なかなか寝付けない、夜中に汗をかいて目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、眠りが浅くて何度も目がさめるなど、更年期になるとさまざまな睡眠の不調が現れます。
理学療法士の筆者が、更年期の睡眠の不調をラクにする「快眠のコツ」をご紹介します。
■更年期とは?
更年期とは、閉経前後の約10年くらいの期間をいいます。
長年分泌されていた女性ホルモンが急減するという環境変化に、からだが慣れるまでの移行期間ともいえます。
女性ホルモン分泌の急激な低下や、仕事や家庭などの人間関係などの不安や精神状態、心理社会的なストレスも原因になると考えられています。
女性ホルモンとは、女性の卵巣で作られるホルモンで、2つの種類があります。
「エストロゲン(卵胞〈らんぽう〉ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体〈おうたい〉ホルモン)」です。
エストロゲンは妊娠の準備や女性らしいカラダ作りに関わり、プロゲステロンは妊娠の維持といった役割があります。
女性ホルモンの分泌は、10代の思春期から増え始め、20代後半から30代でピークを迎え、それ以降は少しずつ低下し、40代後半で激減します。
女性ホルモンの分泌量は、一生のうちにティースプーン1杯分くらいしかないといわれています。このほんのちょっとしたバランスの乱れが、さまざまな不調につながるのです。
■更年期に起こる睡眠の悩み
更年期の睡眠の問題の原因はさまざまで、ほてりや発汗といった症状が夜間に起こることで睡眠が妨げられたり、不安や抑うつなどの精神状態に伴い眠れない問題が生じることもあります。
さらに、更年期とは関係なく、加齢自体が不眠の原因となっている場合もあります。症状に悩んだら必ず医師に診てもらいましょう。
■更年期不調をラクにする快眠のコツ
更年期で一番大切なのは、カラダを基礎から整えて、カラダ本来の力で健康を取り戻すことです。
更年期の睡眠の不調を軽減する、快眠のための3つのコツをお伝えします。
(1)朝起きたら朝日を浴びる
朝起きたら、まずはカーテンをあけて朝日を浴びる習慣をつけましょう。
朝日を浴びると、整体リズムを調整しているメカニズムの1つである「体内時計」がリセットされたます。
また、感情のコントロールや精神の安定に関与する「セロトニン」という脳内伝達物質が分泌されます。
セロトニンは日中に分泌され、夜は分泌されません。夜は天然の睡眠剤といわれる「メラトニン」が分泌されます。メラトニンの原料はセロトニンであると考えられています。
気持ちの良い朝日を浴びながら深呼吸をして、気持ちの良い一日をスタートさせましょう。
(2)運動を取り入れる
運動は健康維持に欠かせません。もちろん更年期の症状にもおすすめです。
できれば毎日少しずつ続けられるような、軽い運動から取り組むことがおすすめです。ラジオ体操やウォーキングはまさに気軽にできる運動です。さらに生活習慣病の予防にも効果的です。
また、水泳は浮力が身体の負担を軽くするのでおすすめです。水の中を歩くと水の抵抗が負荷になり、思った以上に運動効果が期待できます。
(3)頑張りすぎない
頑張ることは基本的に大切です。私たちは頑張ることを学校で教えられてきました。
ですが、頑張りすぎて仕事でも家庭でも手を抜かず完璧を目指していると、そのうち心も体も疲れてしまい、気がついた時には体調不良ということも。
人は完璧ではありません。不調が出た時は体からのSOSだと考えて「休む」ことが大切です。
特に更年期の時期は、身体が変化する大切な時期です。今までの考え方や、やり方を変える良い時期なのかもしれません。
以上、更年期の睡眠の不調を軽減する3つのコツをお伝えしました。カラダを基礎から整えて、快い眠りを取り戻し、更年期を穏やかに乗り切れるよう心がけてみてください。
(著者/講師/理学療法士 矢間 あや)
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