40代以降になると、更年期ならではの不調を感じてしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、食と暮らしの習慣を見直せば、今より少しラクな気持ちになるかもしれません。
薬膳のプロが、更年期のゆらぎをケアする知恵についてお伝えします。
■薬膳的「更年期」とは
薬膳の世界では、成長ホルモンである「腎(じん)」という臓腑の働きが低下していくことが更年期の不調を感じる原因の1つとして考えられています。
腎は、女性は7の倍数、男性は8の倍数の年齢で働きが低下していく傾向にあります。女性は28歳が心身ともにピークを迎え、それ以降は意識しないと心身ともにゆらぎやすくなってしまいます。
35歳では髪や顔の色つやなどの外見に変化が現れはじめ、42歳以降で女性ホルモンの分泌が減ってくると更年期の不調を感じやすくなります。
年齢を重ねることで身体や見た目に変化が現れるのは否めませんが、食事やライフスタイルでその変化をゆるやかにすることはできます。
腎が弱りやすい原因
同じ年齢でも、とてもハツラツとしていて若々しい方と年齢より疲れて見える人の違いはなんでしょうか?
前述したように腎が元気であることがキーワードなのですが、腎が弱る主な原因に食習慣や生活習慣が影響している場合があります。
無意識に腎が弱る習慣をしていないか、以下の内容をチェックしてみましょう。
■腎が弱りやすい生活習慣&食習慣5つ
(1)0時以降に寝る
薬膳の世界では、身体を休めることにもっとも適している時間帯を23時〜1時だと考えられています。睡眠は、寝ればいいというわけではなく何時に寝るかがとても重要です。
23時には熟睡しているのが理想ですから、22時頃には食事や家事を終わらせて寝室でゆったりできるようなスケジュールを組みましょう。食事も大事ですが、何よりも睡眠をたっぷりとることを優先してください。
(2)運動が苦手であまり動かない
腎は、足腰を動かすことで働きやすくなるといわれています。ですから、運動が得意でないからといって身体を動かさないでいると、腎の働きは弱っていく一方です。
デスクワークなどで下半身をあまり動かさなさい環境にある方は、意識して足腰を動かす習慣をとりいれましょう。ハードな運動ではなくてもOKです。散歩でも十分足腰を動かすことにつながりますので、休日に歩く時間を組み込んでみましょう。
(3)ビールや冷たい飲み物が好き
腎は、冷やされることをとても苦手とします。外的な要因でも身体は冷えますが、口にするものでも身体が冷えて腎が弱る場合があります。ビールや炭酸水などの冷たい飲み物を口にしたり、生野菜サラダ、お刺身、フルーツなども冷える原因につながります。
飲み物は温かいものを基本とし、食事も蒸す、煮る、ゆでるといった調理法で加熱していただきましょう。
(4)自宅では靴下をはかない
服装も意識をしないと身体を冷やす原因につながります。
特に、足や腰を冷やすと腎は冷えやすくなります。オフィスではストッキングの着用により足を温めることはむずかしくても、自宅では靴下やアームウォーマーをはいたり、腹巻をしたりして衣服で温めることを意識しましょう。
(5)食が偏っている
太るからといって肉を食べずに野菜のみを食べていたり、逆に野菜はあまり食べないといった偏った食生活をしてしまうと、腎の働きが弱まります。28歳を越えたら、特に食事に気を配るよう意識をしましょう。
黒豆、黒ゴマ、黒きくらげなどの黒い食材や、山芋、豚肉は、腎の働きを底上げするといわれていますのでとり入れてみてください。
腎が弱りやすい生活習慣や食習慣に当てはまる方もいたのではないでしょうか。できることから少しずつ改善してみてくださいね。
(薬膳ライフバランスプランナー/国際薬膳調理師/コラムニスト 倉口 ゆうみ)
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