「女性ホルモンを増やす方法」とよくネットなどでみかけますが、女性ホルモンを増やすことはできません。
20代後半~30代前半をピークに、女性ホルモンは減っていきます。心身の不調、頭痛、ほてり、更年期障害などは女性ホルモンが関与しています。
女性ホルモンが減ることは生理現象でも、「対策」はとれます。管理栄養士の筆者が、女性ホルモンのバランスにアプローチする食事方法をご紹介します。
■女性ホルモンは2種類ある
以下の2つのホルモンの分泌バランスに変化があった時、心身にも変化があらわれやすくなります。
(1)エストロゲン
生理前に増加し、女性らしい丸みをおびた体型を作るホルモンです。自律神経にかかわるホルモンなので、女性の心身の変化にも大きく影響します。
(2)プロゲステロン
排卵後に増加し、妊娠を継続するホルモンです。体内に水分をためこむ働きもあり、生理前の体調変化はプロゲステロンによるものです。
■女性ホルモン分泌のピークはいつ?
女性の健康と美容に関係する「エストロゲン」の血中濃度のピークは、20代後半~30代前半です。30代後半から徐々に減り始め、45歳~55歳で急激に減っていきます。
更年期でなくても、女性ホルモンの減少で起こりうる不調は、以下に挙げるものなど、さまざまです。
・汗をかきやすい
・顔がほてる
・無性にイライラする
・不安感が強い
■女性ホルモン減少の不調対策となる食事法
食生活をはじめ生活リズムが乱れると、ホルモンバランスも乱れやすくなります。食事で大切なことは、「朝食を抜かない」「なるべく多くの種類の食品を摂る」ということです。
(1)なるべく多くの種類の食品を摂る
多くの種類の食品を摂ることがむずかしい場合は、不足しがちな「たんぱく質食品」を、毎食必ず摂ることから始めてみましょう。
例
・たんぱく質が入っているサンドイッチを選ぶ
・「鮭おにぎり」や「鶏五目おにぎり」を選ぶ
・ゆで卵や6Pチーズをいつもの食事にプラスする
このように、できる範囲で始めてみてはいかがでしょうか。
(2)良質な油を少量摂るようにする
「油」というと悪者扱いされがちですが、ホルモンの原料となるのはコレステロールです。コレステロールは動物性食品に多く、体内で油からコレステロールがつくられます。
「オメガ3系脂肪酸」を含む油が身体に良いといわれています。油の摂りすぎはもちろんNGですが、まずは油の種類にも注目してみましょう。オメガ3系脂肪酸が豊富に含まれている食材は以下になります。
・青魚に含まれる油
・えごま油
・亜麻仁油
(3)女性ホルモンに似た働きをする「イソフラボン」をとる
「イソフラボン」は構造が女性ホルモンと似ているため、女性ホルモンと似た働きをします。
大豆に豊富に含まれていますが、サプリメントでとることも良いでしょう。サプリメントのほうが、腸で吸収されやすい形になっているようです。
イソフラボンの量は、大豆製品を意識して摂取してもなかなか増えていない場合があるので、積極的に摂りたいものです。目安として、1日に70~75mgを摂取しましょう。そのうち特定保健用食品からの摂取の目安は1日30mgまでです。
■これはNG!女性ホルモンのバランスを乱すこと3つ
(1)過度なダイエット
必要な栄養素がとれていない場合があります。お腹が常にすいていたり、イライラしたりするようなダイエットはやめましょう。
(2)冷たい食品や飲み物の過剰摂取
冷えは自律神経の働きを乱す原因につながります。自律神経が乱れると、ホルモンバランスも崩れやすいので注意が必要です。
(3)睡眠不足
人は体内リズムをもっていますが、睡眠不足の状態がつづくと体内時計が狂ってしまいます。その結果、ホルモンの分泌も乱れることが報告されています。
増やすことのできない女性ホルモンですが、食事で内面からアプローチすることは可能です。いつまでも若々しくいつづけるために、毎日の食事を見直してみてはいかがでしょうか。
(フリーランス管理栄養士 今井尚美)
【関連記事】
・腸活に役立つ「チョコレート」の選び方&食べ方って?
・ 納豆にちょい足しで効果倍増!?「納豆に加えたい食材」3選
・甘酒のNG飲み方とは?栄養士が教える「甘酒のとり方」
・納豆も!?腸活に役立つ「味噌汁に入れたい食材」5つ
【参考】
※女性ホルモンのホントのところ – 大塚製薬
※ホルモン – 福岡大学 理学部 機能生物化学研究室
※イソフラボン倶楽部 よくある質問 – ニチモウバイオティックス
※女性に嬉しい大豆の力を存分にとり入れる – 大塚製薬
※時計遺伝子のメカニズム(PDF) – ヤクルト