夏の夜は暑くて眠れない、という方も多いのではないでしょうか。
東京都環境局の発表では、都心部の熱帯夜の日数は、過去40年間で約2倍になっているそうです。
理学療法士で睡眠の専門家でもある筆者が、快適な睡眠のためのエアコンの使い方についてご紹介します。
■熱帯夜にはエアコンの活用を
熱帯夜とは、「夕方から翌日の朝までの最低気温が25℃以上になる夜」のことです。熱帯夜になると、蒸し暑くて眠れない日々が続きますよね。
最近では、一晩中エアコンをつけることが推奨されています。
そこで気になるのが、「エアコンの温度は何℃に設定すべき?」という問題です。
■快眠のための温度と湿度
厚生労働省の睡眠指針である「睡眠12箇条」によると、寝室の室温は夏は高めで冬は低めとなるものの、概ね13~29℃程度が良いとされています。
ヒトは深部体温が自然に下がると、眠気が訪れると言われており、温度や湿度もその変化に関わっています。
寝室の温度が低すぎる場合、体温を維持するために皮膚から熱が放散されにくくなり、深部体温が下がらず、眠りに影響します。
しかし、室温が高すぎる場合も外気に熱を放散しにくくなり、体温調節がうまくいきません。
また湿度が高すぎると、発汗による放熱が行われにくくなります。
快適な温度は人それぞれ
では、快適なエアコンの設定温度は何℃が良いのかというと、夏の快適な温度は26〜28℃、湿度50〜60%前後といわれています。
推奨される温度を参考に、自分にとって快適なエアコンの設定温度を探してみましょう。
しかし同じ室内であっても、断熱性が悪かったり、吹き抜けがあったり、西日が差し込んだりなど、建物の構造の違いやエアコンの性能の問題によって、室温が左右されることがあります。
明け方の冷え込みに注意
また、冷気は下方に溜まる性質があるため、一晩中冷房を使っていると、冷気がベッドや布団付近に徐々に溜まってきてしまいます。
睡眠中に冷えを感じて、目を覚ましてしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。
さらに、人は入眠すると、明け方に向けて深部体温が下がり続けます。深部体温が最も低くなる明け方ごろに、設定した温度では寒くなってしまう場合もあります。
■自分にとって快適な環境を
快眠のためには温度だけにとらわれず、タイマーや除湿運転、扇風機を使用して、自分が心地いいと感じる環境を探すことが大切です。
まずはエアコンの温度を26〜28℃に設定し、夏掛け布団やタオルケット、パジャマなどを使用して「快適な設定温度」を見つけましょう。
冷房ではなく除湿運転を使用すると、温度が下がりすぎるのを防ぐことができます。
また扇風機などを使い、気流をコントロールするのもおすすめです。直接身体に風を当たら内容に、壁などに一度風が当たるように工夫をしてみましょう。
熱帯夜で寝付けない人のために、快適な睡眠のためのエアコンの使い方をご紹介しました。最近のエアコンは、お休みモードなどの高機能を備えた製品や、節電に対応したものも多く発売されています。エアコンが古い機種である場合は、買い換えを検討することも、快眠のために必要かもしれません。寝苦しい日々が続きますが、自分に適した睡眠環境を、自分自身で試しながら作っていきましょう。
(著者/講師・理学療法士 矢間 あや)
【関連記事】
・更年期不調に◎豆乳と一緒に食べるべき食材
・更年期世代は要注意!おりもので分かる不調
・更年期の不調もラクになる!? 痩せる味噌汁の食べ方
・不調のサインに気づいて!更年期のストレスチェック
【参考】
※ヒートアイランド現象ってなに? – 東京都環境局
※気温について – 気象庁
※睡眠 12箇条 – 厚生労働省