだの不調を感じたことはありませんか?
それは、体内の水分バランスが崩れることで起こる「湿邪」が原因かもしれません。
今回は、湿邪による不調の特徴や対策について、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の横倉先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに教えていただきました。
■湿邪とは?
湿邪とは、体内の水分バランスが崩れて、湿気が体内にこもる状態を指します。
これにより、ホルモンバランスの乱れや自律神経の乱れ、血行不良などが引き起こされて、不調を感じやすくなるのです。
とくに更年期になると、湿邪による症状が強く出やすくなります。
湿邪の特徴をチェック
湿邪には、以下のような特徴があります。
チェックリストを使って、確認してみましょう。
□からだが重たい
□だるさを感じる
□頭が重い
□関節が痛む
□冷えやすい
□肌荒れや吹き出ものができやすい
□むくみやすい
□眠りが浅い
あてはまる症状がある場合は、湿邪による不調が出ているかもしれません。
湿邪がもたらすからだの不調
湿邪がからだに与える影響はさまざまです。
頭痛やめまい、食欲不振、睡眠の質の低下、疲れやすい、イライラや不安感が増すなどの症状がある場合は、湿邪による不調の可能性があります。
■体調不良を軽減する対策
湿邪による体調不良を軽減するために、おすすめの対策を3つご紹介します。
(1)水分を排出する食品や栄養素を摂る
体内にこもった余分な水分を排出するためには、以下のような栄養素を摂るのがおすすめです。
また、十分な水分を摂取し、からだの中の水の循環をよくすることも大切です。
カリウム
バナナ、アボカドなど、カリウムが豊富な食品は塩分排出を助け、体内の水分量を調節してくれます。
ビタミンB
豚肉、豆類、海藻類など、ビタミンBを豊富に含む食品は水分代謝を促します。
たんぱく質
肉や魚など、タンパク質の多い食材は筋肉を増やす助けをし、代謝のいいからだを作ります。
(2)からだを動かして汗を流す
適度な運動で代謝を上げ、汗を出すのも効果的です。
ウォーキングやヨガ、水泳など、自分が続けやすい運動を取り入れるのがおすすめです。
運動後は、シャワーやお風呂でしっかり汗を流し、からだを冷やさないようにしましょう。
(3)ツボ押し
手軽にできる方法として、ツボ押しもあります。
寝る前や起床時、体調が気になったときなどに試してみましょう。
足三里(あしさんり)
ひざ下の突起から指3本分下にあります。足三里は、胃の働きをよくする効果があります。水分の代謝不良は消化機能の低下から始まるとされているため、胃の働きを整えておくことが、湿邪への対策に効果的です。
労宮(ろうきゅう)
手のひらの中央付近、手をグーにしたときに薬指の先があたる部分にあります。自律神経を整える効果があるとされており、湿邪による倦怠感や眠気があるときに刺激するのがおすすめです。
三陰交(さんいんこう)
足の内側のくるぶしから指4本分上にあります。やさしくマッサージすることで血行をよくします。湿邪による冷えを感じやすい人におすすめのツボです。
■湿邪には漢方薬もおすすめ
食事や運動などの対策でも体調が改善しない、という方には、漢方薬の服用もおすすめです。
漢方薬には、湿邪による不調としてよく挙げられる、頭重(ずじゅう)やめまい、悪心(おしん)などの症状に対して効能効果が認められているものもあります。
漢方薬はからだの内側からアプローチするため、からだに湿気がこもって不調を生じやすいという体質から、根本改善を目指すことができます。
湿邪による不調は、水分代謝の低下や自律神経の乱れ、胃腸の働きの低下などが原因とされています。
湿邪による不調の改善には、以下のような働きがある生薬を含む漢方薬を選びます。
・自律神経を整える
・水分代謝をよくして余分な水分を排出する
・胃腸の機能を回復する
湿邪によるからだの不調におすすめの漢方薬
五苓散(ごれいさん)
喉が乾きやすく、汗はかくけれど尿の回数が少ない人に。
体内の水分バランスを調整し、むくみ、嘔吐、下痢、頭痛など幅広く用いられます。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
めまい、ふらつきがある人に。胃にたまった余分な水を取り去り、胃腸の働きを整えると共に、精神を安定させることで、めまい、耳鳴り、立ちくらみ、神経症、頭痛などの症状に用いられます。
漢方薬は比較的安全だといわれていますが、きちんと合ったものでないと十分な効果があらわれないばかりか、副作用が生じてしまうこともあります。
どの漢方薬が適切か見極めるには、専門家のアドバイスに従いましょう。漢方は敷居が高いと感じる方や、近所に漢方薬局や漢方クリニックがないという方には、スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談の利用もおすすめです。
■湿邪対策で更年期を快適に
湿邪の特徴や影響を理解し、食事や運動、ツボ刺激、そして漢方薬などを活用しながら対策をしてみてください。
湿気の多い時期でも天候に左右されない、美しく健康なからだを目指しましょう。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)は10万人の患者が癒されたポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
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