熟成牛がブームになって以降、赤身肉の人気が高まっていますね。赤身肉は余分な脂が少なく、高たんぱく。女性に欠かせない鉄分も豊富なため、積極的に食べている方も多いのではないでしょうか。
同じ牛肉でも、産地によって味が違いますが、グラスフェッドビーフをご存じですか? 一般的な飼育方法とは違い、放牧を主とした飼育方法で育った牛肉は、一味違うだけでなく、脂肪の質も異なります。よりヘルシーな赤身肉がグラスフェッドビーフです。
健康と美容に役立つ食スタイルを提案して16年の美養フードクリエイターである筆者が、グラスフェッドビーフが美容と健康にいい理由をご紹介します。
■「グラスフェッド」とは、牛の飼育法
牛は草食動物ですから、本来草を食べて生きていく動物です。ですが、牧場で飼われている牛を草だけで飼育することはとても大変なため、トウモロコシや大豆などがブレンドされたエサを食べて育つのが一般的です。
和牛と輸入牛の味の違いは、牛の種類の違いだけでなく、食べているエサの違いからも生まれます。ですから、同じ和牛であっても各牧場で与えるエサの違いにより、味の違いがでます。
グラスフェッドという飼育法は、基本的には牛を一日中放牧し、山に生えた草を食べさせて牛を飼う飼育法です。一般的な牧場のようにブレンドされたエサを食べるわけではないので、味が全く違うだけでなく、放牧時間が長いため筋肉が発達し、余分な脂身のない牛肉となります。
■グラスフェッドビーフのいいところ2つ
(1)脂肪酸のバランスがいい
味わいの違いはあっても、牛肉自体に含まれる栄養素はさほど変わるものではありません。ですが、グラスフェッドで育った牛肉は、一般的な飼育方法で育った牛肉とは、脂肪酸のバランスが違うのだそうです。
リノレン酸は、血液や血管の健康を守ることで知られるオメガ3系脂肪酸です。一般的な飼育方法の牛肉にはあまりふくまれていませんが、グラスフェッド飼育の牛肉には、リノレン酸が多く含まれています。
また、摂りすぎると健康に害を及ぼすといわれているオメガ6系脂肪酸であるリノール酸との比率がとてもよく、同じ牛肉の脂なのに、食べても身体にやさしい脂になっているのだそうです。
(2)共役リノール酸の含有量が高い
エネルギー代謝をあげて、体脂肪や内臓脂肪を減らす効果が期待されている共役リノール酸。
グラスフェッドで育った牛肉には、一般的な飼育方法で育った牛肉の約5倍の共役リノール酸が含まれていることがわかっています。ですから、同じ牛肉であっても「食べても太りにくい牛肉」といえそうです!
いいことずくめのグラスフェッドビーフですが、国産のグラスフェッドビーフは流通が少ないため、なかなか手に入りません。一方で、放牧を基本とした農業を営むニュージーランドやオーストラリア産であれば、インターネットを通じてグラスフェッドビーフを購入することが可能です。
牛肉本来の風味があり、美味しくて身体にやさしいグラスフェッドビーフ。ぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。
(美養フードクリエイター・中医薬膳師 岩田まなみ)
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【参考】
※放牧など自給粗飼料100%で生産した飼育牛骨格筋組織の組織科学的分析 – 北里大学 獣医学部 附属フィールドサイエンスセンター八雲牧場
※山地酪農って何だろう? – なかほら牧場
※共役リノール酸の抗肥満・抗高脂血症作用とその機序(「肥満研究」Vol. 9 No. 2 2003 <トピックス> 柳田晃良,ほか)〈PDF〉 – 日本肥満学会