寒暖差の激しい春から初夏にかけて気温が上がってくると、気づいたら汗がドバッと出ていたなんてことありませんか?
汗によって起こる肌トラブルに「あせも」「汗あれ」があります。きちんと対処しなければトラブルが長期的になることも!?
今回は、よしき皮膚科クリニック銀座院長の吉木伸子先生に、「汗あれ」の危険性と対策方法を教えていただきました。
■汗は美肌の天敵!?
「臭い」や「恥ずかしい」などのマイナスイメージが強い汗ですが、吉木先生によると、乳酸や尿素などの天然保湿因子が含まれている汗は、じわっとかく程度であれば”天然の美容液”ともいわれるほど肌には必要なもの。
しかし、肌のバリア機能が低下していたり、大量に汗をかいて放置してしまうと、肌トラブルにつながります。
「汗あれ」は、気温差が激しく、乾燥した肌に急に汗をかきやすい春から初夏にかけては注意が必要ですね。
■「あせも」と「汗あれ」は違う?
「汗による肌トラブル=あせも」を想像する人もいますが、「あせも」と「汗あれ」はメカニズムが異なります。
吉木先生に教えていただいたそれぞれの特徴は下記の通りです。
あせも
汗を出す管が詰まり、肌表面に赤みやかゆみを伴うブツブツが出る。汗をかきやすい人や子どもに多い。
汗あれ
汗の成分が肌に刺激を与えることによって起こるもので、かゆみを伴う。大人にも多く、重症化すると長引くことも。
季節の変わり目による乾燥や、間違ったスキンケアによって皮膚のバリア機能が落ちているところに汗をかくことで、本来”天然の美容液”とも呼ばれる自分の汗さえも刺激となり、かゆみ・痛み・赤みが起こりやすくなるそうです。
皮膚がこすれやすい襟元や下着や衣類が当たる部分、汗をかきやすい部位(首、髪の生え際、ひじの内側、膝の内側、お腹のベルト周り、背中、太ももの後ろ)は、汗あれが起こりやすい場所とのことです。
■マスクの中も「汗あれ」に注意
最近はマスク着用も自由になりましたが、花粉や黄砂でマスクをすることも、まだまだありますよね。
吉木先生に伺ったところ、マスク着用も「汗あれ」が起こりやすい環境を作るため、注意が必要だそうです。
マスク着用により、口周りは湿度が高く、皮膚の角質層がふやけた状態に→マスクを外して一気に水分が蒸発→肌が乾燥→バリア機能が低下→汗やマスクが刺激となり肌トラブルが発生→マスク着用でさらに深刻化という、長期の「汗あれ」サイクルに悩まされることもあるそうです。
■あなたは大丈夫?!「汗あれ」チェック
「汗あれ」に悩まされないためにも、「汗あれ」危険度をチェックしてみましょう。
■「汗あれ」を起こさない対策3つ
汗の量が増えるこれからの季節に注意しておきたい「汗あれ」ですが、きちんと対策することで予防やケアができるそうです。
吉木先生に、すぐに始められる「汗あれ」対策方法を教えていただきました。
(1)汗をかいたら「そっと」「こまめに」拭き取る
汗をかいたまま放置して水分が蒸発すると、汗に含まれる塩分やアンモニアといった成分が肌表面で凝縮されることで、皮膚に刺激を与えるそうです。
まずは汗をかいたら、こまめに拭き取ることが大切です。その時に、肌に刺激とならないよう、ガーゼやハンカチなど吸水性がよくやわらかい素材を使い、軽く押さえるようにして汗を吸い込むのがポイントです。
決して摩擦などの刺激を与えないようにしましょう。
硬いタオルなどでゴシゴシこすると、皮膚のバリア機能が失われ、汗あれが起こりやすくなるそうなので、注意しましょう。
(2)洗いすぎず、「やさしく」「清潔に」
汗を大量にかくと「とにかく流したい!」とお風呂やシャワーの回数が増えることもあるでしょう。皮膚を清潔に保つことは大切ですが、体や顔の洗い方には注意が必要だそうです。
吉木先生によると、体や顔を洗う時のゴシゴシ洗いは、摩擦や刺激で皮膚のバリア機能が低下してしまうため、石けんを泡立ててから手で撫でるようにやさしく洗うのがおすすめとのこと。
また、そもそも汗は水溶性でお湯だけでも落ちるため、体全体を毎日石けんで洗う必要もなく、頭皮、顔、体の中心部といった皮脂腺が多い部分も、毎日石けんを使って洗う必要はないそうです。
女性はメイクをしているため日々洗顔料は欠かせませんが、吉木先生のおすすめの洗い方は、洗顔料を使った下記方法での2度洗いです。
・最初は少なめの洗顔料で顔全体を洗う
・2度目はテカリが気になるところだけ洗う
十分に泡を立てて、洗いすぎに注意しながら、やさしく洗い上げるのがポイントです。
(3)いつでも保湿は忘れずに
春夏は湿度が高く、肌が保湿されているように感じますが、そこが落とし穴。保湿を怠るとバリア機能が低下し、汗あれにつながります。
湿度や汗でベタつきやすい肌の保湿ケアについて、吉木先生に伺ったところ、大切なのは次の2つとのこと。
・入浴や洗顔後に、必ず保湿をする
・ベタつく時はさらっとした使い心地のジェルやローションタイプの保湿剤を使う
健やかな肌を整えるためにも、汗あれ対策で最も重要にしたいのが保湿。状態に合わせた使いやすいテクスチャーを選びながら保湿を欠かさないことが、「汗あれ」対策には欠かせないポイントだそうです。
「これらの対策を行っても改善せず、かゆみが強くひどい・改善されない時は、我慢せずに皮膚科を受診するようにしましょう。」(吉木先生)
寒暖差が激しい春から初夏にかけての季節は、衣類の調整も大変で、汗あれが起こりやすい時期でもあります。正しいケアを習慣にしながら、健やかで美しい肌を保ってくださいね。
協力:ユースキン製薬株式会社
監修:よしき皮膚科クリニック銀座院長 吉木伸子先生
(ヘルス&ビューティーコンシェルジュ 西川美佐子)
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