ふと鏡を見たときに、「目元にシワが刻まれているのを見つけてテンションが下がった」という経験はありませんか?
今回は、30代からの目元のシワについて、考えられる原因と対策法を皮膚科の宇井千穂 先生に解説していただきます。
■目次
1.なぜ目元はシワができやすい?
2.目元のシワの種類と原因
(1)表皮性シワ
(2)真皮性シワ
(3)加齢シワ
3.目元のシワをつくる生活習慣とは
4.目元のシワの対処法
(1)過度に力を入れない
(2)スキンケア
(3)過剰に触れない
5.目元にシワを作らないスキンケア
■プロフィール
宇井千穂 先生
1990年、準ミス日本受賞。
全日空客室乗務員を経て、医学部を卒業し、現在、皮膚科医、美容皮膚科医として勤務。
皮膚科医としては、活性酸素とSODの研究による天然の治療薬を使い、アトピーを中心とした皮膚疾患を診ています。
女医+(じょいぷらす)所属
■1.なぜ目元はシワができやすい?
「なぜか目元ばかりにシワができる」「目元のシワが目立つ」という、お悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。まずは、目元にシワができやすい理由から解説していきましょう。
(1)そもそもシワって何?
皮膚の表面にできる不規則な線状の凸凹のことを「シワ」と呼びます。シワは加齢と共に現れ、線状で単独あるいは複数で一定の方向性を持っていることが多いです。
シワの好発部分としては、額・目尻・首などが挙げられます。
(2)シワの原因3つ
シワの原因には、「皮膚そのものの老化」「環境によるもの」「表情筋の動きによるもの」この3つがあります。
(3)表情筋によるシワ
表情筋によってつくられるシワの特徴として、よく動く皮膚にできやすいというものがあります。それだけではなく、皮膚の奥にある真皮、及び皮下組織を形成する繊維や細胞の変化も、シワの形成に関係しています。
また、さらに奥にある皮下脂肪を含めた皮膚そのものの容量や弾性なども、シワの原因に深く関係しています。
(4)目の周りのシワの原因
まぶたの開閉や、まゆ毛の上下運動などによって、目の周りは表情筋がよく動く部分です。そのため、目尻やまぶたはシワができやすい部分でもあるのです。
特にまゆ毛の上下運動は、目の周りのシワを発生させる主な原因のひとつです。
(5)加齢が原因でできることも
加齢に伴って、まぶたが下がってくる「眼瞼下垂(がんけいかすい)」が原因となって、目元にシワができることも多々あります。
さらに、老眼によって目を細めてピントを合わせようとする仕草も、目の周りのシワの要因となります。
(6)皮膚の状態や環境も原因に
目元のシワの原因は、加齢に伴う老化現象だけではありません。紫外線や乾燥など、皮膚の状態や環境によって、シワが増えてしまうケースも多いのです。
(7)小ジワについて
シワの中でも、接近してみなくては確認できないようなシワを「小ジワ」と呼びます。ただし、変形などによる一過性のものや創傷が原因のものは、小ジワには含まれません。
一般的にシワが小さいほど、皮膚の表面部分の浅いところにできていて、大きいシワほど皮膚の深い部分に広範囲に渡ってできています。
目元のシワは小ジワなので、浅い部分に存在するシワに分類されます。
■2.目元のシワの種類とできる原因
目元のシワにもいくつかの種類があります。シワの特徴や原因を種類別に紹介していきます。
(1)表皮性シワ
目の周りに細く複数あるシワは、深さが表皮までしかない浅いシワです。このようなシワのことを「表皮性シワ」と呼びます。 乾燥などによって、一時的にできるものが多いのが特徴です。
表皮性シワは、保湿によって改善する可能性があります。表皮性シワは小さく浅いので、ピーリングなどで角層という表層部分に何らかの影響を与えると、消失する場合もあります。
(2)真皮性シワ
皮膚の表皮の下にあるのが、「真皮」と呼ばれる層です。真皮は「乳頭層」「乳頭下層」「網状層」の3層にわかれています。
真皮性シワは、真皮の乳頭下層部分まで陥没が起きているシワです。主な原因は、乳頭層の委縮によるもので、目尻や額など、表情筋の動きによってつくりだされます。
真皮性シワは、特によく動かされる皮膚にできやすいシワで、表情筋の繰り返し運動によって形成されていくタイプのシワです。
皮膚そのものが老化を起こしてうまれるシワですが、表情筋の動きでシワがさらに顕著に出てしまうことがあります。
「老眼で目を細める」「眼瞼下垂で下がったまぶたを上げるために目尻や額の筋肉を動かす」などがその例です。
(3)加齢シワ
シワは、加齢によって皮膚の表面に現れてきます。表情筋がよく動かされる目元や口元などに、表皮性シワや真皮性シワよりもさらに深いシワができると、大きなひだをつくるようになります。これが「加齢シワ」もしくは「老人性シワ」と呼ばれます。
■3.目元のシワをつくる生活習慣とは
シワは、「加齢による皮膚や皮下組織の変化」「表情筋の繰り返し運動」「シワをつくりだす環境」この3つが組み合わさることで形成されます。
目元のシワの原因となる生活習慣、及び改善策をご紹介します。
(1)日焼けを防ぐ
皮膚の老化を促進させないためにも、紫外線をカットすることはとても重要です。 しかし、サンスクリーン剤を塗るだけで安心してしまい、皮膚を日射しに直接当ててしまっては、元も子もありません。
サンスクリーン剤以外にも日傘や帽子を活用して、「光老化」と呼ばれる紫外線のダメージからお肌を守りましょう。
(2)保湿をしっかりと行う
皮膚の乾燥は、お肌の「バリア機能」を低下させてしまいます。保湿はしっかりと行いましょう。
バリア機能とは、紫外線や乾燥などの様々な外的要因から身体の内側を守ってくれる働きを担っています。さらに、身体の内部の大切な水分を、外へ逃がさないように防ぐ役目も果たしているのです。
バリア機能が低下して皮膚表面の水分が損なわれてしまうと、皮膚の表面がカサつき、細かいシワとヒビ割れの原因になります。
(3)こすり過ぎない
皮膚の大切なバリア機能を破壊しないためにも、むやみに目をこするのは厳禁です。必要以上に触れることで、シワがうまれやすくなってしまいます。
シワを防ぐためにも過剰な刺激は控えましょう。
(4)ストレスを溜めない
ストレスで、身体の自律神経やホルモンバランスを乱さないように気をつけましょう。
ストレスが溜まってイライラしてしまうと眉間にシワを寄せたり、強い力でスキンケアを雑に行ったりと、目元のシワを悪化させる行動を起こしてしまうことも考えられます。
(5)規則正しい生活を
シワ予防のみならず、健康で強いお肌をつくるためにも、「十分な睡眠」「疲れをためない」など、日常生活に気をつけることが大切です。
(6)食事に気をつける
ビタミンや食物繊維が豊富な野菜を多くとるなど、食事に気をつけることも大切です。特定の食べ物ばかり摂るのではなく、バランスの良い食事を心がけましょう。
「ビタミンC」、メラニンを抑える「L-システイン」は、美白効果が期待できますし、「ビタミンE」や「ビタミンA」は、抗酸化作用があるので活性酸素からお肌を守り、アンチエイジングと健康的な肌を維持してくれます。
その他にも、「βカロチン」や「リコピン」なども積極的にとるとよいでしょう。
■4.目元のシワの対処法
できてしまったシワの対処法をご紹介していきます。
(1)過度に力を入れない
人それぞれ、表情筋の力の入れ具合は異なります。特定の表情筋に過度に力を入れるクセがある人は、その部分に深いシワを形成してしまうことがあります。
目立つシワを見つけた場合は、その部分の力をゆるめてリラックスするように心がけましょう。
(2)スキンケア
「化粧水だけでは水分が蒸発して十分に保湿ができない」という人は、乳液や美容クリームを重ね塗りすることをおすすめします。
乳液やクリームなどを手に適量取ったら、あまり叩かず、お顔全体を抑えるようなイメージでなじませましょう。
コットンを使用する場合は、コットンに量を多めに含ませてから肌につけます。この際、コットンの刺激を肌に与えないように優しくパッティングするように気をつけましょう。
(3)過剰に触れない
「タオルでゴシゴシと強くこする」「顔を必要以上に気にして指で触る」など、習慣的に肌に刺激を与える行為はさけるようにしましょう。
■5.目元にシワをつくらないスキンケア
シワをつくらないためのスキンケアのポイントや化粧法をご紹介します。
(1)ファンデーション前に
ファンデーションをつける前は、きちんと洗顔をしましょう。その後すぐに化粧水や美容液を使用して基本的な保湿を行ない浸透させ、肌にうるおいを与えてください。
そして、目元に乳液やクリームをたっぷりと塗って、保湿した水分を逃がさないようにします。洗顔や保湿の際は、肌をこすらずに優しく行ってください。
(2)洗顔はしっかりと
ファンデーション前の洗顔は、きちんと泡立てることを心がけてください。しっかり泡立てることで、洗浄の効果をより高めることができます。
また、手のひらと皮膚の間に泡が入るので、こすることなく優しく洗顔ができ、摩擦も少なくなるのです。流す際は、すすぎ残しがないよう十分にすすいでください。
洗い残しがある感じがするからと、何度も洗うのはやめましょう。過剰な洗顔は、逆に乾燥肌を悪化させ、シワが増える原因となってしまいます。
(3)余計に触らない
気になる部分は、どうしても触ってしまったり洗顔を念入りにしたりと、必要以上に触れてしまいがちです。しかし、これは肌に刺激を与えてしまうので気をつけましょう。気になる部分こそ、あまり触らないようにしましょう。
(4)コットン
コットンを使用して化粧水をつける場合は、液を多めにコットンに含ませてから肌につけましょう。
この時、強くコットンでこすり、肌に刺激を与えてしまわないように気をつけましょう。
(5)重ね塗り
乾燥の強い部分には、化粧水を塗った上から乳液や保湿クリームを重ね塗りしてください。乾燥しそうだと感じた時も重ね塗りをしましょう。
乾燥が酷いと感じるときは、保湿の回数を多くすることがポイントです。
(6)スポンジ
化粧下地やファンデーションなどはスポンジを使用して塗る方も多いと思いますが、スポンジ使用による摩擦に気をつけましょう。
スポンジを肌に押しつけたままグッと引き延ばすのではなく、軽くスポンジを肌に当てるようなイメージで下地やファンデーションを塗ることがポイントです。
目元のシワは、日常生活を見直して保湿をしっかり行うことで、対処や改善ができます。加齢が原因だとあきらめるのではなく、できる対策をしっかりと行いましょう。
(美容ライター/大中千景)
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