「油」というと、「太る」というイメージが強いですが、実は良質な油はダイエットや美容に役立てることができます。
管理栄養士の筆者が、痩せたい人におすすめの油を3つ、効果的な摂り方とともにご紹介します。
■ダイエットでの油の上手な使い方
油は消化に時間がかかるため、腹持ちが良いのが特徴です。
ダイエット中は食欲をコントロールすることも大切ですので、腹持ちが良い油を取り入れることはダイエットにもつながります。
また、糖質が多い食事も、油と一緒に摂取すると血糖値上昇が緩やかになります。
そのため、油=ダイエットの大敵と考えず、「良質な油」を上手に食事に取り入れるのがおすすめです。
「体に良くない油」と「良質な油」は異なる
トランス脂肪酸を含むマーガリン・ショートニングや、飽和脂肪酸が多い生クリームやパーム油、牛脂などを摂りすぎると、コレステロール値が上がり、病気のリスクが高くなります。
そのため、これからご紹介するような「良質な油」を中心に摂取するようにしましょう。
■痩せたい人が使うべき油3つ
(1)MCTオイル
MCTオイルとは、「中鎖脂肪酸」だけで作られている油のこと。
中鎖脂肪酸は、ココナッツオイルなどにも含まれている脂質で、一般的な油よりも分子の鎖の長さが短いため、消化・吸収が速く、体脂肪として蓄積されにくいといわれています。
そのため、ダイエット中にはもちろんのこと、疲れが溜まったときにスムーズにエネルギー補給をできることから、疲労回復にも役立つ油です。
マラソンなど持久力が必要な運動をするときにも、おすすめですよ。
また、MCTオイルは酸化されにくいことも特徴の一つです。
体に良い油として知られるオメガ3脂肪酸などは、酸化されやすいというデメリットがありますが、MCTオイルは常温での保管が可能です。
また、150度くらいで煙が出るため、炒め物や揚げ物など、油を直接加熱する料理には使用できませんが、炊飯など、食材に練りこんで加熱するのは可能なのも嬉しいポイントです。
味や匂いもほとんど無いため、ヨーグルトや紅茶に入れたり、手作りドレッシングに使ってみてくださいね。
(2)オリーブオイル
オリーブオイルの主成分は「オレイン酸」と呼ばれる脂質で、コレステロール値や血圧を下げる働きがあり、病気の予防に役立ちます。
また、オレイン酸は腸を刺激して、排便を促す働きもあるのだそう。
スムーズな排便によって腸内がきれいになると、栄養素の消化・吸収、老廃物の排出が行われやすくなるため、代謝の良い体をつくることができ、ダイエットにも役立ちます。
オリーブオイルにも種類がありますが、風味や微量成分が損なわれていない「エキストラヴァージンオリーブオイル」を選ぶようにしましょう。
起床後は、腸が動き出す時間ですので、スムージーや味噌汁にオリーブオイルを加えて飲むと良いですよ。
また、起床後15~19時間経過すると、腸の細胞が修復&再生される時間帯になるため、夕食や寝る前にオリーブオイルを取り入れるのもおすすめです。
(3)米油
米油に含まれる「γ-オリザノール」や「植物ステロール」などの成分は、悪玉コレステロール値を下げる働きがあるため、生活習慣病の予防に役立ちます。
また、米油には抗酸化作用があるビタミンEも含まれており、γ-オリザノールとともに、血管を広げて血流を良くする働きがあります。
血流が良くなると、細胞の代謝が良くなるため、痩せやすい体をつくることができます。
米油は加熱にも強く、油切れが良いため、油を使う料理をするときに使うのがおすすめです。
さらに、独特な味や風味がない油ですので、ドレッシング作りに使ったり、お菓子作りにも利用することができます。
また、「βカロテン」や「リコピン」といった栄養素は、脂溶性であるため、油と一緒に摂取すると効率よく摂取することができます。
人参やほうれん草、トマトなどの野菜に多く含まれているため、ぜひ米油と組み合わせて調理してみてください。
油はカロリーが高いため、摂りすぎはもちろん太る原因になりますが、調理やドレッシングなどに使う程度であれば、むしろダイエットや美容に役立てることができますよ。ぜひ、ダイエット中の油の選び方の参考にしてくださいね。
(フリーランス管理栄養士 今井 尚美)
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【参考】
※脂質やトランス脂肪酸が健康に与える影響 – 農林水産省
※そもそも「MCT」ってなに? – 日清オイリオグループ
※中鎖脂肪酸 – わかさの秘密
※オリーブ油 – わかさの秘密
※美肌力をアップさせる、腸のゴールデンタイム – 明治
※こめ油のヒミツ(米油とは) – 築野食品工業