つやプラ世代のお悩みの多くに「更年期の不調」があるかと思います。実は、スーパーで手に入る食材の「山芋」は更年期の不調をやわらげる効果が期待できるといわれています。
ずぼらだけど薬膳のプロである筆者が、山芋が更年期の不調にアプローチする理由と活用法をご紹介します。
■薬膳的「更年期の不調」とは
薬膳の世界では、「腎(じん)」という成長系ホルモンを司る臓腑(ぞうふ)の働きが低下すると不調を感じやすくなると考えます。なので、更年期の不調をゆるやかにするキーワードは、腎の働きを高めることです。
中医学では、この腎からみた年齢変化として、女性は7の倍数で身体が変化すると考えられていますが、それは28歳でピークを迎えます。そして、35歳、42歳と歳を重ねるにつれて腎の働きが弱りやすく、ホルモンの分泌量が低下していく傾向にあります。それによって、ほてりや寝汗、息切れ、気持ちのアップダウン、腰痛などの更年期の不調を感じやすくなるというメカニズムです。
腎は先天的な生命エネルギーを蓄えておく臓腑ですので、年齢とともに生命エネルギーが減っていくのは自然なことです。ですから、ご自身を責める必要はありません。
腎の働きを高める食材「山芋」
食や暮らし方によって、更年期の不調をゆるやかにすることは可能です。腎の働きを高めておくことが更年期の不調を軽減することにつながります。
暮らしのなかでは「睡眠時間をたっぷりとる」「運動不足にならないように意識する」といった必要がありますが、忙しい毎日ではなかなかむずかしいですよね。そんな時は、口にするものを変えてみましょう。
筆者がおすすめしたいのは「山芋」です。山芋は腎の働きを高め、特にほてりや寝汗のお悩みを軽減することが期待できる食材です。
■山芋の効能3つ
腎を労わるほか、以下の効能も期待できます。
(1)胃腸を労わる
更年期の不調の1つに、胃の不快感を感じる方もいます。山芋は胃腸の働きをすこやかにする作用が期待できます。
(2)身体にうるおいを与える
「ほてり」のお悩みはとても多いです。ほてりは身体のなかに必要なうるおいが減っているためだと考えます。睡眠不足や働きすぎが大きな原因となっている場合があります。
山芋には、身体にうるおいを与える作用が期待できます。
(3)疲れやだるさをやわらげる
歳を重ねて疲れやすくなったり、だるさを感じる方も多いはず。薬膳では生命エネルギーである気が少なくなっているからだと考えます。
なので、減ってしまったエネルギーを補うことが大切です。山芋には、そのエネルギーを補う作用が期待できます。
■山芋の活用方法
山芋をおすすめすると「すりおろしするくらいしか思いつかない」というお声をいただきますが、山芋はイモ類のなかで唯一、生・揚げる・炒める・茹でるといったように調理方法が幅広い食材です。
おすすめの活用法をご紹介します。
お鍋に入れる
山芋を刻んでお鍋に入れ、シャキシャキとした食感を楽しんでも良いでしょう。すりおろしてふわふわなお鍋にすると消化がしやすくなるのでおすすめです。
炒めてメイン料理に
ごま油でこんがり焼き目がつくまで焼き、そこに塩を少しだけ足していただいても良いでしょう。ほかの野菜や肉と炒めるとボリュームが出るのでメイン料理にもなります。
煮物料理に
厚揚げ、にんじん、小松菜などの野菜を入れて煮物にすると、ホクホクとした食感が楽しめます。「煮る」という調理法は胃腸に負担がかかりにくいのでおすすめです。
ご紹介した活用方法以外に、筆者はよく山芋を味噌汁にも入れていただいています。ぜひ、山芋のパワーを更年期の不調緩和に役立ててください。
(薬膳ライフバランスプランナー/国際薬膳調理師/コラムニスト 倉口 ゆうみ)
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