夏の暑さに参っているなか、「口臭がキツくなっているかも……」と感じている方はいませんか? 実は、夏の暑さと口臭には深い関係があるのです。
理学療法士で睡眠の専門家でもある筆者が、夏の口臭の原因と対策についてご紹介します。
■夏に口臭がキツくなる理由
唾液の分泌量が減るから
夏バテが口臭を悪化させる原因のひとつに、唾液の分泌量の減少があります。
健康な成人の唾液は、主に、耳下腺、顎下腺、舌下腺という3つの大きな唾液腺から、1日に約1.0〜1.5リットル程度の唾液を分泌します。
これが夏場になると、汗などの影響で、体内の水分量が減り、唾液の分泌も少なくなると考えられています。
唾液も体液の一種なので、体内の水分が減ると唾液量も減ります。
夏は汗をたくさんかきますが、その分の水分補給ができていないと唾液も減少します。
唾液は常に口腔内を湿潤しています。唾液が不足すると口の中にいる細菌や食べカスが口の中で増殖します。また清掃不良や虫歯のリスクが高くなり、口臭の原因になるのです。
暑さがストレスになるから
さらに、人間はストレスがかかると唾液の量を減らそうと自然に調整します。
例えば、重要な会議でプレゼンテーションをするときに、緊張して口の中がネバネバする経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。
これは「緊張」というストレスによって交感神経が優位に働き、唾液の量が減っているから起こる現象です。
唾液には傷口に侵入するバイ菌を破壊し、 炎症を抑える成分が含まれています。人間の本能的に、敵に遭遇したら傷を負うことに備えて、唾液の成分の濃度を高めようと準備するのです。
唾液の濃度を高めるために、意識とは関係なく自然に唾液中の水分を減らします。
そのため、夏の暑さでストレスがたまることでも、唾液を減らしてしまうのです。
■日常生活でできる口臭予防法
(1)食事中はよく噛み、唾液を出す
食事の際は、1口30回を目安に、よく噛んで食べるようにしましょう。噛むことが刺激になり、唾液の分泌が促されます。
歯応えのあるものをよく噛むこともおすすめです。また、日中ガムを噛むのも唾液を分泌する良い方法ですよ。
(2)よく笑い、表情筋を鍛える
口まわりの筋肉の衰えは、唾液の分泌量にも関係します。
口まわりの筋肉を鍛えることで、唾液線が刺激され、唾液が分泌されるようになります。口元にハリが出て口角も上がります。
できたら、お友達などとの会話で大笑いするのが、唾液にもストレス解消にもおすすめの方法です。
(3)お口のメンテナンスを習慣化する
「毎日歯磨きをしているから」と安心して、歯医者さんにご無沙汰している方はいませんか?
歯磨きだけではとりきれない歯石なども、口臭の原因になります。
更年期世代は特に、定期的なメンテナンスの習慣化を早めに心がけておくことが重要です。
夏に口臭が気になる理由と、日常生活でできる口臭予防法をご紹介しました。汗をかく夏は、体内の水分量が減少しがちです。熱中症の予防にはもちろん、口臭予防のためにも、意識して十分に水分を摂取するようにしましょう。
(著者/講師・理学療法士 矢間 あや)
【関連記事】
・40・50代は●●を摂らないで!更年期に飲むべきお茶3つ
・更年期の不調も楽になる?寝る前1分快眠ストレッチ
・更年期世代は要注意!おりもので分かる不調
・不調のサインに気づいて!更年期のストレスチェック
【参考】
※唾液分泌 – 厚生労働省
※ストレスによる唾液分泌抑制のメカニズム – 日本歯科薬物療法学会
※唾液はすごーい! – 名古屋歯科