ふと、鏡を見た時に「自分の顔が老けて見えた」という経験はありませんか? 老け顔は、加齢によるものだから仕方ないと思われがちですが、実は、何気ないクセや生活習慣、食生活によって老け顔を招いてしまうこともあります。
今回は、コスメコンシェルジュの筆者が「老け顔に見られる要因」を詳しくご紹介します。若く見えるヘアメイクや老け顔にならないために心がけたい習慣など、すぐに実践できるような改善方法をご提案します。
■目次
1.老け顔に見える原因
2.老け顔を改善する方法
(1)フェイスラインすっきりマッサージ
(2)頬のたるみ解消を促すマッサージ
(3)表情筋エクササイズ
(4)保湿を中心としたスキンケア
(5)質の良い睡眠
(6)肌に良い成分をとり入れた食生活
3.老け顔の要因をつくるもの
4.若見えを叶えるヘアメイク法
(1)ベースメイク
(2)コンシーラー
(3)ハイライト・シェーディング
(4)ヘアスタイル
(5)ヘアケア
5.老け顔にならないために心がけたい生活習慣
■1.老け顔に見える原因
「パッと見た時に、老け顔に見えてしまう」その原因はどこにあるのでしょうか? 老け顔に見える原因について詳しく説明します。
(1)肌のたるみ
フェイスラインや頬がたるみ、ハリのない肌は老け顔に見えてしまいます。たるみができると影ができ、全体的にくすんで見えることから年齢よりも老けた印象を与えてしまうのです。
私たちの肌は、肌内部の真皮にある「コラーゲン」や「エラスチン」によって、ハリやうるおいが保たれています。真皮内に張り巡らされているコラーゲン繊維は、ベッドのスプリングのようなもので、エラスチンはそのコラーゲン繊維を束ねることで、肌の弾力を司っています。
しかし、真皮のコラーゲンやエラスチンは、20代半ばをピークに減少していきます。なかでもコラーゲンは、40代以降になると新しくつくられることはほとんどなく、たるみの原因につながります。
(2)くすみ
肌本来の透明感が失われて顔色がくすむことも、老け顔に見える原因です。くすみは肌表面が荒れている状態なので、外の光に当たっても肌の透明感は乏しく、顔の印象が疲れて見えます。また、ネガティブな印象に見えることもあります。
くすみの原因は、大きく分けて3つあります。それは「血行不良」「ターンオーバーの乱れ」「糖化」です。
血行不良
血行不良になると、人の筋肉が活動するたびに排出される二酸化炭素が滞り、血液が黒っぽくなることで肌のくすみが生じます。
ターンオーバーの乱れ
加齢やストレスによるターンオーバーの乱れも、くすみの原因になります。本来、垢となって排出される古い角質がターンオーバーの乱れによって排出されないと、角質が分厚くなって曇りガラスのように不透明なくすみ肌を招いてしまうのです。
糖化
肌の糖化について今ひとつピンとこない人も多いかもしれませんが、食事で得た糖分とたんぱく質(コラーゲン、エラスチン等)が結合することで「AGEs」という終末糖化生成物が作られます。このAGEsが蓄積されることで、肌が黄色くくすんでしまいます。
わかりやすく例えると、食パン(糖)を焼いたときに焦げてしまうことも糖化現象のひとつです。熱によって、食パンのタンパク質と糖が結合することで、褐色になるのです。
(3)シワ
老け顔に見られる原因として、よく挙げられるのが「シワ」です。シワには、たるみによってできるシワ、乾燥によってできる小ジワ、表情を動かすことでできるシワがあります。
ほうれい線
ほうれい線は、肌のたるみや筋力の衰えが影響しています。これは、表情筋が加齢によって衰えることで、皮膚や脂肪を支えきれなくなり、肌がたるむことで、シワ(ほうれい線)が目立ってしまいます。
肌の乾燥による小ジワ
加齢だけではなく、肌の乾燥によってちりめん状の小ジワが現れることもあります。乾燥による小ジワは、肌のうるおい不足で角質が厚くなり、肌表面のしなやかさが失われている状態です。
早めのスキンケアで対処することができますが、放置していると深いシワとなって改善しにくくなるので注意が必要です。
表情によるシワ
目尻や眉間、額にできる表情ジワも老け顔の原因になります。表情ジワは、同じ表情を繰り返すことでできやすいのが特徴です。
(4)シミ
顔に茶色っぽいシミができると、見た目年齢に大きな変化をもたらします。シミの種類によって原因は異なりますが、共通していえるのは、「一度できてしまうとセルフケアによる解消が困難である」ということです。
紫外線によるシミ
シミの原因として最も多いのが、紫外線によるものです。
紫外線を浴びると「メラノサイト」が刺激され、「メラニン」を生成することで肌を守ろうとします。このメラニンがシミの原因につながるのです。
また、シミの中には遺伝によってできるそばかす(雀卵斑/じゃくらんはん)や女性ホルモンの影響で発生する肝斑もあります。スキンケアによる改善が期待できるわけではありませんが、紫外線を浴びることでシミが濃くなる場合があるので注意が必要です。
(5)時代に合わないメイク
時代とともに、メイクのトレンドも常に変化しています。年齢によっても合うメイクと合わないメイクがあり、時代や年齢に合わないメイクを行うと、老け顔に見えることがあるのです。
「ラメを使ってキラキラさせるメイク」「涙袋を強調させるメイク」などの若い時のメイクを引きずっていませんか? 「若い頃は似合っていたのに今は違和感を感じる」というメイクをしている人は、年代に合わせたメイクにチェンジしましょう。
(6)ツヤとボリュームを失った髪
ツヤのないパサパサした髪、または、ボリュームを失った髪は、全体的に老けて見えることもあります。
日本人女性の毛髪は平均10万〜12万本あり、一定の周期(毛周期)を繰り返して生え変わります。毛周期を繰り返すことで硬くしなやかだった髪の毛が次第に柔らかくなり、本数とともにボリュームが失われるのです。
また、ストレスや更年期の影響で女性ホルモンのバランスが乱れると、血行が悪くなり髪の毛に充分な栄養が行き渡らなくなるため、髪の毛が傷みツヤがなくなります。紫外線の影響でキューティクルが開き、剥がれ落ちることで、髪の毛がパサついてしまうこともあります。
(7)顔の構造上の問題
老け顔に見られる原因は、加齢だけではありません。元々の骨格や脂肪のつき方によって、年齢に関係なく老けて見られる場合があります。
例えば、眉とまぶたの間の部分がくぼんでしまう「くぼみ目」は、加齢だけではなく骨格の差や皮下脂肪量、表情筋などの構造的な差によってできるといわれています。
また、目の下にできるたるみも、面長で眼窩(目玉の穴)がタテに長い人にできやすいという指摘もあります。
目元のくぼみや目の下のたるみは影ができるため、見た目の印象が老けて見えてしまいます。
■2.老け顔を改善する方法
顔の構造上の問題をのぞき、老け顔をセルフケアで改善する方法がいくつかあります。大切なのは、スキンケアだけに頼らないことです。
スキンケアはもちろん、マッサージやエクササイズ、睡眠や食生活の改善によって、老け顔の原因を簡単にケアすることができます。
(1)フェイスラインすっきりマッサージ
フェイスラインのたるみ解消マッサージをご紹介します。
(1)両手の人差し指と中指でピースのポーズをとり、指を丸めます。そのままの状態で両手をあごの下に持っていき、人差し指をあごの下、中指をフェイスラインに添えるようにしてフェイスラインを軽く挟んでください。
(2)あごの下から両耳の下に向かって両手を滑らせ、リフトアップを意識しながらフェイスラインをマッサージしてください。1回につき3回繰り返すだけでマッサージ完了です。
(2)頬のたるみ解消を促すマッサージ
血液やリンパの流れを良くして、頬などのたるみ解消を促すマッサージをご紹介します。
(1)指の腹で頬をプッシュします。指に力が加わりすぎないよう注意し、頬→鼻筋→眉間に向かって移動させます。
(2)次に、こめかみをぐっと押さえ、フェイスラインに沿っておろしていきましょう。
(3)耳の下から首筋に沿って、押さえるポイントを移動させます。首筋を沿る際は、鎖骨の付け根の内側に指を押し込むようにするのがポイントです。
顔のマッサージは、力を入れすぎて必要以上に圧をかけないようにしましょう。手を動かす方法によっては、逆効果になることもあります。指の腹でやさしく押すように心がけましょう。
(3)表情筋エクササイズ
たるみはもちろん、たるみによるシワをケアしたいなら筋肉の強化が必要不可欠です。いずれも短時間で行うことができますし、やり方を覚えれば“ながらエクササイズ”もできるので、ぜひトライしましょう。
最も簡単な表情筋エクササイズは「た・ち・つ・て・と」の口の形を繰り返す方法です。「た・ち・つ・て・と」は、表情筋を刺激するのに良い動きをし、顔全体のリフトアップも期待できます。
口角を高くすることと、小鼻の横や頬の筋肉を意識することがポイントです。
顔に力を入れ、思いっきり縮めたあとに「パッ」と開くエクササイズも、表情筋を思いっきり伸縮させることで血行やリンパの流れを促し、老け顔やお疲れ顔の解消に役立ちます。
顔をギュッと縮めてパッと開く、これを10秒間続けるだけの簡単エクササイズです。
特に老廃物がたまりやすい朝にこのエクササイズを行うと、血行が良くなり、眠気もなくなるでしょう。
(4)保湿を中心としたスキンケア
加齢による肌トラブルは、「肌内部の水分量の低下」「紫外線による光老化」が挙げられます。
特に、肌内部の水分量が低下すると、外的ダメージから肌を守るバリア機能の働きが弱くなってしまうため、ますます老け顔を招くことにつながります。
保湿ケアによって肌を乾燥させないようにすることで肌のターンオーバーが活発になり、若々しい肌を目指すことができます。
また、肌の水分量をキープすることで皮脂分泌をコントロールすることができるので、乾燥肌の方だけではなく、脂性肌の方も保湿ケアを重点的に行いましょう。
スキンケアは「清潔な手」で行いましょう
スキンケアの際に、「コットンを使うのと素手で使うのではどちらがいいの?」という疑問を持っている方も多いでしょう。
コットンは、顔全体にまんべんなく水分を与えることができるメリットがありますが、摩擦によるダメージが心配です。一方、素手を使ったスキンケアは、体温によって成分が浸透しやすく、肌への刺激を抑えることができます。ムラにならないよう意識し、清潔な手でスキンケアをしましょう。
(5)質の良い睡眠
就寝中に成長ホルモンが分泌されることで肌細胞が分裂し、肌のターンオーバー(肌の生まれ変わり)が行われています。
特に、午後10時から午前2時までの間は肌のゴールデンタイムと呼ばれており、ターンオーバーが活発になる絶好のタイミングです。
しかし、睡眠不足や浅い眠りでは成長ホルモンが分泌されにくく、ターンオーバーが滞る原因になるので注意が必要です。
質の良い睡眠をとるには
質の良い睡眠で老け顔を改善するなら、眠る前の環境を整えることが大切です。「眠る前の3時間前は食事をとらない」「眠る時は、スマートフォンなどを操作せず部屋を真っ暗にする」といった心がけが睡眠環境を整えます。
眠る前の飲食は、胃が働き続けることになり身体が休まりません。また、スマートフォンの使用なども注意が必要です。わずかな光でもまぶたを通して目に入り込み、刺激となって脳や身体の休息を妨げます。
「睡眠時間や起きている時間が一定ではない」「睡眠前に飲食やスマートフォンの操作をしている」という方は、環境改善に取り組みましょう。
(6)肌に良い成分をとり入れた食生活
食生活は、必要な栄養を毎日バランスよく食べることが基本です。なかでも、緑黄色野菜の多くに含まれる抗酸化成分は、肌のターンオーバーを阻害する活性酸素を除去する働きがあります。老け顔の原因である、たるみやシワ、しみの予防につながります。
良質な油をとる
若々しい肌を目指すためには、良質な油をとることも大切です。油は高カロリーなイメージがあるので敬遠されがちですが、脂質はエネルギー変換に必要ですし、女性ホルモンのもとにもなります。
不飽和脂肪酸を含むオリーブオイルやごま油、オメガ3系の亜麻仁油や魚油などが良質な油として挙げられます。
■3.老け顔の要因をつくるもの
老け顔の原因は加齢だけではありません。では、老け顔の要因となるものは何があるのでしょうか? 日常生活を振り返りながらチェックしていきましょう。
(1)紫外線や乾燥などの外的ダメージ
紫外線や乾燥などの環境によるダメージは、メラニンの生成や肌の水分量低下を招きます。その結果、シミやシワ、くすみなどの肌老化の原因をつくります。
(2)間違ったスキンケアや洗顔
間違ったスキンケアや洗顔も老け顔に見られる要因をつくります。
例えば、化粧水をたっぷりつけても肌がカサカサになってしまう人は、肌表面の油分が不足しているサインです。また、洗顔の際に顔をゴシゴシこすることや過剰な洗顔は、肌の乾燥を招き、くすみやシワ、シミの原因になります。
(3)表情を動かす機会が少ない
表情を動かす機会が少ないと筋力が衰えて、たるみやシワを引き起こします。特に、表情筋を動かす機会が少ない(デスクワークが中心の方や長時間のスマートフォンの操作、映画鑑賞に夢中になる)方は注意が必要です。
(4)栄養のかたよった食生活
普段の食生活において、糖分や脂質をとりすぎている方は要注意です。
糖分のとりすぎは、糖化による黄ぐすみや肌荒れを起こす場合があり、脂質のとりすぎは、血行不良や皮脂の分泌量増加を起こす場合があります。
自炊する機会がなく外食が中心という方も、栄養バランスを意識する必要があるといえるでしょう。
(5)喫煙やストレス
喫煙やストレスによって体内に活性酸素が発生すると、細胞がサビついて老け顔の原因につながります。また、喫煙は体内のビタミンCを破壊してシミや抜け毛を招くこともあります。
■4.若見えを叶えるヘアメイク法
老け顔に見えるポイントは、ヘアメイクでカバーしましょう。
こちらの画像は、筆者(32歳)のすっぴん顔です。全体的に暗く、疲れてみえると思います。フェイスラインもぼやけていて、顔にメリハリがなくのっぺりしているという印象もありますね。
髪がパサついているのも老け顔にみえてしまう原因のひとつです。
そして、こちらの画像がヘアメイク後になります。肌に透明感が生まれたことで若々しい肌にみえますね。また、顔に立体感が生まれたことでフェイスラインがぼやけず、全体のバランスが整います。
次に、ヘアメイクのポイントについてご紹介します。
(1)ベースメイク
ツヤを出したり毛穴やくすみをカバーするためには、リキッドファンデーションの使用をおすすめします。パフを使って塗布することで、ムラなく均一に伸ばすことができ、ファンデーションが肌に密着しやすくなります。
また、フェイスパウダーをあえて使用しないことで、ツヤ感や立体感を出すことができます。
(2)コンシーラー
シミやほうれい線などをカバーするためには、コンシーラーが便利です。
シミをカバーする際は、肌と同じ色味のコンシーラーを使いましょう。ブラシを使ってシミの周囲を放射線状に動かすことで、コンシーラーが自然になじみます。
ほうれい線は、シワに対してコンシーラーを直角に入れるのがポイントです。色味は、肌の色よりも少し明る目が良いでしょう。
口角を引き締めたい場合は、口角に沿ってコンシーラーで「ク」の字を描きます。
(3)ハイライト・シェーディング
顔の立体感を出すには、ハイライトとシェーディングが役に立ちます。
フェイスラインのたるみには、シェーディングを顔の輪郭に沿って入れるのがポイントです。肌の色よりもワントーン暗い色を使い、こめかみからアゴの下まで滑らせながら入れていきましょう。
この場合は、スティックタイプが便利です。
ハイライトは、Tゾーンと目の下に入れるだけで充分です。パウダータイプを使用すれば、自然にふんわりと乗せることができますよ。
Tゾーンにハイライトを入れる際は、テカってみえてしまうので鼻の頭まで入れないようにすることがポイントです。
(4)ヘアスタイル
髪のボリューム感を出したい場合は、ホットカーラーやヘアアイロンが便利です。
分け目を変えることで、タテにボリュームを出すことができます。実は、同じ分け目を続けることが薄毛の原因になることもあります。頭頂部のボリュームを出すためには、髪の毛を少しだけ濡らし、根元にドライヤーを当てると良いですよ。
(5)ヘアケア
ツヤのある髪を目指すなら、洗い流さないトリートメントがおすすめです。
洗い流さないトリートメントは、オイルタイプとエマルジョン(乳液)タイプが主流ですが、髪をしっとりまとめたいならエマルジョンタイプ、髪にツヤを与えたいならオイルタイプを選びましょう。
■5.老け顔にならないために心がけたい生活習慣
老け顔は、セルフケアによる改善やメイクによってカバーすることができますが、それだけでなく、心から“明るい気分”でいることが若々しい印象を与えるポイントになるといえるでしょう。
例えば、ストレスを抱えていると活性酸素の発生でシミやくすみにつながるほか、表情も暗くなってしまいます。
時には気分転換をしてリフレッシュをして、笑顔でいる時間が増えるように意識することが大切です。
また、姿勢を正す、明るい服装で過ごすことも見た目の印象を大きく変えます。
老け顔に見える要因は、必ずしも加齢だけとは限らないので、普段の生活習慣や食生活、スキンケア方法を見直すきっかけにもしてみてくださいね。
(コスメコンシェルジュ/美容ライター 岸田茉麻)
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【参考】
※女性頭髪の加齢変化 – 中村雅子
※顔形態の加齢変化と顔形状との関連性について – ポーラ
※友利 新 「最新版 肌美人になる スキンケアの基本」 (2014) 学研パブリッシング
※小西 さやか 「コスメのプロが毎朝、実践する 1分メイク& 1分スキンケア」 (2016) 青春出版社
※間々田佳子 「顔ヨガ講師・間々田佳子の ビジネスに効く顔ヨガ」 (2014) All About Books