手軽に取り組めて、体重が落ちやすいことから、糖質制限ダイエットは人気のダイエット法の一つかと思います。
しかし、やり方を間違えると健康を損ねたり、美容にも悪影響をもたらすことがあります。
管理栄養士の筆者が、実は体に良くない糖質制限の方法について解説し、どのように糖質制限に取り組めば良いかについて、ご紹介します。
■こんな糖質制限は、実は体に良くない?
以下のような糖質制限、していませんか?
・毎食、糖質を完全に制限している
・糖質だけでなく脂質も制限している
・2~3ヶ月以上、厳しい糖質制限をしている
糖質は、過剰に摂取すると太る原因になりますが、脳のエネルギー源ですので、完全に制限するのは危険です。
糖質制限をやめたときにリバウンドしやすいというデメリットもあります。
■糖質制限をやめたほうが良い兆候
糖質制限ダイエットをおこなって以下のような兆候がみられる場合は、糖質制限が体に合っていない、あるいは糖質制限を続けないほうが良いと考えられます。
集中力がなくなる・やる気が出ない
過度な糖質制限で、脳にエネルギーを補給できなくなるため、集中力がなくなったり、やる気が出なくなったりします。
便秘になる
米や麺類は水分が多いため、制限すると水分が不足しやすくなります。また、炭水化物に含まれる食物繊維を摂取できないため、便秘になりやすくなります。
肌が荒れる
摂取する栄養素に偏りが生じ、肌の新陳代謝が乱れるため、肌が荒れるようになります。
■栄養士がすすめる◎糖質制限の方法とは
筆者がおすすめするのは、過度な糖質制限ではなく、緩やかにおこなう糖質制限です。
リバウンドもしにくく、食事を制限するストレスも少ないため、取り組みやすいかと思います。
具体的なやり方をご紹介します。
(1)単純糖質を含む食材を避ける
糖質は、「単純糖質」と「複合糖質」の2種類に分けられます。
単純糖質は分子の結合数が少ないため、血糖値を上げやすく、複合糖質は分子の結合が多いため、血糖値を上げにくいといわれています。
そのため、糖質すべてを制限するのではなく、単純糖質を控えるのがおすすめです。
具体的には、甘いお菓子や甘いパン、清涼飲料水、砂糖、はちみつなどを控えましょう。
果物については果糖が含まれていますが、後述するように摂取するメリットが大きいため、適量を食べると良いかと思います。
そして複合糖質は、白米、かぼちゃ、さつまいもなどに多く含まれています。
かぼちゃやさつまいもは食物繊維が豊富に含まれており、ビタミンCやビタミンEも多く含まれているため、美容にも役立ちますよ。
白米は、玄米や雑穀米にすると食物繊維が多くなるため、血糖値上昇を緩やかにすることができます。
(2)夕食だけ糖質を制限する
日中に糖質を摂取しても、家事や仕事などで消費するエネルギー量が多く、脂肪になりにくいとされています。
一方で、夕食はエネルギーが消費されにくく、消化・吸収の際に使われるエネルギー(食事誘発性熱産生)も低いため、過剰な糖質は脂肪として体に蓄積されやすいといわれています。
そのため、朝食・昼食では糖質を摂取し、夕食では制限すると良いかと思います。
夕食は、鶏肉、豆腐、卵などのタンパク質食品や、きのこ、キャベツ、ブロッコリーなど食物繊維が豊富な野菜類を中心に食事をとりましょう。
(3)果物は1日1回食べる
果物には単純糖質である果糖が含まれていますが、果糖の吸収速度はブドウ糖に比べて遅く、ブドウ糖よりも体内で早く利用されるという特長があります。
また、果物にはペクチンなどの水溶性食物繊維や、ビタミンC、カリウム、クエン酸など、美容や健康に役立つ栄養素が豊富に含まれています。
このように、果物は食べるメリットが多いため、食べることをおすすめします。
厚生労働省は1日200gの果物の摂取を奨めており、これはバナナ2本分やりんご1個分ほどに相当します。
必ず200g摂取しなくても良いですが、「1日1回は果物を食べる」と良いでしょう。
ダイエットは、健康に、そしてキレイになるためにおこなうもの。過度な糖質制限は、健康を損ねる恐れがあるためおすすめできませんが、一時的に糖質制限をおこなう、あるいはご紹介したように緩めの糖質制限をおこなうのであれば、体への負担は少ないと考えられます。ぜひ糖質制限をしている方や、興味のある方は、参考にしてくださいね。
(フリーランス管理栄養士 今井 尚美)
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【参考】
※食事時刻の変化が若年女子の食事誘発性熱産生に及ぼす影響(PDF) – 日本栄養・食糧学会
※果物 – 厚生労働省
※炭水化物 – 厚生労働省
※佐藤和人・本間健・小松龍史 編集『エッセンシャル臨床栄養学第5版』(2009年)医歯薬出版