マスクの着用が求められる生活になって半年以上が経ちました。マスクを外して鏡を見た時に、自分の顔がマスクが日常化する前より老けたと感じた人も多いのではないでしょうか。また、マスク生活を送っていて、自分の口臭に気づいたという人もいるかもしれません。
そこで今回は、歯科医師であり、口もと美容スペシャリストでもある石井さとこ先生に、マスク生活が引き起こす口もとトラブルについて教えていただきます。
マスクで口もとがたるむのは舌が下がっているから!?
ーー毎日マスクをしていて、ふと自分の顔を鏡で見た時に、たるみが進行していることに気づいたという声を聞きます。なぜマスクをしているとたるみが進行してしまうのでしょうか?
「マスクで覆われていると息苦しさを感じるので、鼻呼吸ではなく口呼吸になってしまうことが原因のひとつだと思います。口呼吸になると、口が軽く開いた状態になるので、口もとの筋肉がゆるんでしまうのです」
「また、口呼吸になると、舌の位置が下がってしまい、それも口もとのたるみの原因になります」
ーー舌の位置ですか。あまり意識したことがありませんでした。
「口を閉じている時、舌はどの位置にありますか? 舌先が下の歯の裏側についていませんか? 本来は、舌が上顎の粘膜部分『口蓋(こうがい)』にぴったりとついているのが正しい状態で、これをスタンダードポジションといいます」
「舌をスタンダードポジションにすることを意識するだけで、口もとだけでなく、フェイスラインまですっきりしてきますよ」
「口呼吸をしていると舌が下がりがちで、スタンダードポジションをキープできません。この状態が続くと、口がぽかんと開いてしまったり、もっさりとした口もとや二重顎になったりします」
「まずは、マスクの中で舌をスタンダードポジションにキープすることを意識してみてください」
マスクの中で顔トレ!筋肉をほぐしてむくみ&たるみを予防
ーーすでにたるみが気になる状態になっている場合、改善する方法はありますか?
「口もとを引き締める顔トレを行いましょう! マスクをしたままできる顔トレもたくさんあります。ちょっとした時間にマスクの中で実践するだけで、すっきりとした口もとに近づけますよ」
「まずはじめに行ってほしい顔トレは、『モダイオラスほぐし』です。『モダイオラス』というのは、口角の横あたりにある、顔にあるいくつもの筋肉が集結しているターミナルポイント。筋肉が集まっているところなので、どうしても重くなったり凝ったりしやすくなります」
「ここをほぐすと、顔全体の筋肉が動きやすくなり、ほぐれやすくなります。顔トレをする前に『モダイオラスほぐし』を行うと、顔の筋肉の動きが良くなって、あとから行う顔トレの効果もアップします」
ーーさっそくやり方を教えてください!
「まず、舌でモダイオラスを探してみてください。口角の内側を舌先でなぞっていくと、小さなふくらみがあると思います。それがモダイオラスです」
C 初沢亜利/集英社
「モダイオラスが見つかったら、舌の先で上下にぐいぐいとほぐしていきます。右側が終わったら、反対側も同様にほぐしましょう」
「舌を動かす時はできるだけゆっくり行うのがポイントです。ゆっくりじっくり舌を動かしていると、表情筋も動かしやすくなって、顔つきがイキイキとしてします! この顔トレはマスクをしたままでできるので、隙間の時間にこまめに行ってみてください」
「頬の重さを支える筋肉を動かすと血行が促進されるので、顔のむくみが改善されて、小顔に見える上、たるみやほうれい線も予防することができますよ」
舌をしっかり動かして、下がった舌を正しい位置に!
ーー舌でほぐすだけなら簡単ですね! 今日からさっそくマスクの下でやってみます。ほかにもおすすめの顔トレはありますか?
「先ほどお話ししたように、マスクをしていると舌の位置が下がりやすくなります。そんな時に行ってほしい『レロレロエクササイズ』を紹介します」
「舌をしっかり動かすので、舌の筋トレができますし、続けていくうちに舌をスタンダードポジションにキープできるようになるので、口もととフェイスラインがすっきりしてきますよ」
「レロレロエクササイズは、マスクを外して行ってください。まず、『レー』と声を出しながら、舌を思いきり出しましょう。声を出すことでしっかりと筋肉を使うことができるので、必ず声を出しながら行って」
C 初沢亜利/集英社
C 初沢亜利/集英社
「次に、舌を巻くように引っ込めながら『ロー』と発音しましょう。この時、舌の先が上顎につくように意識して。なるべく大きく舌を動かして『レー』『ロー』を10回繰り返します」
「レロレロエクササイズを続けていくうちに、舌がスタンダードポジションに戻っていき、口もとやフェイスラインの印象も変わってくると思います」
「マスクで口もとが隠れるので、人から見えていないと油断してしまうと、たるみなどのマスク老けが進んでしまいますが、マスクの内側で顔トレをしても人には見えないと考えて、ちょっとした時間に実践すれば美しい口もととフェイスラインを手に入れることも可能です。マスク生活をチャンスととらえて、ぜひ顔トレを行ってみてほしいですね」
ーーマスクをしていれば、通勤の電車内でもどこでも顔トレができますね! そう考えると、マスクも悪くないかもと思えます。
「マスクの中で口角をキュッと上げているだけでも、口もとのたるみを防ぐことができるので、今日からさっそく心がけてみてください!」
マスクをする前に口の中の雑菌を減らして口臭予防!
ーーマスク生活で自分の口臭に気づいたという声もよく聞きます。マスクをすることで口臭が起こりやすくなるのでしょうか?
「マスクの中に呼気がこもるので、自分の息のニオイに気づきやすいという面もあると思います。また、マスクの中は高温多湿で雑菌が繁殖しやすく、ニオイが発生しやすくなっています」
「口臭を予防するには、マスクをする前に口内の雑菌を減らしておきましょう。歯磨きをするのが一番ですが、それが難しい場合は、口を水でゆすぐだけでもOKです」
ーー口の中の雑菌が原因なんですね。食事の後も口のニオイが気になりますが、歯磨きが難しい場合はどうすればいいでしょうか?
「食後にガムを噛んでからマスクをするといいですよ。その場合、キシリトール入りのガムを選ぶとさらにいいですね。弾力のあるガムの方がしっかり噛むことができて、唾液が多く出るので、小さい粒ガムであれば一度に2粒噛んでもいいですね」
「ものを噛んでいる時に出るサラサラとした唾液は、食べ物を洗い流して口の中をキレイにしてくれる作用があります。噛みごたえのある食べ物を選んで、しっかりたくさん噛んで食べることも口臭予防につながります」
ーーありがとうございます。次回は、更年期世代が気をつけるべき口の中のトラブルについてお伺いします。
【さとこ先生の新刊が発売されました!】

『マスクしたまま30秒‼︎ マスク老け撃退顔トレ』
女優やモデルといったビューティーセレブから絶大な信頼を集める歯科医師の石井さとこ先生が、マスクの下でこっそり行える顔トレをレクチャー! ウイルスや菌に負けないため実践している口もとの新習慣も公開します。むくみやたるみ、シワ、口臭などのマスク生活で起こるお悩みを解決するヒントが満載です。
【石井 さとこ(いしい さとこ)先生 プロフィール】

歯科医師、口もと美容スペシャリスト。ホワイトホワイト院長。日本に歯のホワイトニングを広めた第一人者。歯と体を美しく保つための食事や、歯が美しく見える口もとメイクに関するアドバイスに定評がある。2005年から2012年までミス・ユニバース・ジャパン ナショナルディレクターからの要請で、歯をプロデュースするオフィシャルサプライヤーを務める。女優、モデル、タレントなどの信頼も厚い。著書に『マスクしたまま30秒‼︎ マスク老け撃退顔トレ』(集英社)などがある。インスタグラム:@satoko5331 『マスクしたまま30秒‼︎ マスク老け撃退顔トレ』(Amazon)
【関連記事】
・スマホ首で二重あごに!?ゆるんだ顔を引き締めるストレッチ
・【動画】下腹の浮き輪肉を撃退!ぺたんこお腹に導くエクサ
・お尻を鍛えればお腹が凹む?寝たままポッコリお腹解消エクサ
・姿勢が第一印象を決める?美姿勢の要・腸腰筋のトレーニング