40・50代になって、急に目の衰えを感じた人もいらっしゃると思います。手元の小さな文字が見えづらいということはもちろんのこと、夕方になると乾燥や疲れ目を実感することもあるでしょう。
涙液型の目薬を使っているのに解消しないという方は、水分の乾燥だけが原因というわけではないかもしれません。
肌育美容家の筆者が、YouTubeでもご活躍する眼科医の有田玲子先生に教えていただいた「40・50代にぴったりの目薬選び」についてご紹介します。
■40・50代が抱える目の悩みとは
有田先生によると、40・50代の目のお悩みは大きく分けて以下の3つ。
(1)ピント調整機能の低下
(2)眼精疲労
(3)ドライアイ
実は、これらは単体の悩みではなく共通の原因が考えられるのだそうです。
ライフスタイルの変化が目の悩みにつながっている!?
現代人は、PCやスマホなど目から数十センチ以内でピントを合わせる時間が増えています。目のピント調節に必要なのは、「毛様体筋」という筋肉と、「水晶体」というレンズです。
この2つを使って長時間、近い部分に焦点を合わせていると、筋肉が痙攣を起こしやすく加齢によって水晶体が固くなることもあります。そのため、ピントを合わせる機能が徐々に衰えてくるのだそうです。
また、エアコンの効いた空間で長時間過ごすことで、肌だけではなく目の乾燥が進行する場合があります。さらに、年齢によるホルモンバランスの乱れによりドライアイを感じる人もいるでしょう。
ライフスタイルの変化が40・50代の目の悩みの一因になっていることがわかりました。
■お悩み別!40・50代の目薬の選び方
有田先生に、40・50代に多い目のお悩み別に目薬の選び方を伺ってみました。
ドライアイが気になる
有田先生によると、ドライアイには涙液減少型ドライアイ(水不足ドライアイ)と蒸発亢進型ドライアイ(油不足ドライアイ)があり、ドライアイでお悩みの方の約8割は「油不足」なのだそう。
水分を補充するだけの目薬ではなく、ベールのように瞳を包みうるおい感の続く目薬を選ぶ必要があります。油入りの目薬もあるそうです。
夕方になると目がかすむ
もともと、夕方になると涙の分泌量が低下しやすいのだそうです。分泌量が減ると、目の表面が凹凸になり光が乱反射することもあります。
それを放置すると角膜を傷つける場合もあるので、「ビタミンA」入りの目薬がおすすめだそうです。ビタミンAは、ヒアルロン酸産生を促し、角膜上皮の再生を促すとともに、涙を目の表面にとどめるムチンの分泌も促す効果があります。
目の疲れが取れない
そのため、保湿べールを維持する油分入りの目薬や、角膜保護のための「ビタミンA」入りの目薬を選ぶとよいそうです。
■40・50代の目の健康におすすめのケア
有田先生がおすすめする、40・50代が手軽にできるケアは以下の3つです。
(1)まぶたを温める「温罨法(おんあんぽう)」
まぶたを温めて涙に含まれる油分の分泌を促し、水分蒸散を防ぎます。
(2)まつ毛を洗う「リッドハイジーン」
まつ毛の根元にあるマイボーム腺を洗う「リッドハイジーン=眼瞼清拭(がんけんせいしき)」を行って、涙の油分を分泌するマイボーム腺と目の周りをキレイに保ちます。
(3)涙の水分と油分を同時に自分で出す「まばたき運動」
上まぶたと下まぶたがきちんと合わさることで涙が出てきます。PCやスマホの普及で、正しいまばたきができていない人が増えています。
以上の3つは、ドライアイのプロフェッショナル、有田先生のYouTubeチャンネルで詳しく説明されています。また、「オメガ3」を含む青魚の油の摂取や、血流・新陳代謝改善のための適度な運動も心がけてください。
この先も使い続ける目のために、セルフケアやかしこい目薬選びでにごりのないクリアな瞳をキープしましょう。
【有田 玲子 先生(医学博士)プロフィール】
伊藤医院眼科副院長、医学博士、眼科医 慶應義塾大学元眼科非常勤講師 東京大学眼科臨床研究員
2012年、一般の方、患者さんに涙のあぶら・マイボーム腺の重要性を啓蒙するべくLid and Meibomian Gland Working Group(LIME研究会)を立ち上げ、涙のあぶらの重要性をより多くの方々に発信していくことを目的に講演会・講習会・ハンズオンワークショップ・患者さん向けパンフレットの作成などアクティブに活動している。国際的には涙のあぶらに関する英文論文を70報以上発表しており、涙のあぶらに関する論文数では世界一となっている。最近では一般の方へドライアイの正しい知識啓蒙のためYouTubeチャンネルを配信している。
(肌育美容家 今泉 まいこ)
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