毎年受けている健康診断で、特に異常はなくても知らないところで危険な症状が進行している場合があります。特に気をつけたいのが、健康診断では判別できない「血糖値スパイク」です。
糖尿病専門医の鶴田加奈子先生に、予防と対策方法を伺いました。
■健康診断では発見できない「血糖値スパイク」
「血糖値スパイク」という言葉自体、耳馴染みの薄い方がほとんどだと思います。「血糖値スパイク」とは、食後のタイミングで“急激に”血糖値が上がり、空腹時になると正常(またはそれに近い)数値まで下がる症状を指します。
食後のタイミングのみ「インスリン」がうまく働かず、血糖値が急激に上昇するために起こります。しかし、インスリンの分泌自体はつづき、空腹になる頃には血糖値がまた正常に戻るため、通常の健康診断では見つかりにくいようです。
■「血糖値スパイク」かどうかは何でわかるの?
自身が血糖値スパイクにおちいっているかを知るためには、「血糖トレンド(血糖値の変動傾向)」を見る必要があります。ある時点での血糖値だけではなく、血糖値が変動する傾向(=トレンド)を見ることが、血糖値スパイクの発見につながるのです。
最近は医療技術が発達したので、センサーを装着するだけで24時間連続で「グルコース値」を測定できるデバイスなども登場しています。そのため、「血糖トレンド」が以前より見やすくなっています。
■食事・運動を見直して「血糖値スパイク」予防を
血糖値スパイクを予防するには、食事と運動を少し見直すだけでも効果があります。
食事は「食べ方」に気をつける
血糖値スパイクの予防においては、食べてはいけないものがあるわけではありません。量、順番、時間といった「食べ方」に気をつけるだけで十分な対策になります。
量
丼ものや麺類をはじめとした、「糖質」を多く含む食事は控える。
順番
血糖値の急上昇を防ぐため、食事の1番最初に食物繊維が豊富な野菜をとる「ベジタブル・ファースト」を心がける。
時間
食事は1日3回、毎日できるだけ同じ時間にとるように心がける。
特に、欠食をしてしまうと、次の食事で血糖値が急上昇する要因になるため注意が必要です。
また、スムージーやグラノーラなどの食事も控えるようにしましょう。これらの食事は、一見ヘルシーに感じますが実は糖質がたっぷり含まれています。
本来、血糖値スパイクは年齢が高い人や肥満ぎみの人ほどリスクが高まります。しかし、食生活などが影響し、最近では若くて痩せている女性でも血糖値スパイクの発生が増えてきています。
週に3回程度、軽い「有酸素運動」を
血糖値スパイクの予防においては、運動も効果的です。近年の研究により、有酸素運動や筋力トレーニングが、体内のインスリンの働きを活発化することがわかっています。
おすすめは、全身の筋肉を用いる「ウォーキング」です。1回30分以上、少し心拍数があがる程度のペースで歩きましょう。なお、インスリンの働きは48時間持続するので、毎日ではなく週に3回程度でOKです。
■自分が「血糖値スパイク」かも!?
「自分が血糖値スパイクかもしれない」と不安になった方は、一度、糖尿病専門医のいる病院やクリニックで診断を受けてみると良いでしょう。
一般の内科医ではなく血糖トレンドにも詳しい専門医に診断してもらうことで、自身の状態をより正確に把握し、適切なアドバイスを受けられます。
特に、親族に糖尿病患者がいる方や、ここ数年で急激に太った経験のある人は、自身の「血糖トレンド」を把握しておく方が良いそうです。
これまでまったく血糖値を気にしていなかった方も、これを機に意識した方がいいかもしれませんね。病気が発症する前に日々の食事や生活習慣を見直し、身体の中からキレイになれるよう心がけましょう。
(つやプラ編集部)
【鶴田加奈子先生 プロフィール】
つるた鷺ノ宮クリニック副院長。一児の母。2009年山梨大学医学部卒業後、国立国際医療研究センター、日本赤十字社大森赤十字病院での勤務を経て、つるた鷺ノ宮クリニックを開設。糖尿病専門医の資格を有しており、日々、糖尿病・生活習慣病の臨床診療に励んでいる。野菜ソムリエの資格も持ち、食事や生活習慣と健康について患者さんの立場にたって実践的なアドバイスを行っている。
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