手足は冷えているのに、急に顔がほてって滝のような汗が出たり、突然激しい動悸がしたり……。
これらは更年期の女性に起こりやすい、「ホットフラッシュ」という症状です。
今回は、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、ホットフラッシュの対策について教えていただきました。
■ホットフラッシュが起きる仕組みとメカニズム
更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンが減少します。
すると、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になり過ぎることで、ホットフラッシュが起こります。
また、ストレスや睡眠不足、運動不足などの生活習慣的な要因も関係していると考えられています。
■ホットフラッシュへの応急処置
副交感神経を優位にするために、腹式呼吸で深呼吸をして落ち着きましょう。
着ているカーディガンなどを脱いだり、首筋に冷やしたタオルをあてたりして、体温を冷やすのもおすすめです。
■ホットフラッシュへの対策方法
ホットフラッシュに、具体的にどんな対処法があるかをご紹介します。
ツボ刺激をする
自律神経を整えるツボを刺激するのもおすすめです。日常的にツボを押すことで、急激な症状の予防につながります。
押すときは気持ちの良い強さで、徐々に圧力をかけていきましょう。
鼻からゆっくりと息を吸いながら押し、さらにゆっくりと力を抜きながら口から息を吐き出すことで、より効果を感じることができるでしょう。
神門(しんもん)
手首の小指側の端にある骨と筋の間のくぼんだところ。動悸や息切れに。
三陰交(さんいんこう)
足の内くるぶしから指4本分上の骨のキワ。冷え性、のぼせなどに。
太衝(たいしょう)
足の甲にあり、親指と人差し指の間を上に辿り、骨に突き当たるところ。発汗を抑えます。
アロマでリラックスする
香りは鼻から入って脳の視床下部に働きかけます。自律神経の乱れを整え、リラックスに良いアロマエッセンスを活用しましょう。
ラベンダー、ジュニパーベリー、イランイラン、レモンバーム、ベルガモットなどがおすすめです。
ハンカチに数滴垂らして持ち歩いたり、蒸留水と混ぜて小さな小瓶に入れ、いつでも手軽にスプレーできるようにしたりするのもいいですね。
他にもアロマキャンドルやディフューザーなど、お好みの方法を見つけてみてください。
どんなときに起こるか記録をつける
誰でも予期できない物事には慌ててしまうものです。
いつ、どんなときにどんな症状が起きたのかを記録することで、症状の起こりやすい時間帯や状況の傾向をつかむことができます。
ホットフラッシュは更年期を過ぎればおさまる場合もありますが、上記以外にもさまざまな要因が複雑に影響して症状が続くこともあります。
更年期が過ぎても不快な症状が続く場合には、婦人科の受診をおすすめします。
■更年期のホットフラッシュには漢方薬の服用もおすすめ
更年期のホットフラッシュの症状を緩和するためには、漢方薬を飲むというのもおすすめです。
更年期症状の治療では、ホルモン補充療法だけでなく、自然由来の治療薬として漢方薬も標準治療のひとつです。
漢方薬は、ホットフラッシュの症状の原因となる、血流や自律神経、ホルモンバランスの乱れを整えることで、根本改善を目指します。
漢方薬は自然の生薬の組み合わせで作られており、心とからだのバランスを回復させるため、さまざまな不調を訴える更年期女性に対してはとくに有効とされています。
ホットフラッシュにおすすめの漢方薬
加味逍遙散(かみしょうようさん)
虚弱体質で肩がこり、疲れやすく、精神不安や不眠、イライラなどの精神神経症状のある人に。
自律神経を整え、体にたまった過剰な熱をとることで、上半身のほてり(ホットフラッシュ)、発作性の発汗、めまいや頭痛に働きかけます。
女神散(にょしんさん)
のぼせやめまいがある人に。
血の流れを整えて、体の熱をさますことで、のぼせやほてりの他、めまい、頭痛、精神不安やイライラに働きかけます。
漢方薬は自分の体質にあったものを飲むことが重要ですが、たくさんの種類の中から自分で選ぶのは困難です。合わないものを飲み続ければ、副作用が起こることもあります。
最近は漢方薬の専門家に、オンラインで自分に合った漢方薬をおすすめしてもらえるサービスもあります。困ったときには、無料で相談にのってもらえるので安心ですね。
■ホットフラッシュも対処ができれば安心
更年期の女性にとってつらいホットフラッシュの対処法について教えていただきました。ご自身にぴったりの対処法を見つけ、ぜひ日々を軽やかに過ごしてくださいね。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)は10万人の患者が癒されたポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
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