毎年春の訪れを感じるころ、「また花粉症の季節がやってきたな」と、少しネガティブな気持ちになったり、症状が年々重くなっていると感じたりしている方も多いかもしれません。
今回は、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、更年期の花粉症対策について教えていただきました。
早めの対処で、花粉症の季節を乗り切りましょう!
■更年期に花粉症がひどくなるって本当?
花粉症とは、体内に入ってきた花粉に対する免疫反応により、さまざまな症状が引き起こされるアレルギー症状です。主な症状は鼻水、くしゃみ、皮膚や目のかゆみです。
更年期になると女性ホルモンの分泌が減少することで自律神経の働きが乱れてしまい、免疫のバランスが崩れやすくなります。その結果、アレルギー症状が悪化しやすくなるといわれているのです。
■諦めないで!花粉症を悪化させないコツ5つ
花粉症をできるだけ悪化させないためには、どのような対策を取ればいいのでしょうか。おすすめの対策を5つご紹介します。
(1)花粉をからだに取り込まない
まずは、体内に花粉を取り込まないようにする工夫が必要です。外出時は、帽子やマスク、めがねを着用することで花粉がからだに付かないようにしましょう。
衣類は花粉が付着しにくいツルツル・スベスベとした素材のものを選ぶこともおすすめです。
(2)花粉を家に持ち込まない
外出先から花粉を家に持ち込まないことも大切です。帰宅時は玄関でまず上着を脱ぎ、衣類に付いた花粉を落とします。その後、手洗い、うがい、洗顔をします。可能であればそのまま入浴するといいでしょう。
また、部屋をこまめに掃除したり空気清浄機を活用したりして家の中の空気を綺麗に保つこともおすすめです。
(3)自律神経の乱れを整える
起床時間と就寝時間を決めることで、一定の生活リズムをつくりましょう。規則的な生活は、自律神経の働きを整えます。
夜なかなか寝付けない方は、朝目が覚めたらカーテンを開け朝日を浴びるといいでしょう。乱れた体内時計がリセットされ、睡眠のリズムが整うといわれています。
また、ご自身にあったストレス解消法をみつけることも大切です。
(4)適切な栄養素を摂取する
更年期に不足しがちな女性ホルモン。女性ホルモンと似た働きをする成分として注目されているのが、大豆イソフラボンです。納豆、豆腐、おから、豆乳、きなこ、厚揚げなどに多く含まれています。
また、腸の働きは実は免疫にも大きく関わっており、腸内環境の悪化はアレルギーを増加させる一因だと考えられています。腸内環境改善のために、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を多く含む発酵食品を摂りましょう。具体的には、納豆やヨーグルト、味噌、漬物などがあげられます。
(5)喫煙や受動喫煙を避ける
喫煙は、花粉症を悪化させるリスクであるといわれています。タバコに含まれるニコチンやタールが免疫反応に異常をきたし、アレルギーの発症や症状の悪化につながるからです。
また、タバコの副流煙に含まれる物質は、アレルギー症状を悪化させる一因であるといわれています。喫煙や受動喫煙をなるべく避けて生活しましょう。
■花粉症対策には漢方薬もおすすめ
花粉症対策には漢方薬もおすすめです。
花粉症は、花粉と体内のIgE(アイジーイー)抗体というたんぱく質が結合し、神経や血管を刺激することで生じます。また、胃腸機能の低下や水分代謝の乱れ、冷えや季節の変動による免疫機能の低下も原因と考えられます。
花粉症の改善には、鼻水やくしゃみなどの症状を抑える作用に加え、「からだを温める」「水分の循環をよくする」「炎症を和らげる」「消化・吸収機能をよくして抵抗力を高める」などの作用がある漢方薬を選び、アレルギー体質の根本改善を目指します。
漢方薬は一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされており、鼻水などの症状の回復だけでなく、花粉症を体質から根本的に改善することができます。
花粉症が気になる方におすすめの漢方薬
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
体内の余分な「水」を取り除くことで、鼻水やくしゃみの症状改善に効果が期待できます。
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
からだを温めることで、アレルギー性鼻炎による鼻づまりを緩和する働きがあります。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
体内の余分な「熱」を冷まして、皮膚の赤みやかゆみの症状を和らげます。
慢性的な鼻水や鼻づまり、皮膚や目のかゆみの症状には、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
また、漢方薬を選ぶ際にはご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないことや、副作用が出ることもあります。購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師にご相談ください。
■早めの対処で今年の花粉症の症状を軽減!
更年期の花粉症対策には、花粉を避ける工夫だけでなく、日々の生活改善もとても大切です。
また、花粉症の症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、漢方薬の服用も考えてみてはいかがでしょうか。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る「脳」の健康法』『脳疲労に克つ』他。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
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