美容や健康には「甘酒」がいいということは、ご存知の方も多いはず。薬膳の世界でもそれは同様です。特に、40代・50代の女性こそ甘酒を飲むべき理由があります。
ずぼらだけど薬膳のプロ(国際薬膳調理師)である筆者が、40代・50代の女性に甘酒がおすすめな理由と薬膳的「甘酒活用術」をご紹介します。
■40代・50代の女性が甘酒を飲むべき理由
薬膳では生まれもったエネルギーを蓄えている臓腑を「腎(じん)」といい、この臓腑は成長ホルモンを司るほか、水分調整や身体を温める働きを担っています。
ですので、腎が弱ると白髪や肌ツヤに悩みやすくなったり、身体が冷えたり火照ったりすることで疲れやすくなる場合もあります。このような悩みをサポートしてくれるのが「甘酒」です。甘酒には以下のような働きが期待できます。
・エネルギーである「気(き)」を補う働き:疲れ、冷え、免疫力アップに役立つ
・身体や肌にうるおいを与える「血(けつ)」を補う働き:ほてり、肌の乾燥、便秘改善に役立つ
・血の巡りを良くする働き:肌の血色感アップや冷え、肩こり、頭痛などの予防に役立つ
40・50代は年齢とともに気や血、水分が失われやすいですが、甘酒は身体や肌にうるおいと栄養を与えてくれる力強い味方です。
■甘酒の目安と飲むタイミング
美容と健康のためにも、ぜひ甘酒を毎日とり入れていきましょう。とはいえ、飲み過ぎはNGです。甘酒は栄養価が高い分、カロリーも高めです。
飲む目安としては、200ml程度まで(マグカップ1杯分)にとどめておきましょう。活動する朝~お昼の時間帯に甘酒をとり入れると、夜に飲むよりも太りにくいのでおすすめです。
■甘酒と組み合わせたい食材は?甘酒活用術3つ
身体にいいとはいえ、「甘酒の独特な味わいが苦手」という方も多いはず。
そんな時におすすめな活用法をご紹介します。美味しさだけではなく、組み合わせることでさらに40代以降の方にも嬉しい効果が期待できます。
(1)卵焼きにプラスして美肌に
卵には、肌に栄養を与える血を増やす働きと肌をうるおす働きがあります。卵だけを食べてもいいのですが、もっと効果を狙うためにはエネルギーである気を補う作用を加えると◎。
甘酒+卵の組み合わせは、相乗効果で肌や髪をキレイにする効果が期待できます。筆者は卵焼きに砂糖を入れる代わりに甘酒を入れます。目安としては小さじ1/2~小さじ1程度です。
(2)豆乳で割って“たるみリスク”に負けない上向き肌
定番の豆乳に甘酒を入れる組み合わせが、実はたるみリスクを軽減する、上向き肌ケアにつながると聞いたら、取り入れてみたくなりませんか?
中医学において「脾(ひ)」は、内臓や筋肉を持ち上げ、正しい位置に収める働きがあると考えられています。つまり、弱って重力に逆らう力が弱まった脾を労わることがたるみリスクを軽減するといえます。
豆乳には脾を労わる作用と肌をうるおす作用があり、甘酒には生命エネルギーである「気」を補う作用があるので組み合わせることで上向き肌に導きます。
筆者はこの組み合わせが大好きで、甘酒を飲む時はいつもこの飲み方です。甘酒1:豆乳1の割合か、さっぱりいただきたい時は豆乳を多めにして甘酒を控えめにしています。
(3)トマトスープに入れてほてり改善
便利なトマト缶でスープを作る人も多いでしょう。酸味が美味しさでもありますが、少し味がとがってしまうと感じる時はありませんか? そんな時、甘酒を少し加えてみましょう。
トマト+甘酒の組み合わせは身体の熱をクールダウンしてうるおす作用があるので、イライラや肌の乾燥、ほてりを和らげてくれます。また、トマトは身体を冷やしてしまう性質なため、身体を温める食材である甘酒をプラスすることで身体を冷やし過ぎずいいバランスになります。
トマトスープ1杯に甘酒を入れる量はお好みですが、大さじ1くらいずつ足してご自分の好みに調整するといいでしょう。
一時期、甘酒が話題になってからしばらくとり入れていなかったという方は、ぜひ調味料感覚で使ってみてくださいね。
(薬膳ライフバランスプランナー/国際薬膳調理師/コラムニスト 倉口 ゆうみ)
【関連記事】
・入浴後に飲んではいけない!要注意な飲み物3つ
・朝の一杯で一日が終わる!?朝飲んではいけない飲み物
・栄養士が食べない「老化が加速する食べ物」
・痩せにくくなってきた40・50代に!食べて痩せる食品3つ
【参考】
※櫻井大典/著(2018年)『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方』ナツメ社※日本中医食養学会/著(2006年)『現代の食卓に生かす食物性味表 改訂2版』燎原書店