最近、注目の漢方、実は「妊活」でも注目されているようです。「漢方妊活」はもっぱら「冷え対策」、特に骨盤内の子宮や卵巣の冷えに注目します。漢方では、血流が滞っている状態(「瘀血(おけつ)」と呼ばれます)や、カラダに必要な血が充分でなく、滋養・滋潤作用が低下した状態(「血虚(けっきょ)」と呼ばれます)を「冷え」と考えます。これらを改善し、子宮や卵巣に充分に酸素や栄養が行き届く環境を作り、妊娠しやすい体調を整えていこうという考え方です。
「養生」の方法3つ
その1 漢方薬
代表的な漢方薬を紹介しています。治療の際は専門医にお尋ねください。
■冷えのぼせ、肩こりなどの瘀血症状…「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」
■月経不順など婦人科系統の機能が悪く、冷えがある、貧血を伴うことも多い…「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」
■不妊症に用いる生薬…当帰(とうき)、熟地黄(じゅくじおう・補血の役割)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく・血行促進の役割)、丁子(ちょうじ)、桂皮(けいひ・温補の役割)、山薬(さんやく・滋養)
その2 薬膳
漢方理論をベースとする「薬膳」を積極的に生活に取り入れるのもおススメ。難しく思われがちですが、実はスーパーで購入できる食材でも簡単に作れます。
■ 積極的に摂りたい!おススメ食材
羊肉、鶏肉、プルーン、ヨモギ、すっぽん、サフラン、ごま
強精作用がある食材は、山芋(生薬名は山薬です)、にら、にんにく、海老、くるみ、丁子(クローブ)など。
■ 血の滞り「瘀血(おけつ)」を助長する、過剰摂取を避けたい食材
・甘味…砂糖類、チョコレート、ケーキ、ココア、まんじゅう、アイスなど
・辛味…唐辛子、キムチ、明太子、カレー、辛子、わさびなど
・モチ米…赤飯、おこわ、かき餅など
・甲殻類…海老、カニ、タラコなど
・魚卵類…いくら、数の子、タラコなど
・山菜類…筍、タラの芽など
・乳脂肪類…チーズ、生クリーム、バターなど
・その他…ナッツ類、アルコール類、肉類の過食など
その3 ライフスタイル
・大股歩きで下半身の血行アップ
座ってばかりの生活では子宮のある下半身の血流がイマイチ。両脚を大きく動かす大股歩きは、下半身の血流アップに効果的。外出時は意識的に歩いてみてください。
・「冷やさない」を習慣づけて
湯船に浸かる習慣をつけましょう。みかんの皮を乾燥させた生薬「陳皮」や干した生姜を、ティーパックなど利用して入浴剤として使えば、カラダの芯から温まります。また腰周り・足もとの防寒をしっかり行い、カラダを冷やさない服装を心がけましょう。生理中はもっとも冷えやすい時期なので要注意です。
ハリやお灸など「気血」の巡りを調え、内臓の変調を調えるツボを刺激することもおススメです。皆さんのニーズにあった「漢方妊活」を実践してみてくださいね。
(美巡セラピスト/国際薬膳師・漢方養生指導士 余慶尚子)
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【参考】
※根本幸夫監修(2012)「漢方薬膳学 横浜薬科大学編」(万来舎)