冬は肌の乾燥が特に気になる季節です。多くの女性の悩みである乾燥肌を改善したいなら、まずは基本のスキンケアのひとつ「乳液」を見直してみませんか?
乾燥肌を引き起こすさまざまな原因や改善のための対策、適した乳液の選び方をご紹介します。
■目次
1.乾燥肌の症状別原因と対策
(1)肌がピリピリする「乾燥性敏感肌」
(2)乾燥しているのにテカる「脂性乾燥肌」
(3)白っぽく粉をふく「超乾燥肌」
(4)加齢により皮脂が減少した「加齢性乾燥肌」
2.乾燥肌になりやすい肌質タイプ
3.乾燥肌の原因
4.乾燥肌の対策
(1)加湿を行なう
(2)正しい入浴方法
(3)生活習慣の改善
5.顔の乾燥対策に適したスキンケアの選び方
(1)クレンジング・洗顔
(2)保湿
6.乾燥肌を予防する食べ物
■1.乾燥肌の症状
「肌の乾燥が気になる」とひとことでいっても、症状は人それぞれ異なります。乾燥肌にはどのような症状があるのでしょうか?
(1)肌がピリピリする「乾燥性敏感肌」
肌に潤いを与えるスキンケアでしっかりと保湿を行っても、化粧水やクリームがしみて肌がピリピリするという症状があります。これは、「乾燥性敏感肌」とよばれるものです。
そのままの状態にしておくと、乾燥や肌荒れはますます酷くなっていき、肌が刺激に負けてトラブルを起こしやすくなってしまいます。
(i)乾燥性敏感肌の原因とは?
乾燥性敏感肌の原因は、角質層のバリア機能が低下し、肌の内部にある水分が減少することです。乾燥することで肌表面にある表皮がはがれ、角質層にできたすき間部分からどんどん水分が蒸発してしまいます。
角質層に潤いがなくなると、肌細胞が紫外線や雑菌など外部からの刺激に弱くなり、防御することができなくなるため、乾燥がさらに進んで肌荒れを起こします。刺激に対して敏感になるため、肌がピリピリするだけではなく、炎症を起こし深刻な状態になることもあります。
(ii)乾燥性敏感肌を改善する方法は?
乾燥性敏感肌を改善するには、必要な皮脂まで取り除きすぎないことが大切です。
そこで気をつけたいのが、クレンジングや洗顔。女性は化粧をすることが多く、クレンジングや洗顔で顔を洗う時間も長くなりがちです。
肌が敏感になっているときは、クレンジングや洗顔を1分半以内くらいに終わらせるのがポイントです。洗顔料は、お肌にやさしい固形石鹸やクリームタイプが、洗いあがりもしっとりとして潤いが残ります。
また洗顔の際、熱いお湯は必要な潤いを奪う原因になるので、ぬるま湯にしましょう。
(iii)乾燥性敏感肌によい乳液は?
肌にしっかりと化粧水を浸透させた肌にふたをするのが、乳液の大切な役割です。乾燥から肌を守るために、保湿成分の高い乳液を選んでみましょう。
セラミドが配合されている乳液は、肌のバリア機能を高める効果が期待できます。
また乾燥性敏感肌は、少しの刺激に対しても敏感な状態なので、時には痛みを感じることも。肌への刺激が少ない、低刺激性のやさしいタイプの乳液を選びましょう。
乳液だけでなく、化粧水などほかのスキンケア選びも同じように、添加物の少ないものを選んで、トータルでケアすることも大切です。
(2)乾燥しているのにテカる「脂性乾燥肌」
きちんと洗顔していても鼻やTゾーンのあたりは皮脂でテカる。それなのに、頬やフェイスラインは乾燥気味……という肌は、「脂性乾燥肌」や「混合肌」と呼びます。
部分によって皮脂が出る量に差がある状態のため、ベタつく部分とカサつく部分の両方を感じるのです。日本人に特に多い症状ともいわれています。
(i)脂性乾燥肌の原因とは?
脂性乾燥肌の原因は大きく分けて、外的要因と内的要因があります。 外的要因には、季節の変わり目や紫外線、エアコン、喫煙やアルコール、食習慣などが挙げられます。
そのほか、洗顔をし過ぎるといった間違ったスキンケアも原因になります。脂っぽさが気になり洗顔を頻繁にすると、必要な脂分を取り除いてしまい、逆に過剰に油分を分泌してさらに脂っぽく感じることもあるのです。
内的要因には、ストレスやホルモンバランスの乱れがあげられます。ストレスを感じると肌は、体内に活性酸素をたくさん発生させ、肌のハリや免疫の低下を招くことになります。また、ニキビが増殖したり、自律神経が乱れたりして、ターンオーバーの遅れにもつながります。
生理前後はホルモンバランスが乱れがちです。その影響で肌のコンディションも崩れやすくなります。Tゾーンが脂っぽい場合は、内臓の働きが落ちていることも。
体内の働きと肌は密接な関係があり、肌に与える影響も大きいのです。
(ii)脂性乾燥肌を改善する方法は?
脂性乾燥肌の状態がわかったら、まず洗顔方法を改善してみましょう。皮脂でベタつくからと、洗顔を何度もするのは、逆効果です。
必要な皮脂を奪いとりすぎると、肌表面を潤す膜がなくなり、肌の内側から水分が蒸発します。するとお肌は皮脂で潤そうと、どんどん皮脂を出してしまいます。
このサイクルから抜け出すには、刺激の弱いクレンジングと洗顔料で肌をやさしく洗うのがポイントです。そして、肌への負担が少ないぬるま湯で流すようにしましょう。
洗顔の回数も一日3回までに。潤いを取りすぎないよう控えめにしておきましょう。
(iii)脂性乾燥肌によい乳液は?
Tゾーンのテカリやベタつきも、もとをたどると乾燥によるもの。肌の表面に乳液でふたをしなければ、肌の水分を肌内部にしっかりとどめておくことができません。脂っぽさが気になる部分にも乳液を塗るようにしましょう。
鼻やTゾーンのテカリが乾燥よりも気になるという場合には、さっぱりタイプの乳液もあります。また、ニキビができやすいという人には、油分の入っていないタイプの「オイルフリー」もおすすめです。
肌の脂っぽさと乾燥のどちらが特に気になるか、自分自身の肌質に合わせて乳液の選び方を工夫してみましょう。
(3)白っぽく粉をふく「超乾燥肌」
肌がかさかさして硬くなっている、白っぽく粉をふいている状態は、乾燥がさらに進んでいる「超乾燥肌」の状態です。そのほかにも、洗顔後すぐに肌のつっぱりを感じるという症状もみられます。
(i)超乾燥肌の原因とは?
外部からの刺激で角質層が傷つき、バリア機能が失われることが超乾燥肌の原因です。
洗顔でゴシゴシ洗ったり、肌に合わないスクラブ剤や拭き取り化粧水、クレンジングを頻繁に使用したりして、日々の肌への負担が蓄積されると、肌の角質層への大きなダメージになります。
また、生活環境にも原因があります。乾燥している肌が、暖房でさらに乾燥している空気に触れると、角質層の水分が蒸発してはがれやすくなり、超乾燥肌を招くのです。
(ii)超乾燥肌を改善する方法は?
超乾燥肌の人は、日ごろから間違った洗顔方法を続けている可能性が考えられます。
超乾燥肌の改善のために、保湿はもちろん大切ですが、洗顔で肌の潤いを奪わないこともとても大切。
必要な皮脂を失わないように、クレンジングや洗顔料を使わずぬるま湯で洗うだけにして、肌の様子をみましょう。
洗顔後は、そのままにしておくとつっぱりやすく、すぐに乾燥してしまいます。速やかに化粧水で、水分をたっぷり与えましょう。
(iii)超乾燥肌によい乳液は?
超乾燥肌の人は、化粧水の蒸発を防ぐために乳液も素早くつけるようにしましょう。
乳液は油分の入ったしっとりしたタイプのものをつけると、肌内部に十分な潤いを保ってくれます。肌が過敏な状態であるため、刺激の少ない添加物の入っていない乳液を選ぶようにしましょう。
化粧水や乳液を塗っても痛みを感じたり、症状が改善しないときは、早めに専門の医師に相談してみてください。
(4)加齢により皮脂が減少した「加齢性乾燥肌」
年齢を重ねると乾燥が気になり、しわが目立つ、カサつくという症状が現れるようになります。これは「加齢性乾燥肌」と呼ばれるもので、加齢とともに見られる症状です。
(i)加齢性乾燥肌の原因とは?
加齢とともに皮脂の減少が進み、肌のバリア機能が弱まるのが原因です。肌を保湿する皮脂や汗が少なくなると、肌の角質層から水分が蒸発しやすくなります。そのため、肌の保水にとって大切な成分である角質層のセラミドやコラーゲンも減少し、乾燥を感じやすくなるのです。
(ii)加齢性乾燥肌を改善する方法は?
加齢性乾燥肌は、皮脂があまりない肌状態です。熱いお湯での洗顔は、潤いを奪ってしまう原因となるため、熱いお湯での洗顔や入浴は避けるようにしましょう。また保湿をたっぷり行うのも大切です。
食事でも改善することができます。良質の油分を含んだ食品を適度に摂るように心がけましょう。
(iii)加齢性乾燥肌によい乳液は?
肌の細胞間脂質の中にあるセラミドの減少により引き起こされる加齢性乾燥肌には、セラミドが配合されている乳液を選ぶとよいでしょう。
セラミドには、動物性セラミド、植物性セラミド、ヒト型セラミドなどの種類があります。中でも酵母から生成されたヒト型セラミドは、人の肌にあるセラミドとよく似ているという特徴があり、保湿力にも優れています。
選ぶ際は、成分表示をよく見て選んでみましょう。
■2.乾燥肌になりやすい肌質タイプ
乾燥肌になりやすい人には、肌質にも特徴があるのでしょうか?
(1)毛穴が目立ちにくい
顔全体の毛穴が目立ちにくいタイプは、皮脂の分泌がそれほど活発でないため、乾燥肌になりやすい肌質といえます。
鼻の周囲だけ毛穴が目立つという人の場合、あまり乾燥を自覚していないこともあります。Tゾーンや鼻には皮脂がでているものの、頬やあごなど部分的に乾燥が見られる肌質です。
(2)皮膚が薄い
目の周りは多くの人が乾燥を感じやすい部分のため、皮膚が他の部分に比べると薄く、血管が透けて見えることがあります。乾燥を感じやすい肌質の人には、頬や顔全体なども皮膚が薄く、乾燥したように感じている場合があります。
■3.乾燥肌の原因
肌がカサカサしているという乾燥肌の症状は、空気が乾燥する季節の悩みと思われがちです。
しかし現代では、夏にクーラー、冬に暖房とエアコンをつける機会が増え、年間を通して感じる肌トラブルとなっています。潤いのある肌を保つために、乾燥肌の原因を知りましょう。
(1)間違ったお手入れ方法
間違ったお手入れを行なうことは、肌の皮脂や角質層内部にある潤い成分を奪う大きな原因になります。
乾燥肌で皮膚科を受診する人のほとんどが、皮膚疾患によるものではなく、間違ったお手入れ方法によるものだそうです。
洗顔やメイク落としのあとに肌がつっぱるのは、必要な皮脂まで洗い流してしまっている証拠です。洗いすぎも乾燥を招く原因となります。
(2)季節や室内環境
日本には四季があるため、季節によって気温や湿度に変化があります。冬は特に気温や湿度が低下し、空気が乾燥しやすいため、乾燥を招きやすい時期です。
季節の変わり目や、極端に冷えるといった環境の変化によるストレスで新陳代謝が乱れ、乾燥肌を引き起こすこともあります。
(3)生活習慣の乱れ
体内の働きと肌は、密接に関わりを持っています。睡眠不足や不規則な生活習慣は、乾燥肌のみならず、さまざま肌トラブルを引き起こす原因です。
食事もそのひとつです。肌は食べるものから作られるため、栄養不足が、乾燥肌の直接的な原因になることも。不規則な食事、食事を抜く、偏食、無理なダイエットなどは、栄養バランスを崩すことにもなり、肌への影響も大きいのです。
(4)加齢
肌の保湿成分である皮脂や汗は、年齢とともに減少するため、肌内部の潤いも奪ってしまい、乾燥の原因になります。
加齢によって女性ホルモンが減少することも乾燥の要因のひとつです。
■4.乾燥肌の対策
乾燥肌の原因がわかったら、対策をしっかりと対策を行い、潤いのある肌を手に入れましょう。乾燥肌の対策をご紹介します。
(1)加湿を行なう
エアコンで冷房や暖房をかけると、空気が乾燥してしまいます。乾燥肌は、湿度が30%以下になると肌の水分が蒸発し始めるため、加湿器を用いて湿度を保つようにしましょう。
植物や水を入れたコップを置くのも効果的です。
(2)正しい入浴方法
毎日行う入浴は、やり方によっては必要な潤いを奪ってしまうことにつながります。正しい入浴方法を抑えて、乾燥肌を防ぎましょう。
(i)こすりすぎない
汚れを落とすことは大切ですが、こすりすぎると角質層が傷ついて乾燥を招く恐れがあります。洗顔を行なうときは、洗顔料をしっかりと泡立ててやさしく洗いましょう。
(ii)お湯はぬるめが◎
熱すぎるお湯は、肌に必要な皮脂まで取ってしまい、乾燥を助長することになります。お湯の温度は40度を超えない位が適温でしょう。
(iii)風呂上りの保湿を
入浴後すぐの肌は、肌表面を潤す皮脂膜がとれ、乾燥しやすくなっています。そのままの状態にしておくと水分が失われ、乾燥によるかゆみが出ることも。お風呂上りは早めに保湿を行いましょう。
(3)生活習慣の改善
乾燥対策を身体の内部から働きかけるには、日常生活の見直しもポイント。そのためには、生活習慣をひとつひとつ改善していくことが大切です。
(i)睡眠をとる
睡眠不足によって新陳代謝が遅れ、新しい皮膚細胞に生まれ変わるサイクルが乱れがちになってしまいます。
深い眠りであるノンレム睡眠は、成長ホルモンを盛んに分泌し、傷ついた細胞の修復や再生を促進するため、十分な睡眠をとりましょう。
(ii)栄養バランスのよい食事をする
栄養バランスのよい食事は、肌を丈夫にしてくれます。中でも肉や魚、大豆に多く含まれているたんぱく質は、肌細胞にとって大切な栄養素です。毎食取り入れるようにメニューを工夫し、積極的に摂るようにしましょう。
旬の野菜や果物には、栄養分が特に多く含まれます。旬のものを1品ずつ食事に取り入れるのもおすすめです。
(iii)運動をする
運動をすると、食事から摂った栄養を肌細胞にしっかり届けて、肌の新陳代謝を促す役割をしてくれます。肌細胞に栄養が届くことで、乾燥肌の改善につながります。
(iv)喫煙を控える
喫煙は体内の活性酸素を増やし、肌の栄養に不可欠なビタミンCを破壊して、肌細胞に直接ダメージを与えます。喫煙は控えるように心がけましょう。
■5.顔の乾燥対策に適したスキンケアの選び方
お肌が敏感になっている乾燥肌をより早く改善するためには、どのようなスキンケアを行なうとよいのでしょうか?
(1)クレンジング・洗顔
クレンジングはメイクの汚れをしっかりと落とすのが目的ですが、肌に必要な皮脂や角質まで落とすと、乾燥をさらに促進します。
刺激の強いものは避けて、クリームタイプのやさしいものを使用しましょう。
(2)保湿
洗顔後はすぐに、たっぷりの化粧水で潤いを補給します。乾燥の度合いによっては、化粧水がしみることがあるので、刺激の少ないアルコールフリーや、無添加のものを選びましょう。
化粧水を肌に閉じ込めるには、乳液で肌にふたをするのも大切です。 目のまわりや口のまわりなど乾燥を特に感じやすい部分は多めにつけるなど、肌の乾燥の度合いに合わせて量を調節してみましょう。
■6.乾燥肌を予防する食べ物
肌の乾燥は、食生活とも関係しています。栄養素が不足することで乾燥肌を引き起こしているかもしれません。
乾燥肌を予防する栄養素と、それが含まれている食べ物をご紹介します。
(1)ビタミン
ビタミンは身体の調子を整える栄養素です。お肌にとって大切な役割をしてくれるビタミンA、ビタミンB、ビタミンCは、乾燥肌を予防するのに効果的なため、積極的に摂りましょう。
(i)ビタミンA
皮膚の粘膜や潤いを保つ役割をしてくれるのがビタミンAです。 サバやイワシといった青魚、牛乳やチーズなどの乳製品、卵、レバー、ウナギなどに多く含まれています。
(ii)ビタミンB
肌の炎症を抑えたり、新陳代謝を活発にしてくれるのがビタミンBです。 豚肉や大豆、納豆、卵などに多く含まれています。
(iii)ビタミンC
コラーゲンの生成を促したり、皮膚の老化を防ぐ抗酸化作用のあるのがビタミンCです。パプリカやブロッコリーなどの野菜、キウイフルーツや苺などの果物に多く含まれています。
(2)たんぱく質
水分をたっぷりと含む天然保湿因子を、角質細胞の中でつくりだすのに必要なのがたんぱく質です。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品に多く含まれます。たんぱく質を分解する働きのあるビタミンB6と一緒に摂取すると、効率よく吸収できます。
肌の乾燥は、症状や原因もさまざまです。まずは、自分自身の肌の乾燥の症状が、どのような原因で起こるのか知ることから始めましょう。乾燥肌をより早く効果的に改善するために、乾燥肌に適した乳液選びや、生活習慣の見直しを行って、肌トラブルの解消を心がけてください。
(美容ライター/子育てママライター 杉谷敦子
スキンケアブランドでビューティーアドバイザーをした経験を活かし、美容ライターとして活動する3児のママ。)
【関連記事】
・首と手元も「顔」と思って!プロが教える「顔のお手入れ」
・100均で揃う!保湿ケアを底上げする「美容ツール」4選
・マスクでバレない!たるみ、ほうれい線撃退の「顔ヨガ」4つ
・老け見えの元「口元のシワ」対策に◎口輪筋を鍛える顔ヨガ2つ