「更年期」とは、閉経前後10年くらいの期間を示します。この期間に現れるさまざまな症状を「更年期症状」、日常生活に支障をきたすものを「更年期障害」と呼びます。
更年期障害の原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の低下に伴う身体の変化が主な原因として挙げられますが、家庭や職場などの対人関係、子どもの独立、家族の病気や介護などが総合的に関わって発症する場合もあります。
更年期障害には多種多様な症状があり、人の数だけ症状があるといえます。定まらない症状をひとまとめにして不定愁訴(ふていしゅうそ)ともいいますが、ほてり、のぼせ、発汗、しびれ、めまい、疲れやすい、イライラする、不眠、不安、抑うつ気分など、さまざまなものがあります。
上記の通り「不眠」の訴えがありますが、眠れない問題が長引くと、気分の落ち込みや抑うつ症状などを強く感じる場合があります。この場合は、早めに医師の診断を受けましょう。ですが、そうなる前にできるだけ快適に毎日を過ごすためにも、質の良い睡眠をとることが大切です。
理学療法士の筆者が、質の良い睡眠のために日常生活でとり入れたい方法を3つお伝えします。
■質の良い睡眠のために日常生活でとり入れたい方法3つ
(1)適度な運動をする
現代社会は便利さと引換えに、あまり動かない生活を手に入れました。
運動というと、激しくキツイ運動をイメージするかと思います。ですが、キツイ運動ではなく、日常生活のなかで「エスカレーターやエレベーターではなく階段を利用する」などのやり方で、運動量を増やすことが大切です。
(2)ストレスは溜めない
人間は、ストレスが全くない状態も実はあまりよくありません。少々ストレスがある方が、かえってやる気になったり、生産性が向上したりする場合があります。
ただ、過度なストレスは睡眠にも健康にも悪影響を及ぼします。ストレスをほどほどにするためにも、「週末はプチ旅行気分でお散歩をする」「趣味に没頭するための自分の時間を作る」など、ストレスを抱え込まないようにコントロールしましょう。
(3)「眠れない時もある」と気持ちを切り替える
眠れないからといって、寝酒はNGです。眠れない時は、いっそのこと寝床から一度出て、温かい飲み物でも飲みながら夜の空を眺めて、気分を立て直しましょう。
この時に気をつけたいのが、蛍光灯のような強い明かりをつけないことです。強い明かりを浴びると、身体が朝と勘違いして、余計に眠れなくなる場合があります。
また、SNSをチェックしたり、パソコンで仕事をしたりすることもNGです。脳が活性化して余計に目が覚めてしまうことがあります。
たっぷり眠れなくてもあまり焦らないで、翌日の昼間に15〜20分程度の仮眠をとり、上手に乗り切りましょう。
更年期の不安を減らして、上手に乗り越えていきましょう。
(理学療法士 矢間 あや)
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