ダイエットや美容に役立つ食べ物でも、更年期の体調には良い影響を与えない場合があります。
管理栄養士の筆者が、更年期の不調の加速を招く食べ物をご紹介します。
■更年期の不調を悪化させる原因
更年期は何かと不調が現れやすいですよね。日常生活のストレスや疲れ、睡眠不足は、更年期の不調を悪化させやすいといわれています。
そのほか、自律神経のバランスが乱れたり身体が冷えたりすることも、更年期には良くないのだそう。
また、ダイエットや美容に役立つ食べ物として普段食べているものも、更年期の不調を感じる時には良くない場合があります。
■実はNG!?更年期の不調の加速を招く食べ物4つ
(1)コーヒー&緑茶
コーヒーや緑茶には「カフェイン」や「カテキン」が含まれるため、ダイエットや美容効果が期待できます。また、カフェインを摂取すると自律神経活動が亢進するため、目が覚めたり活動的に動けたりするなど、良いことも多いでしょう。
ですが、これらの成分は更年期の不調を悪化させる場合もあります。
更年期の不調の原因の一つに、自律神経の乱れが挙げられます。女性ホルモンが急激に減少すると、それに伴って自律神経が乱れてしまうのだそう。その結果、イライラしたり頭が痛くなったりと不調が現れる場合があります。
カフェインを摂取することで自律神経が急に亢進するとそのような不調の悪化につながりかねないため、コーヒーや緑茶の飲み過ぎには注意してください。カフェインレスのコーヒーや緑茶もあるため、利用してみてください。
(2)唐辛子
唐辛子も、更年期の不調を感じる時には注意したい食材です。
唐辛子に含まれる「カプサイシン」には脂肪燃焼効果が期待できるため、ダイエットには嬉しいですよね。
しかし、カプサイシンには血流を良くして体温を上げる働きもあるため、顔や身体がほてりやすく、更年期の不調を悪化させてしまう場合があります。
日頃から顔や身体のほてりに悩んでいる方は、唐辛子を控えめにすることをおすすめします。
(3)赤ワイン
赤ワインには、抗酸化作用がある「レスベラトロール」などのポリフェノール類が豊富に含まれています。エイジングケアのために赤ワインを取り入れているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、赤ワインには「アルコール」も含まれているので、更年期の不調につながることがあります。アルコールが分解されてできる「アセトアルデヒド」には、深い眠りを阻害する作用があるため、お酒を飲むと浅い眠りが増えやすいのだそう。
更年期に眠れなくなる方は少なくないため、もともと睡眠に悩みがある方は赤ワインの飲み過ぎに注意しましょう。
また、過度の飲酒によって胃腸の機能が低下すると、「カルシウム」の吸収が低下して骨が弱くなる場合もあります。ただし、梅酒などに比べて糖質が少ないため、週1~2回程度の飲酒であれば骨の健康に悪影響をもたらさず、美容効果が期待できます。
更年期の不調対策や将来の健康のためにも、飲酒量はほどほどにしましょう。
(4)トマト
強い抗酸化作用がある「リコピン」が豊富なトマトですが、更年期の不調を抱える方が食べる時には注意が必要です。
トマトには「カリウム」も豊富に含まれており、身体の余分な水分を体外に排出する働きがあります。そのため、むくみ対策にはおすすめですが、水分とともに体内の熱も失ってしまうと身体が冷えてしまいます。
更年期女性は冷えを感じる方が多いため、トマトを食べることで余計に身体が冷えると、体調不良を招く場合もあるでしょう。
トマトに含まれるリコピンは、細胞が壊れた状態の方が吸収率が高くなるため、トマトを食べる時は加熱したり潰したりして調理すると良いでしょう。温かいトマトスープなどがおすすめですよ。
また、リコピンは脂溶性であるため、オリーブオイルで炒めて食べるのも◎。リコピンを効率良く摂取できるうえ、冷えを感じないため、ぜひ試してみてくださいね。
ご紹介した食べ物は、いずれもダイエットや美容効果が高いものばかりです。更年期の不調を強く感じる時は控えめにすることをおすすめしますが、そうでない時は適量を取り入れると良いでしょう。
(フリーランス管理栄養士 今井 尚美)
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【参考】
※コーヒー摂取が胃運動および自律神経活動に与える効果の検討(PDF) – J-STAGE
※更年期にはどうして自律神経失調症のような症状が起こるのですか? – オムロン
※女性に出やすい飲酒の悪影響 – アサヒグループホールディングス
※アルコールにより睡眠の質が低下 夕方以降の飲酒に注意 – 糖尿病ネットワーク
※骨粗鬆症 – 大正製薬