年齢を重ねて40・50代になると、更年期に差し掛かります。更年期は、血圧が上がりやすい傾向にあるというのをご存じですか?
ホルモンバランスが崩れ、何かと心身トラブルが増えてくる40・50代。高血圧予防は、気づいたときにすぐ取り掛かることが重要です。
今回は、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、40・50代がすべき高血圧予防について教えていただきました。
■更年期に気をつけたい高血圧とは?
高血圧は「収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上」になっている状態と定義されており、日本人のうち約4000万人が該当しています。
その名の通り血圧が高まる病気で、悪化すると肩こりや頭痛、めまいなどが引き起こされやすくなります。
■なぜ、更年期に高血圧になりやすいの?
更年期は高血圧になりやすいといわれていますが、その理由は何でしょうか。
年齢を重ねて更年期を迎えることにより、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが減少し、ホルモンバランスが崩れていきます。
エストロゲンは血管を拡張させ、血圧を下げる役割を担っているため、減少することで高血圧になりやすくなるのです。
■早めの対策がカギ! 高血圧予防術5つ
高血圧予防のカギは「早めの対策」です。手軽にできる高血圧予防術をご紹介します。
減塩を意識する
高血圧予防には「減塩」が重要なポイントになります。
食塩を摂取しすぎると血液中のナトリウムの濃度が上昇し、喉が渇くようになります。水を飲むと血管の中の血液量が増え、血圧が高くなるのです。
あくまで減塩のため、まったく塩分を摂取しないようにする、というわけではありません。外食の頻度を減らす、スナック菓子を控えるなど、取り組みやすいところから始めましょう。
リラックスできる時間を作る
ストレスなどが原因で緊張状態になると、血圧が上昇しやすくなります。
適度な温度のお風呂にゆっくり浸かる、趣味を楽しむ時間を作るなどでストレスを溜め込まないようにし、リラックスできる時間を増やすのも重要です。
睡眠環境を見直す
慢性的な睡眠不足が蓄積されていくことにより、からだや心のバランスが崩れてしまっている状態を「睡眠負債」と呼びます。
睡眠負債がたまっている状態が続くと、高血圧のリスクが高まります。
早く寝るようにするだけでなく、就寝前はスマートフォンの使用を控える、寝室の照明を温かい色合いにするなど、睡眠環境を整える必要があるでしょう。
ふくらはぎをマッサージする
「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎをマッサージして、全身の血の巡りをよくすることもおすすめです。
血の巡りが改善することで心臓の負担を減らせるため、高血圧のリスクも下がります。
漢方薬を飲む
高血圧には、漢方薬を飲んでからだの内側からの改善を目指すというのもおすすめです。漢方薬は「高血圧症」の症状に効果が認められており、内科などで処方されています。
高血圧の原因は、加齢や血行不良、ストレスや不眠による自律神経の乱れにあると考えられます。
改善するには、「血圧降下作用」で血圧を下げる働きがある漢方薬を選びましょう。また、「加齢によるホルモンバランスの乱れを整える」「血流をよくして全身に酸素や栄養を行き渡らせる」「ストレスで乱れた自律神経を整える」「睡眠の質を上げてストレスを改善する」などの働きがある生薬を含む漢方薬を体質や症状に合わせて選び、降圧薬を飲まなくても血圧が上がらない状態を目指します。
漢方薬は根本からの改善を得意としているので、単に血圧の数値を下げるだけでなく、頭痛や肩こり、のぼせなど高血圧に伴うさまざまな不調も改善できるでしょう。
さらに、漢方薬は自然由来の成分でできているため、一般的に副作用が少ないとされています。
更年期の高血圧改善におすすめの漢方薬
七物降下湯(しちもつこうかとう)
体力が中等度以下の方に向いています。「血」を補って巡りをよくすることで、高血圧の他、高血圧に伴うのぼせや肩こり、耳鳴りにもアプローチできる漢方薬です。
大柴胡湯(だいさいことう)
比較的体力がある方に向いています。「気」の巡りをよくすることで、高血圧や高血圧に伴う肩こり、頭痛、便秘にアプローチできる漢方薬です。
高血圧は、漢方薬を服用してすぐに効果を感じられることもあります。慢性的に高血圧やそれに伴うのぼせや肩こりがある場合には、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
漢方薬にはさまざまな種類があるため、「何を選んだらいいかわからない」と感じている方もいるのではないでしょうか。自分に合った漢方薬を選ばなければ、思ったような効果を得られないどころか、副作用が生じてしまう恐れもあります。
薬のプロがあなたのために漢方薬を選んでくれるようなオンラインサービスもあるため、試してみるのもいいでしょう。
■更年期の高血圧は早めの予防・対策が肝心!
更年期の高血圧は、早めに予防・対策をする必要があります。減塩を意識する、睡眠環境を見直すなど、日常生活でできることを紹介しましたので、ぜひ参考にしてください。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る「脳」の健康法』『脳疲労に克つ』他。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
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