40・50代になると、更年期特有の不調に悩まされるケースが増えてきます。
更年期の不調を予防するためにも、まずは不調が出やすい人の特徴を把握してみてはいかがでしょうか。
今回は、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、更年期に不調が出やすい人の特徴と対策について教えていただきました。
■更年期に不調が出やすい人の特徴3つ
更年期になるとホルモンバランスの崩れにより、ほてりや発汗、肌の乾燥、不眠、気分の落ち込みなどのさまざまな不調に悩まされます。
更年期の不調に悩まされやすい人の特徴を紹介します。
(1)生活習慣が乱れている人
生活習慣の乱れが、更年期の不調につながることがあります。
たとえば、睡眠時間が短くなると、自律神経の乱れによりホルモンバランスが崩れやすくなるため、更年期に不調があらわれやすくなるのです。
また、運動不足も自律神経の乱れにつながるので、更年期の不調の原因になります。
更年期に健康的な生活を送るためには、睡眠時間の確保と有酸素運動の習慣化が大切です。
(2)几帳面な性格の人
性格的に几帳面だったり、こだわりが強かったりすると、ストレスの影響を受けやすくなるため更年期に不調が出やすくなります。
性格が影響して自分を追い詰めることで、ストレスを抱えてしまうのです。
ストレスにより自律神経が乱れると、更年期の不調に悩まされやすくなります。
(3)ストレスを抱えている人
子どもの独立や親の介護、夫の定年退職など、更年期にさしかかる時期は、周囲の環境が変化しやすい時期です。
環境の変化によるストレスを抱えることで、更年期の不調に悩まされるケースも見られます。
■今から実践しよう!更年期の不調対策5選
今から実践できる更年期の不調への対策を5つ紹介します。
比較的実践しやすい対策法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
(1)アロマセラピーを生活に取り入れる
アロマセラピーとは、植物由来の抽出液「精油(エッセンシャルオイル)」によって心身のバランスを整えることです。
更年期になると、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの分泌量が減少して不調を感じやすくなります。
アロマセラピーに使用される精油のなかには、エストロゲンのバランスによい影響を与えるものがあります。
日常にアロマセラピーをうまく取り入れると、更年期におこる不調の軽減が期待できます。
(2)半身浴をする
半身浴でリラックスすると、自律神経が整い更年期の不調を軽減させる効果が期待できます。
リラックスできるとストレス解消や睡眠の質の向上が期待できるため、心身に好影響を与えるのです。
とくに日ごろから手足に冷えを感じる場合は、半身浴を習慣にしてからだの中を温めるようにしましょう。
半身浴に取り組む場合は、腹部までを約40度のお湯につけた状態で、30分ほど入浴して汗をかくといいでしょう。
(3)ヨガを実践する
ヨガを実践すると精神的にリラックスできるため、心とからだのバランスを整える効果が期待できます。
たとえば、就寝前の少しの時間を使って軽くヨガを実践するだけでも、更年期の不調を軽減できる可能性があります。
就寝前のベッドで実践する場合は、子どものポーズや牛のポーズ、猫のポーズなどがおすすめです。
(4)ツボ押しをする
関元(かんげん)や三陰交(さんいんこう)、合谷(ごうこく)などのツボは、更年期の不調を軽減する効果が期待できます。
関元はヘソから真下に向かって指4本下方にあります。
三陰交の位置は、足の内くるぶしから指4本分上方です。
合谷は手の甲に位置しており、親指と人差し指の骨が合流したところで、人差し指の骨の際にあります。
ツボ押しをする際は、痛みが出ないくらいの力で押すようにしましょう。
(5)病院を受診する
病院での治療として、ホルモン補充療法が広く知られています。
ホルモン補充療法とは、更年期に低下しやすい女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」を補う治療方法です。
現在は、先進国を中心に、多くの女性が更年期の不調を解消する手段として利用しています。
また、プラセンタ注射も更年期の治療法として選択されています。
プラセンタ注射は副作用も少なく、更年期症状以外にもさまざまな効果が期待できます。40歳ごろからプラセンタ注射を行うことで、更年期の不調を予防できるとされているのです。
更年期への不安がある場合は、産婦人科を受診し、それぞれに合わせた予防法や治療を実施していきましょう。
■更年期不調への対策に漢方薬もおすすめ
産婦人科では、ホルモン補充療法やプラセンタ注射に加えて、漢方薬を併用することがあります。
漢方薬は、更年期症状の原因となる、血流や自律神経、ホルモンバランスの乱れを整えることで、心身の不調の根本改善を目指します。
また、更年期によくおきるイライラや落ち込みなどの精神症状や腹痛や関節痛などの身体症状、ホットフラッシュやほてりなど血管に関する症状にもアプローチすることができます。
更年期の不調に合わせた漢方薬を利用して、心身のバランスを整えるといいでしょう。
更年期の不調におすすめの漢方薬
温経湯(うんけいとう)
冷え症で手足のほてりが気になる人に。上半身にこもった熱を冷ますことで、手足のほてりや不眠に働きかけます。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすい人に。高ぶった感情を落ち着かせることで、不眠のほか、イライラ、ほてりに働きかけます。
慢性的に更年期の不調が気になる場合には、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
漢方薬は自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないことや、副作用が生じることもあります。購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師などにご相談ください。
最近はオンラインで漢方薬の専門家に、自分に合った漢方薬を気軽に無料相談できるサービスもありますので、試してみるのもいいでしょう。
■更年期の不調を和らげるために早めの対策を
更年期の不調を和らげるための対策法について解説しました。
更年期の不調が気になる場合は生活習慣を整えたり、リラックスできるような習慣を取り入れたりして、早めの対策を心がけましょう。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)は10万人の患者が癒されたポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
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