脇の下にニキビができてしまい、気になっている方は多いのではないでしょうか? 実はこの脇ニキビ、間違ったムダ毛のケアが原因で起こることが多いようです。
そこで今回は、脇ニキビの特徴や原因、対処法、さらに脇ニキビ以外の肌トラブルについて、皮膚科医の鈴木稚子先生にくわしくお話をおうかがいしました。脇ニキビに悩んでいる方は、ぜひ参考になさってください。
■目次
1.脇ニキビには2種類あり!
(1)赤ニキビ
(2)黒ニキビ
2.脇ニキビの原因は?
(1)毛穴の詰まり
(2)間違ったムダ毛処理
(3)汗がニキビの原因に
(4)制汗アイテムにも注意
(5)過剰な摩擦にも注意
(6)ストレスも原因に
(7)レーザー脱毛が原因になることも
3.脇ニキビ以外のデキモノの種類や見分け方、対処法
(1)粉瘤(アテローム)
(2)脂肪腫
(3)帯状疱疹
■プロフィール
鈴木稚子 先生
1994年東京慈恵会医科大学医学部卒業
同大学皮膚科学教室、国立大蔵病院皮膚科 臨床研究部を経て、2017年に六本木スキンクリニックを開院
医学博士 日本医師会スポーツ認定医 日本温泉気候物理医学会 温泉療法医 日本旅行医学会認定医
女医+(じょいぷらす)所属
■1.脇ニキビには2種類あり!
脇の下にできるニキビは、大きく分けて赤ニキビと黒ニキビの2種類があります。
(1)赤ニキビ
脇の下にできるニキビは、毛嚢炎と呼ばれています。カミソリや毛抜きなどでムダ毛の自己処理をすると、傷ついた毛穴からブドウ球菌という細菌が侵入し、ニキビのような赤いブツブツができてしまいます。毛嚢炎のブツブツは、ほとんどがニキビより小さいサイズです。
中には赤いブツブツの中心に膿が溜まるものもあります。そうすると、白っぽいニキビのように見えます。
(2)黒ニキビ
黒ニキビは、ムダ毛の処理を行なった際に毛穴を広げてしまい、毛穴に汚れが溜まることが原因です。
黒ニキビは脇だけでなく、足やデリケートゾーンのムダ毛の自己処理を行なった場合にも起こりやすくなります。
■2.脇ニキビの原因は?
脇ニキビができる原因はいくつかあります。ここでは、脇ニキビの原因をくわしくご紹介します。
(1)毛穴の詰まり
もともと脇の下は脂漏部位と呼ばれ、皮脂が非常に多い部分です。
皮脂が多いということは、その通り道である毛穴が詰まりやすいということでもあります。毛穴が詰まると、脇ニキビの原因となります。
(2)間違ったムダ毛処理
間違ったムダ毛処理を続けていることが、脇の下の皮膚の負担になり、脇ニキビの原因となっている場合があります。毛穴をふさいだり、逆に開きっぱなしの状態にするムダ毛処理が、脇ニキビを誘発するのです。
肌へのダメージ
毛抜きやワックス、カミソリで自己処理をした後の肌は、目に見えなくてもかなりのダメージを負っています。ムダ毛を自己処理すると、毛穴及び周辺の皮膚を傷つけてしまうことが非常に多いのです。
傷ついた皮膚はかさぶたのようなものを作ります。その際に、かさぶたが毛穴をふさぐこともあります。
さらに、ムダ毛を引きぬいた際に皮膚が傷つき、そこから雑菌が入り込むことがあります。傷口から肌に常在しているブドウ球菌が入り込み、炎症が起きてニキビになってしまうのです。
(3)汗がニキビの原因に
汗をたくさんかくと、脇の下の皮膚が湿った状態になります。湿った皮膚は、細菌が増えやすい環境となります。蒸れや不衛生な状況は、脇ニキビの原因となります。特に女性の場合、脇やデリケートゾーンは汗をかきやすく、蒸れることも多いので、日頃から蒸れには気をつけるようにしましょう。
使い捨てのボディーシートで脇を小まめに拭くようにするなど、脇のケアをすることが脇ニキビの予防に効果的です。夏場は脇に汗をかいても、人前にいる場合なかなか拭くことができません。通気性のよい服を着る、トイレで小まめに脇を拭くなど、しっかりとケアしてください。
(4)制汗アイテムにも注意
制汗スプレーなどの、脇汗やニオイ対策のアイテムの使いすぎにも注意が必要です。制汗スプレーは、汗の出口となる毛穴をパウダーでカバーすることで、汗を抑えるのが特徴です。このパウダーによって毛穴がふさがったままの状態になり、脇ニキビができてしまいます。
脇汗や脇のニオイ対策に、制汗スプレーは非常に頼れるアイテムですが、使用量や使用頻度、及び使用後のお手入れには気をつけた方がよいでしょう。
(5)過剰な摩擦にも注意
脇の皮膚は、薄くてデリケートだといわれています。そのため、脇に過剰な摩擦をかけると、ニキビを誘発する恐れがあります。体を洗う際に硬いナイロンタオルでゴシゴシと洗ったり、運動時などにかいた脇汗を、タオルで力強く拭きとったりすると、皮膚の表面を傷つけることがあります。
さらに、摩擦による皮膚への刺激は、脇ニキビだけでなく、脇の黒ずみの原因となります。脇を洗ったり拭いたりするときは、やわらかいタオルでやさしくおこなうようにしましょう。
(6)ストレスも原因に
ストレスが溜まることで、脇ニキビができる場合もあります。ストレスが溜まると、肌が荒れやすくなったり、免疫力が低下したりします。
ストレスにより肌が弱ると、ちょっとした傷でも悪化することが多く、ニキビもできやすくなってしまいます。なるべくストレスは溜めないようにすることが大切です。
(7)レーザー脱毛が原因になることも
レーザー脱毛をおこなうことが、毛嚢炎を引き起こす場合もあります。毛嚢炎ができやすい場合は、脱毛レーザーを施術してもらっているクリニックに相談し、適切な処置をしてもらうようにしましょう。
■3.脇ニキビ以外のデキモノの種類や見分け方、対処法
脇は、ニキビ以外にもさまざまなトラブルが起こりやすい箇所です。ここでは、脇ニキビと間違えやすいデキモノの種類や原因、対処法についてくわしくご紹介していきます。
(1)粉瘤(アテローム)
粉瘤(アテローム)はニキビと違って、かなり大きくなり、痛みを伴うのが特徴です。アテロームは、もともと毛穴が壊れて袋の形の腫瘍ができてしまった状態です。そして、袋の内部で菌が繁殖し、腫れあがってくるのです。
脇のムダ毛を自己処理している方は、アテロームができていることがよくあります。
ニキビを潰すのは厳禁
脇ニキビができると違和感があり、ニキビが気になって潰してしまう方がいます。また、ニキビは潰せば早く治ると勘違いしている方もいます。しかし、ニキビを無理やり潰すのはよくありません。
ニキビを潰すことによって逆に皮膚を傷つけ、化膿を引き起こすなど状態を悪化させたり、ニキビ跡につながったりすることがあります。ニキビを安易に潰すのはやめましょう。
また、ニキビを潰すことで皮膚に刺激を与えて、皮膚の黒ずみの原因となることもあります。
はやめに病院へ
膿が溜まって、アテロームがかなり大きくなると、病院に行っても完治にかなりの日数を要します。
ニキビができたなと思ったら、早めに病院へ行きましょう。皮膚の状態に合ったお薬を処方してもらうなど、適切な処置をしてもらうことが、早めに治す近道です。
治るまでは皮膚を休ませて
ニキビが治るまで、皮膚への負担や刺激は避けて、皮膚を安静にしておきましょう。脇のムダ毛処理や制汗スプレーの使用、タオルなどの摩擦、皮膚が擦れてしまう衣類の着用は、できるだけ控えてください。
どうしてもムダ毛を処理したい場合は、電気シェーバーなど、皮膚に刃が直接当たらないものを使用し、ニキビの部分を避けながら慎重におこなうなど、工夫をするようにしましょう。
脇に汗をかいた際は、冷やしたぬれタオルでそっと抑えるように拭くとよいでしょう。
ニキビができているうちは、いつも以上に皮膚を清潔に保つように気をつけてください。
(2)脂肪腫
脂肪腫は触っても痛みを感じず、少しずつ大きくなるのが特徴です。小さいうちは脇にできても気づかないことが多く、親指大以上になってはじめて脇に何かできていると気づくことがほとんどです。
悪いものではありませんが、脇の下には多くの神経や血管が通っているので、その部分が圧迫されることにより、何らかの症状がでてくることがあります。
あまりに大きいしこりになってきたら、早めに病院に行き、適切な処置をしてもらいましょう。
(3)帯状疱疹
帯状疱疹の場合は、脇だけでなく、広い範囲に痛みを伴う赤い発疹がでてきます。びりびりとした表面の痛みが広範囲に出てきたら、早めに皮膚科を受診しましょう。
帯状疱疹の場合は、ウィルスの内服薬をすぐに飲み始めると、悪化することなくおさまってくることがほとんどです。
間違ったムダ毛の自己処理は、脇ニキビをはじめ、さまざまなトラブルの原因となります。脇をきれいにしたいと思っておこなった処理が、肌を傷めるのでは本末転倒です。人に見られても大丈夫できれいな脇を維持するために、正しいケアをおこないましょう。
また、何か異常を感じたら、早めに病院に行くことも大切です。肌にやさしいケア方法で、脇美人を目指しましょう。
(美容ライター 大中千景)
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