出汁を取ったり、薬味のように使用したり、はたまたそのまま食べたりと、料理界の名脇役である鰹節。さまざまな種類がありながらも、きちんと使い分け方を知らない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、料理研究家である筆者が「の種類による違いや、使い分け方について、くわしくご説明いたします。
■1:生利節(なまりぶし)
生の鰹を解体し、蒸したり茹でたりして処置を施したもので、鰹の一次加工食品です。完全に乾燥しきっている状態ではないため、特に加工を必要とせず、そのままいただけるのが特徴です。
そのまま、みそ汁や煮付けの具材に!
一般にイメージされる薄くスライスされたふわふわとした鰹節と違って、大きなかたまり状態になっているので、みそ汁や煮付けの具材として使用するのもオススメです。
■2:荒節(あらぶし)
鰹節の多くは製造過程の最後に日干ししてカビを付けますが、それを行う前の状態が荒節です。鰹の本節や亀節(形の違いにより呼び分けます)を煮た後、いぶして寝かせる作業を繰り返して作られます。
削り節の原料になっています!
独特の風味が強く残るため、深い味わいと程よい酸味があるのが特徴です。スーパーマーケットなどで販売されている削り節は、主にこの荒節を原料としています。
■3:枯節(かれぶし)
鰹節の製造最終行程であるカビ付けを行って、熟成させたものを指します。カビが鰹節内の水分を吸い上げ、雑味の原因となりやすい脂肪分を分解するため、旨味が凝縮されているのが特徴です。
ご家庭で削りたい人におすすめ
高級蕎麦店などで出汁取りに使用されることの多い枯節。自分で削り節を作りたい方にオススメです。
■4:本枯節(ほんかれぶし)
カビ付けを何度も行ったもので、「極上の鰹節」として高級店で使用されています。鰹節内の水分がしっかり蒸発しきるため、旨味がとても凝縮されているのが特徴です。
「最高峰」を味わいたい人に!
製造から最低でも半年以上かかる本枯節は、「●年もの」と表記されたものが高額で販売されています。出汁に使用すると、雑味がなく、上品な旨味だけを抽出することができます。
■5:亀節(かめぶし)
亀の甲羅に似ていることからその名が付いたのが亀節。本節のように背と腹にわけず、三枚に下ろした鰹の半身を加工して作られています。
深いコクが特徴!
味自体は、原料が同じである本節とそれほどの差異は認められませんが、血合いが残されたまま加工されるため、深いコクが特徴的です。
いかがでしたか? 普段何気なくいただいている鰹節にも、種類の違いによる特徴があります。今回の記事を、新たな鰹節の使用や購入に役立てていただけますと幸いです。
(料理研究家 オガワチエコ)