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ひざの黒ずみの原因は?皮膚科医が教える「ひざの黒ずみ対策とケア法」


大中千景

30代、40代になり、ひざの黒ずみがお悩みなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。ひざの黒ずみが気になってしまうと、思うようにおしゃれが楽しめなくなってしまうこともありますよね。

皮膚科医が教える!ひざの黒ずみの原因と綺麗な脚を保つ方法

そこで今回は、気になるひざの黒ずみの原因や自宅で簡単にできる対処法を皮膚科医の小澤佑美先生にお伺いしました。

■目次

1.黒ずみっていったい何?
2.黒ずみの原因とは?
(1)黒ずみの原因
3.黒ずみのメカニズム
(1)色素沈着とメラニン
(2)摩擦による黒ずみ
(3)角質増殖
4.黒ずみの症状とタイプ
(1)黒ずみの症状
(2)黒ずみのタイプ
5.肌の黒ずみレベルと対処法
(1)気になる場合は美容皮膚科へ
6.黒ずみ改善のセルフケア
(1)角質ケアと保湿ケアはセットで
(2)保湿剤の選び方
(3)冷え対策も忘れずに

小澤佑美先生

■プロフィール
小澤佑美 先生
医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
現在同じく皮膚科専門医の妹とともに父の開業するクリニックで皮膚科・美容皮膚科を担当しています。
女性ならではのキメ細やかな診療を心がけています。
日本美容皮膚科学会、女医+(じょいぷらす)所属。

■1.黒ずみっていったい何?

ご自身のひざを、まじまじとご覧になったことはありますか? 脚の皮膚とひざ付近の皮膚の色を比べてみると、ひざがどことなく黒ずんでいる方もいらっしゃるでしょう。

この黒ずみは、医学的に「色素沈着」と呼ばれており、「メラニンが沈着したもの」といわれています。

ご自身のひざを、まじまじとご覧になったことはありますか? 脚の皮膚とひざ付近の皮膚の色を比べてみると、ひざがどことなく黒ずんでいる方もいらっしゃるでしょう。

黒ずみにはさまざまな弊害が

毎日きちんと洗って清潔にしているのにもかかわらず、ひざに黒ずみができてしまうと、どことなく不潔に見えてしまいます。

また、黒ずみが気になって、ひざ丈のスカートやパンツを履くことをためらい、おしゃれを楽しめなくなってしまいます。

普段は長い丈のボトムスで隠すことができても、プールや旅行先で周りの人に見られた時に、お手入れ不足だと思われてしまうこともあります。

夏におしゃれを存分に楽しめるように、今のうちから黒ずみ対策を始めてみてはいかがでしょうか。

■2.黒ずみの原因は?

黒ずみの原因は、肌の汚れではありません。毎日きちんと洗えているのなら、ひざの汚れは落ちています。黒ずみの原因は、全く別のところにあります。

主な原因をご紹介いたします。

(1)黒ずみの原因

摩擦

ひざは、肘と共に大きな関節のひとつです。立ったり座ったりと、姿勢を変える、身体を動かすたびに、ひざを動かしますよね。元々ひざは摩擦を受けやすく、日常生活において酷使されやすい部分なのです。

さらに、関節部分なので脂肪も少なく、刺激に対してクッションになってくれるものがありません。なので、足にぴったりフィットしたスキニーを履いたり、足を組んだりすると、ひざの部分がこすれて摩擦が起きてしまいます

カミソリを使用しての脱毛処理も立派な摩擦刺激です。

黒ずみの原因は、肌の汚れではありません。毎日きちんと洗えているのなら、ひざの汚れは落ちています。黒ずみの原因は、全く別のところにあります。

また、ひざをつくポーズにも要注意。床にひざをつくと上半身の体重が全てひざにかかり、摩擦のみならず、大きな負担を与えることにもつながります。

乾燥

ひざは、身体の中でも皮脂腺が比較的少ないパーツなので、皮脂や汗が出ることはほとんどありません。皮脂や汗が出ないということは、乾燥しやすいということです。

前述したとおり、ひざは衣服とこすれやすいので、皮膚のうるおいが衣服にうばわれやすい部分です。

足は心臓から遠いので、上半身と比べると血流が停滞しがちです。さらに、女性は男性に比べると冷え症の方が多いもの。冷えも血流の悪化の原因となります。

血流が悪くなってしまうと、水分や栄養が肌まで充分にいき渡らず、乾燥を助長します

このように、ひざが乾燥してしまうと黒ずみを誘発する可能性があるのです。

紫外線

夏は特に、紫外線によるダメージが大きくなる季節です。服装もミニスカートやショートパンツなど、足を露出するファッションになりがちです。

夏は特に、紫外線によるダメージが大きくなる季節です。服装もミニスカートやショートパンツなど、足を露出するファッションになりがちです。

顔の日焼け対策は万全なのに、足には日焼け止めを塗っていないという方も多いでしょう。しかし、素肌に強い紫外線を浴びてしまうと、浴びた直後だけでなく蓄積されたダメージが後々黒ずみとなってあらわれる可能性もあるのです。

さまざまな要因が合わさることも

一つの要因が黒ずみを引き起こすこともあれば、複数の要因が重なって黒ずみの原因となってしまう場合もあります。

・「カミソリを使ったムダ毛処理による肌への摩擦」+「夏の紫外線ダメージ」+「スキニージーンズによる摩擦」

・「冬場の乾燥」+「運動不足による血流低下と冷え」+「黒ずみを取ろうとして過剰に角質ケアを行う」

このように、いくつもの原因が合わさって黒ずみを引き起こすパターンも少なくありません。

■3.黒ずみのメカニズム

黒ずみができるメカニズムを詳しく解説していきましょう。

黒ずみができるメカニズム

(1)色素沈着とメラニン

黒ずみの重要なカギとなるのが「色素沈着」です。この色素沈着には、「メラニン」が大きく関わっています。

色素沈着のメカニズム

メラニンは、「メラノソーム」と呼ばれるメラニン合成器官でつくられています。メラノソームは、皮膚の一番上の層である「表皮」と、二番目にある「真皮」の境目あたりにある、「色素細胞」と呼ばれる細胞の中に存在しています。

肌が紫外線の刺激を受けると、メラノソームが血中の「チロシン」を使ってメラニンを合成します。つくられたメラニンは、周りの細胞へと供給されていきます。これが日焼けによる色素沈着のメカニズムです。

(2)摩擦による黒ずみ

摩擦による黒ずみのメカニズムを解説していきましょう。

炎症後色素沈着

長い期間、皮膚に摩擦などの刺激を与え続けると、皮膚の中で、ごく軽い炎症が起きたような状態になります。この状態に反応して、メラノソームが通常よりも皮膚の深いところへと落ち込みます。

さらに、メラノソームが一部の白血球に捕食されます。この状態を「メラノファージ」と呼びます。

メラノファージが増えてしまった状態を「炎症後色素沈着」と呼び、これが摩擦による黒ずみの正体なのです。

(3)角質増殖

荷重や圧迫を繰り返し受けることにより、皮膚が外部の刺激から身を守ろうとし、角質(皮膚の最も外側の層)が分厚くなっていきます。この状態を「角質増殖」もしくは「過角化」と呼びます。

角質は、皮膚のうるおいを逃さないように、外の環境から肌を守る壁のような役割を果たしています。しかし、角質が増えすぎてしまうと硬くなり、その下の皮膚までも厚い角質に覆われてしまうため、肌の透明感が失われてしまいます。さらに、外部からの刺激が長期化すると、下の皮膚そのものが硬くなってしまうのです。

毛穴の角質が硬くなることも

毛穴の角質が局所的に厚くなってしまう場合もあります。この場合、毛穴がブツブツと硬く盛り上がって目立ってしまいます。
さらに、毛穴の中で硬い角質に阻まれると、毛が渦巻状に毛穴に閉じ込められているのが確認できることがあります。

■4.ひざの黒ずみの症状とタイプ、対策ケアとは

ひとくちにひざの黒ずみといっても、よく見ると黒ずみにはさまざまなタイプがあり、個人差もあります。

ひざの黒ずみの症状とタイプ、対策ケアとは

(1)黒ずみの症状

生理的な色素沈着

もともと肌の色は年齢や性別、部位によって個人差が出るもの。黒や茶色~褐色の色味には、「メラニン」という物質が大きく関係しています。このメラニンの量や分布が、肌の色に個人差がでる大きな要因です。

脇の下や外陰部、乳首などは、誰でも色が濃く、生理的に色素沈着がみられます。

色素沈着と女性ホルモン

色素沈着を悪化させるものといえば、真っ先に思い浮かぶのが「紫外線」ではないでしょうか。実は紫外線以外にも、私たちの「体内でつくられているホルモン」が色素沈着に深く影響を与えているのです。

特に、「女性ホルモン」は色素沈着に深くかかわっているといわれています。

角層の厚さと色素の濃さ

皮膚は三層構造をしており、一番鏡面の層を「表皮」と呼びます。表皮をさらに細かく分けたとき、最も外側の部分が「角層」です。

この角層の厚さや透明度も、色素の濃さに大きく影響を与えています。

(2)黒ずみのタイプ

黒ずみのタイプについて、具体的に解説していきます。

カサカサタイプ

黒ずみがカサカサして、白く粉を吹いているようになっているタイプ。このタイプの黒ずみは、乾燥が原因で起こります。

ガサガサタイプ

カサカサを通り越してガサガサになっているものは、角質が厚くなってしまったことが原因で黒ずみが起きています。

角質には血管がありません。そのため、厚くなり過ぎるとうるおいが十分にいき渡らなくなり、乾燥の原因となります。

乾燥が目立つタイプの黒ずみには、保湿や角質ケアを丁寧に行うことをおすすめします。

色が目立つタイプ

「くすんだように青黒くなっている」もしくは、「茶色~黒色で色が目立つ」黒ずみ。これは、色素沈着が原因です。

洗いすぎや、ゴシゴシと力任せにこするなど、過剰な角質ケアが原因の場合もあります。

また、血流が悪くなると血の色が黒っぽくなりますが、それと同様に、肌の色もぱっとしないどんよりとした色になってしまうのです。

■5.肌の黒ずみレベルと対処法

黒ずみはレベルによって対処法も異なってきます。ここでは、黒ずみレベル別に対処法をご紹介していきます。

黒ずみはレベルによって対処法も異なってきます。ここでは、黒ずみレベル別に対処法をご紹介していきます。

軽度の黒ずみ

他の場所と比べて、何となくひざが茶色っぽいかな? カサカサしているかな? と感じる程度のレベルであれば、まずはセルフケアを行ってみることをおすすめします。

セルフケアの方法については、後ほど詳しくご紹介します。

(1)気になる場合は美容皮膚科へ

「明らかに黒ずんでいる」「赤くなってプツプツしている」「毛穴がぶつぶつしている、もしくは岩のように硬くなっている」。このような場合は、セルフケアに加えて美容皮膚科を受診してみても良いでしょう。

専門のドクターに診てもらうことで、自分ではなかなか気づくことができない原因や黒ずみを悪化させる習慣がわかることもあります。

毛穴に原因がある場合は注意

美容医療の現場においてシミやシワの治療と比べると、毛穴の治療は難しいことがあるので、毛穴が原因の黒ずみの場合は注意が必要です。

毛穴は生理的な構造です。そのため、毛穴を完全に消し去ることは難しいのが現状です。

皮脂分泌や発毛など、毛穴は常に活動しています。そのため、一時的に対処はできても永久的な効果を得ることは難しいのです。

外観上、毛穴を小さく見せることは可能

表面が漏斗(ろうと)状に開いている毛穴や皮脂が詰まってしまった毛穴を改善し、外観上、毛穴を小さく見せることは可能です。

代表的な方法のひとつが「ケミカルピーリング」です。通常は、顔の施術で行う事が多いものですが、ひざなどの角質ケアにも適しています。

受診の前に確認を

すべての美容皮膚科でひざの黒ずみ治療を行っているわけではありません。まずは、希望の美容皮膚科で黒ずみの診療を行っているかを確認してから受診するようにしましょう

■6.黒ずみ改善のセルフケア

セルフケアとは、どのようなことを行えば良いのでしょうか? 具体的に解説していきましょう。

黒ずみ改善のセルフケア

(1)角質ケアと保湿ケアはセットで

角質ケアと保湿ケアは、セットで行うようにしましょう。角質ケアだけ行っても乾燥してしまう恐れがありますし、保湿ケアだけ行っても角質が良い状態でないと十分な効果は期待できません。

入浴前や入浴時のケア

入浴前や入浴時には、必要なうるおいを奪うことなく、ざらつきだけをオフする「肌に優しい角質ケア」を行いましょう。入浴後は、顔のスキンケアと同じように、水分と油分のバランスが取れた保湿ケアを行うようにしましょう。

角質ケアの注意点

角質ケア、といっても軽石などでゴシゴシとこするのはNGです。

美容皮膚科などで処方されたものを使用する、もしくは、市販のものでホームピーリングする際も、AHA(αヒドロキシ酸)などのフルーツ酸の配合された「ゴマージュ」、「ジェル」、「石鹸」などを選びましょう。

スクラブ使用時の注意

スクラブは、塩などのツブツブしたものが入っていて、角質を除去する目的で使用されています。頑固な角質には適していますが、やりすぎや力の入れ過ぎは肌を痛めてしまいます

また、粒子による刺激で肌トラブルを起こすこともあるので、目立たない所で少量試してから使用しましょう

(2)保湿剤の選び方

保湿剤を選ぶ際のポイントは、塗った際の保湿力はもちろんですが、保湿の「持続力」にも着目するようにしましょう。

一般的に、サラサラしたものは保湿の持続力が低く、ベタベタしているものが持続力が高い傾向にあります。ひざは顔と違い、比較的べたつきが気にならない部位なので、なるべく「塗った際の保湿力」と「保湿力が持続できる」ものを選びましょう

お気に入りの保湿剤を見つけて

どうしても「サラサラしたテクスチャーが好み」という方は、塗る頻度を増やすようにすると良いです。

その他、香りや見た目で選ぶのも良いです。自分のお気に入りを見つけることができれば、途中で飽きることなく最後まで使えるでしょう。

いくら効果が高い保湿剤を選んでも、塗る頻度や回数が少なければ効果がありません。

保湿対策は季節によって変える

保湿対策は季節によって変える

季節によって空気の乾燥の仕方が変わるように、「肌のうるおいも変わる」という方も多いことでしょう。保湿対策も、季節に応じて変えることが大切です。

冬場の保湿対策

「冬場は、特に乾燥が酷い」という方は、保湿力が強い製品に変えたり、塗る量を増やしたりすると良いでしょう

夏場の保湿対策

夏場は、保湿だけでなく「紫外線対策」も重要です。素足で外出する時は、足にも日焼け止めを忘れずに塗りましょう。

紫外線対策と同時に「美白ケア」も有効です。ただし、市販品で「美白」と銘打っていても、その効果が実証されていないものも多いので注意が必要です。

購入の際は、ビタミンC、コウジ酸、アルブチンなどの美白効果が認められている成分が入っているかチェックしましょう。

(3)冷え対策も忘れずに

冷えもひざの黒ずみの原因になります。身体を冷やさないことが黒ずみのケアにつながります。

特に、「自分は冷え症ではない」と思っている人でも、冷えが隠れていることがあります。冬場はもちろんですが、夏場にも冷やさないようにすることがポイントです。

ストレッチが冷えに有効

ストレッチが冷えに有効

普段、運動する習慣が無い人は、ストレッチなど簡単なことから始めてみてはいかがでしょうか。身体を動かすことは、冷え対策に効果的です。無理のない程度に身体を動かすことを意識してみましょう。

ストレスも大敵

血の巡りである血流は、東洋医学的には「気の巡りと関係が深い」ことが多く、ストレスも影響も受けやすいといわれています。なので、ストレスを溜めないようにすることも冷え対策に効果的です。

質の良い睡眠を

「よく食べ」「よく動き」「よく眠る」基本的な3つのことですが、これが軸となります。「どこから改善していいのかわからない」という方は、たっぷりと眠ることから始めてみましょう。

質の良い睡眠を取ることができれば、すっきりした目覚めを迎えることができます。目覚めが良ければ、一日テキパキと気分良く行動することができます。

テキパキと行動してしっかり身体を動かせば、血流が良くなり、黒ずみ対策になると同時に、ふくらはぎのむくみも取れるので、一石二鳥です。

「よく食べ」「よく動き」「よく眠る」基本的な3つのことですが、これが軸となります。「どこから改善していいのかわからない」という方は、たっぷりと眠ることから始めてみましょう。

保湿ケアや角質ケアの他に、日常生活にも気をつけることが大切です。毎日のセルフケアをしっかりと行って、綺麗なひざを保てるようにしたいものですね。

あまりに黒ずみが気になる場合は、専門医に診てもらうことをおすすめします。

(美容ライター/大中千景)

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