美容エディター・ライターの松本千登世さんへのインタビュー後半は、松本さんのライフスタイルにフォーカス。
年齢を感じさせないつややかな肌や髪、全身から醸し出される美しい雰囲気はどんな暮らしから生み出されるのでしょうか?
美しい肌のために大切な睡眠は「長さ」より「眠りの質」にこだわって
ーー松本さんが美容のために日常生活で心がけていることを教えてください。
肌のためにも睡眠は大切にしていますね。寝不足が続くと肌色が暗くなったり、肌の調子が落ち込みますから。
ーー「つやプラ」世代の女性は公私共に忙しい時期で、なかなか満足に睡眠時間が取れないという人も多いようです……
睡眠時間を十分に確保するのが理想ですが、忙しいとそうもいきませんよね。どうしても寝不足になりがちという人は、入浴を見直してみるといいと思います。
私も以前は、少しでも睡眠時間を確保するために、バスタブにつからずシャワーで済ませることがありました。でも、「睡眠の深さや眠りの質は入浴によって変わる」という話を聞いてからは、多少睡眠時間が短くなっても、きちんと入浴するようになりました。
そうすると、眠っている時間自体は短くなっても、深く眠れているからか、翌朝快適に目覚められるんです。
また、眠りの環境にもこだわるようになりました。快適に眠れる枕を探したり、香りを選んだり、肌触りのいい天然素材のベッドリネンをこだわって選んだり。睡眠時間をしっかり確保できないという人は、眠りの質が上がる環境づくりを意識してみることをおすすめします。
ーー夏場は特にシャワーで済ませてしまいがちですが、きちんと入浴することは大切なんですね。
こまめな頭皮ケアとホームケアでサロン帰りの髪を再現!
ーーニュアンスのあるロングヘアが印象的な松本さんですが、ヘアケアについてこだわっていることはありますか?
量が多く、硬くてうねりも出やすい髪なので、30代まではショートをベースに、前髪を厚くパッツンにしたりとデザインで遊んでいました。
でも、30代の終わり頃に、まっすぐな前髪と斜めに走るほうれい線がケンカしていることにハッとして……もともとデザイン性の高い、いわゆる「とんがった」服が好きだったこともあって、好きな服とバッティングしない、スタンダートで素材力が生きるヘアスタイルに変えようと思ったんです。
ヘアサロンは長年、「AMATA」に通っているのですが、素材の良さを生かすシンプルなヘアスタイルを実現するためにベストなサロン!
ネイルもエステもまったく行っていない私ですが、ヘアサロンだけは月に1回欠かさず通っています。AMATAはトリートメント力が高く、自分史上最高の状態の髪を見せてくれます。
「自分の髪はここまでキレイになるんだ!」と思えるので、自宅でのケアも頑張れるんです。
ーーなるほど! サロンで髪がいい状態になっても、プロがしてくれたからこうなるけれど自分では無理…と思っていました。
AMATAでは、ホームケアについてもしっかりアドバイスしてくれるので、それを素直に聞きつつ、肌と同じように、髪に馴染ませた時の感触や翌朝の手触りなどを確かめながら、自分なりに調整をしてお手入れをしています。
年齢とともに白髪も出てきますし、髪のうねりやボリュームダウンも気になりますが、「昔の髪より今の髪が好き」「髪はまだ育つ」と思えるのは、地道にケアを続けた成果かもしれません。
ーーヘアケア以外に頭皮のケアもしていますか?
頭皮ケアは20代から欠かさずしています。というのも、子どもの頃から母に「髪は財産だから大切にしなさい」と言われ続けていたんです。
当時は男性用の育毛剤しか手に入らなかったので、それを使っていましたね。男性用だったので効果は不明ですが、頭皮のお手入れをするという意識が定着したのはよかったと思います。
ーー今はどんな風に頭皮のケアをしていますか?
シスレーのスカルプケア用美容液とAMATAの頭皮用オイルをメインで使っています。シャンプー後に頭皮につけて、サッと簡単にマッサージをするだけ。
面倒くさがり屋なので、続けられないことは始めないと決めているんです。続けられなかった時にストレスになるので。だから、頭皮ケアもごく簡単なことしかしていません。
ただ、電車で移動している時や打ち合わせの合間など、気づいた時に耳の上を押してマッサージをしたり、こまめにながらでコリをほぐすようにしています。
あとは、ブラッシングを毎日こまめにするようにしていますね。ACCA KAPPAのブラシを使って、頭皮に心地いい刺激を与えるようにブラッシング。
ブラッシングをすると、頭皮にいいのはもちろんのこと、頭皮の皮脂を髪全体に行き渡らせることができるので、髪にツヤも生まれるんです。
ーー最近はブラシを持っていない人もいると聞いたことがありますが、ブラッシングにはそんな効果もあるんですね!
数字にとらわれず、「居心地のいい体型」を目ざそう
ーー40代以降は肌だけでなく、体型の変化に悩む人も多いですよね。松本さんは変わらぬスタイルを維持されていますが、スタイルキープのためにしていることはありますか?
学生時代にしっかり運動していたから筋肉質なんです。そのおかげか、しっかり食べても太りにくいほうなのかもしれません。今はジムへ行ったりヨガをしたりなど、特別な運動はしていませんが、歩くことが好きなので、よく歩きますね。
それもウォーキングするぞ!という感じではなく、移動の際にタクシーを使わず歩いたり、週末にちょっと遠くのパン屋さんまで歩いて行ったりというように、思いついた時に楽しんで歩いています。
ーー食生活についてはいかがですか? 身体のために食べるようにしているものなどはありますか?
幸運にも、野菜やフルーツ、発酵食品のような身体にいいといわれるものが元々好きなんです。肉ブームになっても変わらず魚派ですし。
健康のため、ダイエットのためということではなく、子どもの頃から好きなものを毎日バランスよく食べている感じですね。皆で食事に行くときは何でも食べますし、我慢をせず自分のペースで食べたいものを食べています。
食事の話で思い出したのですが、以前テレビで武井壮さんが「食べた分だけ動かなくちゃと言う人が多いけど、本当は動いた分だけ食べるんだよ」と話していたんです。
それを聞いて妙に納得して、「お腹が空いた分、たっぷり食べられる」「今日はたくさん歩いたから、思い切り食べよう」という風に考えるようになったら、食事がより美味しく感じられるようになって、色々なことがプラスに回り出したんです。
ーー確かにそれほどお腹が空いていなくても、食事の時間だからと食べてしまうことがありますね。そして食べてから罪悪感を抱いたり……
食事もそうですし、体型もそうだと思うんですが、自分の外にある基準に合わせるのではなく、自分と対話して選んでいけたらいいですよね。
先日、女性らしいグラマラスなスタイルの友人と体型の話になったのですが、彼女から「グラマラスというと聞こえはいいけれど、自分では動きが鈍いと感じるの」という言葉が。それを聞いて、「体型にも居心地の良さ」というものがある、と常々感じていたことを思い出しました。
「動きが鈍い」とか「好きな洋服が着られない」というのは居心地が悪いですよね。スタイルについて考える時、すぐに体重やウエストサイズといった数字に意識がいきがちですが、自分が居心地良くいられるかどうかも重要なポイント。
「絶対に痩せよう!」とか「何キロにならなくちゃ!」というより、自分と向き合って、自分が居心地の良いスタイルを目ざせるといいなと思いますね。
どうしてキレイになりたいのか、美容の目的を見失わないで!
ーーつい人と比べてしまいがちですが、肌も体型も、自分との対話や自分がどう感じるかが大切なんですね。
まさにそれが、私が美容のお仕事で伝えたいと思っていることなんです。
美容は不可欠なものだと思いますが、美容だけにとらわれて固執してしまうとバランスが悪くなることも。
なぜキレイになりたいのか、どういうキレイを目ざすのか。突き詰めていくと、「大切な人とまっすぐ目を見て笑い合うため」だと私は思うんです。例えば、爪をキレイに整えている方が居心地が良いと感じるならば、忙しくても頑張ればいいけれど、人と同じにしなくちゃという理由であれば、頑張る必要はないのでは?
自分の目標や目の前のやるべきことに必死で向き合っている姿は、メイクをしていなくても肌や爪がボロボロでも美しいと私は思います。
一人一人にあるはずの「年齢を重ねたからこそ生まれる素敵さ」を、それぞれの方法とペースで表現していけるようになるといいなと思っています。
【松本千登世さん プロフィール】
美容エディター、ライター
1964年生まれ。航空会社の客室乗務員、広告代理店勤務、出版社勤務を経てフリーランスに。数多くの美容誌、女性誌で連載・特集の執筆を行う。長年にわたる美容に関する取材で得た知識と審美眼を通して綴られる美にまつわるエッセイは幅広い年代に人気。著書に『もう一度大人磨き 綺麗を開く毎日のレッスン76』(講談社)などがある。
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