「大豆イソフラボン(以下、イソフラボン)」は女性ホルモンに似た構造で、「更年期の症状を和らげる」「骨密度を維持する」など、女性に嬉しい働きがあります。そのため、意識して摂取している人も多いのではないでしょうか。
その一方で、イソフラボンは摂取量の上限があることから、過剰摂取について気になる人も増えているようです。
管理栄養士の筆者が、イソフラボンを1日に食事やサプリメントでどのくらい摂取すれば良いのかを解説していきます。
■1日の「イソフラボン」の摂取量はどのくらい必要?
食品安全法に基づき、内閣府に設置された機関「食品安全委員会」が、2006年にリスクの可能性について評価した内容によると、次のように設定されています(いずれも大豆イソフラボンアグリコン換算値)。
(1)食事+サプリメントなどの場合、安全な1日の摂取量の上限値は「70~75mg」。
(2)食事以外(特定保健用食品/トクホ、サプリメント等)の場合、安全な1日の摂取量の上限値は、「30mg」
「大豆イソフラボンアグリコン」とは?
大豆イソフラボンは、「配糖体」と「アグリコン」の2つの形があります。大豆イソフラボンは自然のなかでは配糖体の形をとっていますが、体内に入ると腸内細菌の働きによりアグリコンの形で吸収されます。
1日の摂取量の上限値は、この「大豆イソフラボンアグリコン」の値に換算して示されています。
■日本人女性は、もっとたくさん「イソフラボン」を摂っていい
平成14年国民栄養調査から試算した結果によると、日本人の約半数が、イソフラボン摂取量が1日18mgに達していないようです。1日70mg以上摂取している人は約5%で、多くの日本人はイソフラボンの摂取量がそれほど多くありません。
では、上限の目安75mgのイソフラボンとは、食品から摂るとすると、どれくらいの量になるのでしょうか?
「イソフラボン」が食品に含まれる量
大豆イソフラボンアグリコンの目安は以下になります。
・納豆2パック(1パック45g)で約65~70mg
・豆腐1丁(300g)で約70~80mg
・豆乳1パック(200mg)で約50mg
・煮大豆1人分(30g)で約20mg
・味噌大さじ1杯(18g)で約9mg
食事からの摂取であればほとんど心配ない
イソフラボン75mg分は、食事から摂っている限りでは、あまり超えることのない値といえそうです。
また報告書には、「ここでいう上限値は、この量を毎日欠かさず長期間摂取する場合の平均値としての上限値であること、また、大豆食品からの摂取量がこの上限値を超えることにより、直ちに、健康被害に結びつくというものではないことを強調しておく」とあります。
摂取量の上限があることから、イソフラボンの摂りすぎを心配する人もいるでしょう。しかし、大豆や大豆製品には良質なたんぱく質も含まれており、日々適度な量を食事から摂取することはメリットが大きいといえます。
注意すべきはトクホ・サプリメントからの摂取
食事と合わせて、特定保健用食品(トクホ)やサプリメントで大豆イソフラボンを摂取している人は、上限値を参考にしてください。
■腸活を意識して「イソフラボン」を上手に摂ろう
イソフラボンが腸で吸収されるためには「アグリコン」の形になる必要がありますが、それには腸内細菌が関わっています。したがって、イソフラボンを摂取するにあたり、腸内の環境を整えることも大切です。
「食物繊維を摂取する」「ビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌などの自分に合った菌を摂取する」など、イソフラボンを摂取する際は、腸活も意識してみてください。
食事を中心にイソフラボンを摂取し、トクホやサプリメントは補助的に使うと良いでしょう。
上限値を正しく知って、適正な範囲でイソフラボンを積極的に摂って、美しく健康な体づくりに役立ててくださいね。
(フリーランス管理栄養士 今井尚美)
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