「トイレに頻繁に行く」「夜中に必ずトイレに行きたくなる」「思わぬ瞬間に尿が漏れてしまう」など、恥ずかしくて人には相談しにくい“頻尿”や“尿漏れ”。しかし、人に言えない分、対策がわからず悩み続けている方も多いのではないでしょうか。
そのお悩みに、薬膳のベースになっている中医学(中国伝統医学)の知恵を知っておくと役に立つかもしれません。国際薬膳調理師の筆者が、頻尿の原因と対策をご紹介します。
■あなたはどれに当てはまる!?頻尿の原因とは
中医学では、体質によって食べる食材や暮らし方を変えることを重要視していますが、それは頻尿のお悩み改善に関しても同じです。まずは自分がどのタイプの頻尿なのかチェックしてみましょう。
A
□疲れやすい
□お腹を下すことがよくある
□朝起きるのが苦手
□胃が痛くなりやすい
□甘いものが異常に食べたくなる時がある
Aのチェックが多い方は「胃弱タイプ」
胃腸系システムである「脾(ひ)」が弱っていることが主な原因となって尿トラブルが起こりやすくなっています。脾は食べたものを栄養に変えて全身に届ける働きの他、皮膚や内臓を本来あるべき位置から下げないように維持する働きをもっています。
そのため、脾が弱り内臓が下がってしまうと膀胱を圧迫して尿意を感じやすくなります。さらに、脾は食べ物を栄養に変える要の臓腑ですので、栄養が不足することで膀胱の機能が低下すると尿トラブルの原因につながる場合もあります。
B
□寒さに弱い
□むくみやすい
□手足の先が冷たい
□尿の色が薄い
□冷たいものやフルーツが苦手
Bにチェックが多い方は「冷えタイプ」
身体を温める機能が低下すると膀胱も冷え、尿を膀胱にとどめておく力が低下しやすくなります。そうなると、トイレが近くなる原因につながります。特に、寒くなって汗をかかなくなる秋~冬の寒い時期にトイレが近くなります。
このタイプは寒さに弱いので、一年中、身体を冷やさない工夫が大切です。身体を冷やす性質の生野菜サラダや冷たい水をとり過ぎてはいませんか? 今一度、冷たいものをとっていないか確認してみましょう。
C
□手足が火照りやすい
□抜け毛で悩んでいる
□腰痛がある
□足腰のだるさを感じる
□身体全体がむくみやすい
Cにチェックが多い方は「腎弱タイプ」
成長ホルモンを司る腎(じん)という臓腑が弱っていることが原因で頻尿になっている場合があります。
中医学では、頻尿の主な原因は腎と膀胱の働きの低下だと考えます。腎は水の調整をして尿をつくりだす場所で、膀胱は尿を貯めておく場所。この腎は年齢を重ねるごとに働きが低下しますので、歳を重ねると尿トラブルが起きるのは自然のことではあります。
とはいえ、何かしら対策をしたいですよね。「23時以降に寝ることが多い」「足腰を動かすことが少ない」「腎を補う食材が食卓に少ない」などが腎が弱る原因につながりますので、生活習慣を見直してみましょう。
■タイプ別!おすすめの食材
(A)胃弱タイプ:米・キノコ
脾を労わる「米・芋類・豆類・キノコ」を積極的に食べましょう。
朝食にパンを食べている方は、少しずつご飯に変えてみてください。パンの原料の小麦は脾を労わる働きがないため、脾を労わる米がおすすめです。パンはたまに食べる程度にしましょう。
また、豆は料理に幅広く活用できます。茹でてあるものも売っているので、サラダやスープ、副菜に豆をとり入れるとよいでしょう。
(B)冷えタイプ:生姜・鶏肉
「生姜・にんにく・ニラ・玉ねぎ・鶏肉・海老・スパイス類」などの身体を温めるものを食べましょう。逆に、トマトやきゅうり、ゴーヤなどの夏によく食べる食材は控えましょう。
火を通さないで食べると余計身体が冷えやすくなりますので、必ず加熱をしてください。温める食材を入れた味噌汁を一日一回は食べるといったことから始めてみてください。
(C)腎弱タイプ:黒豆・のり
腎を労わるといわれている黒い食材をとり入れてみましょう。「黒豆・黒ゴマ・黒きくらげ・のり」を日々の食事にプラスしてみてください。
まずは普段飲んでいるお茶を黒豆茶に変えることから始めてみましょう。その次に、黒ゴマをさまざまな料理にちょい足ししてみてください。ハードルを下げて、黒い食材をとり入れる習慣をスタートしてみてくださいね。
あなたはどの頻尿タイプでしたか? 自分のタイプを知って対策をとることで、変化を感じやすくなるはずです。まずは、ご自身のタイプに合う食材をとり入れることから始めてみましょう。
(薬膳ライフバランスプランナー/国際薬膳調理師/コラムニスト 倉口 ゆうみ)
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【参考】
※日本中医食養学会/著(2006年)『現代の食卓に生かす食物性味表 改訂2版』燎原書店※若林理沙/著(2015年)『東洋医学式 女性のカラダとココロの「不調」を治す44の養生訓』原書房※櫻井大典/著(2018年)『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方』ナツメ社※岩崎啓子/著 薬日本堂/監修(2010年)『おうちで、薬膳なべ』河出書房新社※池田陽子/著(2020年)『1日1つで今より良くなるゆる薬膳。365日』JTBパブリッシング