ふと鏡を見て、おでこのシワの深さに驚いたことはありませんか? おでこのシワは、シワができる部位の中でも特に目立ちやすいと感じる方も多いと思います。
今回はそんなおでこにシワができてしまう原因とその対処法をご紹介いたします。
また、美容皮膚科医の宇井千穂先生にお伺いして、美容皮膚科でできるケアとおでこのシワ予防法について教えていただいたのでご紹介いたします。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
■目次
1.おでこのシワのデメリット
(1)老け顔に見えてしまう
(2)メイクのノリが悪くなる
(3)放っておくと、シワが深くなる!?
2.おでこのシワの種類と原因
3.おでこのシワの対処法
4.皮膚科医に聞きたい!おでこのシワは完全に治せるのか?
5.皮膚科医に聞いた!おでこのシワの予防法
(1)肌の乾燥とバリア機能の重要性
(2)正しいケアでシワ対策
■1.おでこのシワのデメリット
顔の中でも広範囲を占める「おでこ」。おでこにシワができれば目立ってしまうのも当然です。
おでこにシワができることによって起こるデメリットをご紹介いたします。
(1)老け顔に見えてしまう
おでこにシワがあると、老けた印象を与えます。それはシワができることによって、肌の衰えを視覚的に感じさせてしまうためです。
例え小さなシワであったとしても、老け顔に見えてしまうこともあるでしょう。顔の広範囲を占めるおでこにできるシワは、目を引きやすいという点から、細かなシワでも老け顔に見えてしまうのです。
(2)メイクのノリが悪くなる
メイクのノリを悪くする原因のひとつが「おでこのシワ」です。シワがあると、ファンデーションが滑らかに馴染みません。シワ部分にファンデーションがたまることでムラになったり、粉をふいてしまうこともあります。
「メイク直しを何度もしなければならない」などの手間が増え、余計に時間をとることにもなるでしょう。
(3)放っておくと、シワが深くなる!?
「まだ小さなシワだから」と、油断するのは禁物です。おでこのシワは、徐々に皮膚に深く刻まれ、シワを濃く大きくさせてしまうことがあります。
シワが深くなればなるほど、改善がむずかしくなると考えていいでしょう。
■2.おでこのシワの種類と原因
(1)乾燥が原因
肌にさまざまな悪影響を及ぼす「乾燥」は、おでこにシワを刻む原因となります。乾燥が原因で刻まれるおでこのシワは、ちりめん状の細かいシワがほとんどです。
この細かいシワは、肌の表面だけに刻まれていることが多く「浅いシワ」です。浅いシワは、保湿などのスキンケアで改善される場合があるため、見つけたら早めに対処しましょう。
(2)普段の表情が原因
「よく眉間にシワを寄せる」「視力が弱く、細目で見る」といった表情が原因で、おでこにシワが刻まれる場合もあります。
普段からクセとなっている表情なので、比較的肌の深い層まで刻まれている可能性が高いシワです。
おでこにできた大きな横ジワや眉間のたてジワなどは、普段の表情が原因といえます。
(3)紫外線が原因
紫外線は肌表面へのダメージ以外にも、肌を支える「真皮層」にもダメージを与えます。真皮層は、肌にハリやうるおいを与える根源ともいえる「コラーゲン」や「エラスチン」などの生成を行う大切な場所です。
そんな大切な場所にダメージがあれば、肌のハリやツヤが損なわれていきます。紫外線の影響でハリが損なわれた肌に、シワができるということです。
紫外線によってできたシワは、乾燥によるシワと似ており、ちりめん状の細かい形状が特徴です。
(4)スマートフォンやタブレットが原因
スマートフォンやタブレットを多く使用することによっても、おでこにシワが刻まれるかもしれません。
スマートフォンやタブレットの画面を見る際、自然と目線が下がりますが、その目線が下がった状態を長時間続けると、目の周りの筋肉が衰え、おでこの筋肉に多く負担がかかり、おでこのシワの原因をつくります。長時間画面を見ることでできるおでこのシワは、若年層にも多い種類のシワです。
また、目線以外に、姿勢もシワに関係していることがあります。スマートフォンやタブレットを見る際、猫背のように背筋が丸まっている状態になると、リンパの流れを悪くしかねません。
リンパの流れが悪くなれば、顔に老廃物が溜まりやすくなるので、むくみやシワの原因となります。
(5)加齢によるもの
加齢により、コラーゲンやエラスチンなどの生成が減ることで、おでこにシワができることがあります。
また、加齢とともにコラーゲンやエラスチンの生成を促している「女性ホルモン」が減少することも、シワができる原因となります。
コラーゲンやエラスチンなどが減ること以外に、加齢により衰えた筋肉が皮膚を支えられなくなることも、おでこのシワをつくる原因だといわれています。
(6)頭皮のたるみが原因
意外にも頭皮のたるみがシワの原因になる場合もあります。頭皮と顔の皮膚はつながっているため、頭皮の状態が悪ければ、おでこにも影響がでると考えられます。
ストレスや睡眠不足などが影響して頭皮の血行が悪くなると、皮膚が硬くなります。すると、おでこの筋肉の動きが悪くなり、それが原因でシワをつくりだしてしまうのです。
また、老化などによって垂れ下がった頭皮も、おでこにシワを刻んでしまいます。
■3.おでこのシワの対処法
ちょっとしたケアをすることで、シワ対策ができます。基本的なものから、マッサージ法、美容皮膚科などでできるおでこのシワ対策法をご紹介します。
(1)基本の対策法
保湿が第一
シワに対して有効な対処法は、なんといっても「保湿」です。ちりめん状の細かいシワであれば、保湿によって改善されることもあります。
コラーゲンやヒアルロン酸など、保湿力の高いアイテムを選びましょう。コラーゲンの生成を補助してくれるビタミンC配合のアイテムもおすすめです。
クレンジング&洗顔は優しく
メイクを落とす際、ごしごしと強くこするとシワを悪化させてしまいます。
特に目元は、皮膚が薄い場所とされているので要注意です。目元から優しくクレンジングすることで、おでこへの負担を減らすことができます。目元専用のクレンジングなどを使って、効率的に優しく汚れを落としましょう。
洗顔は力を入れすぎず、優しく行うのが大切です。
表情に注意
普段からよくする「表情」を思い浮かべてみてください。その中に、おでこに負担がかかる表情はありませんか?
細目や上目使い、困った表情などはおでこにシワをつくる原因となるため、あまりしないように心がけましょう。
(2)紫外線対策
季節問わず、紫外線対策は欠かせません。メイクをする際はもちろん、メイク直しなどの際にもしっかりUV対策を行いましょう。
ミストタイプの日焼け止めは、持ち歩きやメイク直しの時に便利です。忘れがちな頭皮もしっかりUV対策を行いましょう。
(3)フェイスエクササイズ
おでこの筋肉の「前頭筋」を鍛えることで、シワ対策ができます。
また、まぶたの筋肉を鍛えることも、おでこの筋肉の負担が減るので、シワ対策に有効です。目を開けたり閉じたりするエクササイズで、まぶたも一緒に鍛えましょう。
(4)頭皮マッサージ
シャンプーの際に、指の腹を使って頭皮マッサージを行いましょう。耳付近の頭皮をほぐしたり、頭皮全体を上下左右に動かしてほぐします。
頭頂部をぐるぐるとマッサージする方法も効果的です。ときには、美容院でヘッドスパの施術を受けて、特別なケアをしてみてください。
(5)専門機関での対策法
ヒアルロン酸注入
美容皮膚科などで行われる「ヒアルロン酸注入」は、できてしまったシワに有効な対策法です。症状によって、違う硬さのヒアルロン酸を注入し、ハリを取り戻します。
半年から1年ほどかけて体内に吸収されるため、回数を重ねて行う方も多い治療法です。ヒアルロン酸以外に、ボトックス注入法もあります。
レーザー治療
レーザー治療は、真皮層を刺激しコラーゲンの生成を促したり、肌を新しいものに入れ替えたりする一般的な治療法です。回数を重ねることで徐々に効果が表れます。
費用は多くかかる傾向にありますが、より効果的にシワ対策できる方法のひとつです。
外科的手術
注入法やレーザー以外に、手術によってシワを改善する方法があります。たるんだ皮膚を切り取る方法が一般的です。
しかし、腫れなどの症状が現れる「ダウンタイム」が長くあることがデメリットといえます。
■4.皮膚科医に聞きたい!おでこのシワは完全に治せるの?
できてしまったシワ、これからできるかもしれないシワに悩んでいる方も多くいるのではないでしょうか。そんなシワで悩む方のために、美容皮膚科でできるケアとおでこのシワ改善の可能性について、美容皮膚科医の宇井千穂先生にお伺いしました。
(1)シワとは?
シワとは、皮膚に不規則な線状の凹凸ができることです。一般的に、シワが小さいほど「肌表面の浅い部分にあるシワ」で、大きいほど「深く広範囲にあるシワ」となります。
おでこや口元の大きなシワは、表皮部分だけでなく、その下の真皮結合組織の部分にまで関与しています。おでこのような顔の上半分のシワは、激しい眉毛の上下運動などを繰り返すことによってつくられることが多いシワです。
(2)シワができるメカニズム
表情をつくりだすことで細胞と細胞の間に存在する、主にコラーゲンで生成された網状層の膠原繊維束(こうげんせんいそく)の均一を乱していき、そこでまばらになった部分に深い陥凹ができます。この、深い陥凹ができることで「大きなシワ」となります。
顔面に発生するシワは、表情筋の運動が繰り返し行われることや加齢や環境で、次第に皮膚の弾力や柔軟性が低下していくことにより発生します。弾力や柔軟性が低下した皮膚に、シワが固定されてしまうことが原因です。
(3)シワの主な原因
加齢によるシワ
加齢とともに皮膚の表皮部分は薄くなっていき、表皮と真皮の間の部分の「うねるような凸凹」が平坦化してきます。その下に存在する真皮部分も委縮し、真皮を構成しているコラーゲン線維などが減少していき、エラスチンの走行は不規則になることで、シワが形成されていきます。
環境の変化によるシワ
シワは加齢だけでなく、環境によっても増強されます。紫外線を浴びることによって、表皮の角層の水分が低下し、真皮層で皮膚の弾力の低下が引き起こされます。
肌の水分と弾力が低下した結果、シワが育成されていくのです。
(4)シワは完全に治すことができるの?
シワがいったんできると、それを治すことはむずかしいといえます。ですが、小さく浅いシワをきちんとケアすることで、シワを軽度に改善することは可能です。
生活習慣の中で保湿を行い、紫外線対策をするなどしっかりとケアをしていきましょう。
(5)美容皮膚科でできるシワ対策
治療法でのケア
シワが深いものに関しては、いろいろなものが美容皮膚科で開発されています。例えば、美容整形でシワのある部分の皮膚のたるみを取り除くという外科的な方法もあります。
しかし、だれもが手術でシワを除去することを望んでいるわけではありません。手術より気軽にできるとされている「ボトックス注射」で、シワをつくる表情筋の動きを鈍くする方法や、シワの溝部分を中心に「ヒアルロン酸」などで埋める方法などが一般的なシワ改善治療法になりつつあります。
そのほか、表皮の角質部分を化学剤で取り除く「ケミカルピーリング」であったり、「レーザー療法」で細かいシワの改善を行ったりするのも、シワを改善する治療法のひとつです。
医薬品でのケア
トレチノイン療法で使用される「トレチノイン」は、ビタミンA誘導体のひとつで化粧品ではなく医薬品です。トレチノインは、ターンオーバーを改善する成分で、くすみや肌の質感が良くなる効果が期待できる医薬品です。
基底層で生まれた新しい細胞は、下から徐々に表面に押し上げられて、最後は垢となって剥がれ落ちるのですが、その一連のサイクルのことを「ターンオーバー」と呼びます。ターンオーバーは新陳代謝による、肌の生まれ変わりを表す言葉です。
ほかにも、ビタミンC・ビタミンE・βカロチン・レチノール(ビタミンA)・アスタキサンチン・リコピン・エストラジオールなどが、シワの改善に効果的な成分です。
■5.皮膚科医に聞いた!おでこのシワの予防法
食事・スキンケア・UVケア・マッサージ・エクササイズなど、おでこのシワの予防に効果があると思われるケア法は多くあります。医師がすすめるシワに効果的なケア方法と一緒に、注意しておきたい点などについて詳しくご紹介いたします。
シワへの対応は、年齢的な老化と環境によるものに対しての防御策が大切です。
化粧品で代表的なのは、ビタミンA類である「レチノール」などがあげられます。また、シワを引き起こす環境を回避するために、スキンケアで紫外線や乾燥からお肌を守ることが欠かせません。もしも、紫外線や乾燥などによって肌がダメージを受けた際には、速やかに対処しましょう。
(1)肌の乾燥とバリア機能の重要性
乾燥とはどんな状態?
乾燥肌とは、表皮の角質層の水分保持機能が低下し、皮膚の水分が減少している状態を指します。皮脂分泌量の低下や角質層の細胞間脂質であるセラミドや、天然保湿因子が低下することが乾燥肌の原因です。
乾燥が進むと、皮膚のバリア機能が損なわれることもあるため、きちんとした対策をとることが大切です。
バリア機能とは?
バリア機能とは、主に細菌や汚れ、紫外線や乾燥などの様々な外的要因から身体の中を守ってくれる働きのことです。また、身体の内部から大切な水分などを外へ出さないようにする役割も担っています。
過剰な紫外線や乾燥の刺激を受け、皮膚の表面から水分が損なわれると、皮膚表面がカサつき、細かいシワとヒビ割れができてしまいます。
(2)正しいケアでシワ対策
保湿は重ね塗りでしっかりと行う
角層の保水機能を補うため、保湿はきちんと行いましょう。化粧水だけでは蒸発してしまい充分な保湿ができない時は、乳液や美容クリームなどを重ね塗りします。
角質を剥離
硬くなった角質の重層化を改善することも、シワ対策として効果的です。角質の重層化を改善するために、「角質剥離剤」を使う場合もあります。
角質剥離剤を使う「ケミカルピーリング」は、皮膚に化学剤を塗布し、皮膚を剥離させる治療法です。肌の奥にある、次の皮膚の再生を目的としたもので、シワ以外にもさまざまな肌トラブルの改善に用いられます。
ケミカルピーリングは、シワの深さなどの効果にも影響があるため、美容皮膚科できちんと診断を受けたうえで施術を受けましょう。
紫外線対策
紫外線は表皮細胞のDNA分子に影響を与え、ダメージを生み出します。
紫外線対策の代表として挙げられるのが日焼け止めを使用することです。日焼け止めには、様々なタイプがそろっています。クリームやローション、スプレーなどの肌に塗るタイプやパウダー、シートタイプのものがあり、ライフスタイルに合わせて選ぶことが可能です。
紫外線防止対策は、日焼け止めを使用することだけでなく、「ツバの広い帽子をかぶる」「日傘をさす」「木陰を利用する」などの対策も同時に行うとよいです。
マッサージ
マッサージをすることによって、血行やリンパの流れが良くなります。するとくすみがとれて肌が明るくなる効果や、むくみ改善効果も期待できるでしょう。
ほかにも、毛細血管の血流を良くして肌の新陳代謝をあげるので、ターンオーバーを活性化する効果も期待できます。
毎日のちょっとした対策で、シワを予防・改善することができるかもしれません。まずは、小さなシワも見逃さず、基本のケアをしっかり行うことが大切です。早めのシワ対策で、いつまでも若々しい肌を目指しましょう。
(美容ライター/子育てママライター 平田ちかこ
美容クリニックを有するエステサロンでの勤務を活かし、幅広いジャンルで活動中のママライター)
■宇井千穂 先生 プロフィール
全日空客室乗務員を経て、医学部を卒業し、現在、皮膚科医、美容皮膚科医として勤務。
皮膚科医としては、活性酸素とSODの研究による天然の治療薬を使い、アトピーを中心とした皮膚疾患を診ている。
女医+(じょいぷらす)所属
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