毎朝の日課として、ヘアアイロンを使っている方は多いのではないでしょうか? 身だしなみに気を使う女性ほど、髪のダメージが気になり、念入りにセットしているかと思います。
しかし、その習慣を続けているとどんどん髪のダメージが悪化してしまいますよ。そこで、毛髪診断士の筆者が“美髪”を保つ方法をお伝えします。
■夏は髪のダメージが悪化しやすい季節
ダメージヘアになる原因は、化学的要因と物理的要因の2つ。化学的要因とは、パーマやヘアカラーなどの化学的な処理によるもの。物理的要因とは、ドライヤーなどの熱、洗髪やブラッシングによる摩擦、そして紫外線です。
さらに夏は、この物理的要因の熱、摩擦、紫外線の髪にとっての3重苦が極めて辛い季節なのです。
すでにパーマやカラーによってダメージを受けている髪は、髪の適正水分保持が上手に保てず、広がり、パサツキ、うねりとなって私たちを悩ませます。どうにか髪を整えようと、ヘアアイロンなどの熱で対処していませんか? これが、さらに髪にダメージを与えていくのです。
■ダメージの少ないヘアアイロンの温度は?
そこで、ヘアアイロン140~200℃の範囲で、正常な髪の毛を使い強度を調べたところ、高温で加熱時間が長くなるほど、損傷が大きくなることが分かりました。
150℃で3秒間の熱を加えた場合はほとんど影響がなく、髪の強度は180℃で8.4%ダウン、200℃で24.1%ダウンしました。また、150℃で少し長めの20秒間、熱を加えたところ、12.3%髪の強度がダウンました。
結果、120~140℃の範囲でなるべく短い時間の熱処理が、もっとも髪にダメージを少なくなるということがわかりました。普段のスタイリングの参考にされてみてくださいね。
■ブラッシングのダメージを防ぐには?
また、髪のブラッシングをすることで起こる摩擦によるダメージについては、パーマやヘアカラーを施していないバージンヘアで摩擦試験を行った場合、ポリエチレン製のブラシでは1,000回、猪(豚)毛では、8,000回のブラッシングで髪の毛が損傷しました。
パーマやカラーを施した髪の場合、ブラッシングによるダメージが少ないとされるのは、猪(豚)ブラシで3,000回(100回×30日)程度となります。
また、髪のダメージを防ぐためには、髪の毛が乾燥している状態よりも、軽く湿らしてからブラッシングするのが有効のよう。いつも乾いた髪でブラッシングをされている方は、お水をシュッと一吹きしてからブラッシングしてみましょう。
美しい髪を保つためには、熱や紫外線からのダメージを極力防ぎ、動物の毛製のブラシを使用し、水分と油分を保つことが大事です。ダメージを受けやすい夏に向けて、ご自身のヘアケアを見直してみてくださいね。
(毛髪診断士 余慶尚子)
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【参考】
※本田光芳・伊藤雅章(2009) 『新ヘア・サイエンス』(社団法人 日本毛髪科学協会)
【画像】
TonyChen