なるべくイライラせずに過ごしたいけれど、仕事や家事、子育てと忙しい40代以降の女性となれば何かとイライラの種もたくさんあるものですよね。
インナービューティー料理研究家の筆者が、更年期の食のNGポイントと、暮らしにとり入れやすい更年期対策をご紹介します。
■女性ホルモンの変化を受け止める
つやプラ世代は、女性ホルモン「卵胞ホルモン(エストロゲン)」の分泌が減り、卵巣機能が低下しはじめるお年頃。女性ホルモンの乱れは自律神経の乱れにもつながるため、不安になったりイライラしやすくなってしまうのは当然のことです。
不安に駆られてやみくもに自分を責めるのではなく、まずは自分の身体の症状を「あたり前のことなんだ」と理解し受け止めることが大切です。そのうえで、少しでも症状を和らげるポイントを正しく知り、暮らしにとり入れていきましょう。
■症状がツライ時は医師に相談を
我慢できないくらいひどい原因不明のイライラや不安感が続く時は、無理して抱え込まずに医師に相談しましょう。婦人科では身体にやさしく働きかける漢方薬の処方やホルモン治療などを行ってくれます。
女性ホルモンの変動は一生の付き合いになりますから、かかりつけ医を早めに決めておけば、いざという時に安心です。
■更年期に気を付けたい食のNG習慣
食生活の乱れも、自律神経の乱れに関わります。更年期症状を緩和させるためにも、女性ホルモンばかりではなく自律神経を整えることも意識しましょう。食事面では下記の4つのポイントがとても大切です。
(1)朝食抜き
眠っていた身体を目覚めさせ、日中のエネルギー源となる朝食は必ず食べましょう。1日3度の食事は、なるべく決まった時間帯にとるようにしてください。
(2)「ビタミンC」不足
野菜や果物に豊富なビタミンCを、毎日しっかり摂ることが大切です。美肌作りはもちろん、ストレスケアやアルコールの代謝にもかかわります。
(3)「カルシウム」不足
カルシウムは、魚介類や乳製品、小松菜などから摂りましょう。脳・神経の働きにかかわります。
(4)「ビタミンB1」不足
糖質の代謝や神経機能の維持にかかわる大切な栄養素です。ビタミンB1が豊富な食材を積極的にとり入れましょう。
■ストレスでビタミンCは代謝される!?
野菜や果物に豊富なビタミンCは「美肌の強い味方」というイメージが強いですが、実はストレスの代謝やアルコールの代謝にもかかわる栄養素です。
体内で蓄積されない性質のため、一度にたくさん野菜や果物を食べても蓄積されることはありません。毎日しっかり補給することが大切です。
サプリメントよりもフレッシュフルーツがおすすめです。旬を楽しんでいるという充実感に加え、香りに癒されることもあります。これからの時期は、ミカンなどの柑橘類やビタミンCが豊富な柿がおすすめです。
■カルシウムとマグネシウムのバランス
「イライラはカルシウム不足」と昔からよく聞きますよね。これは、カルシウムによる精神安定や脳・神経系の興奮を鎮める働きからくるものです。カルシウムは身体に吸収されにくい栄養素であり、近年の「魚離れ」などにより不足しがちな傾向が指摘されています。
マグネシウムもカルシウムとともに働く栄養素です。また、キノコ類に豊富な「ビタミンD」はカルシウムの吸収をサポートするので、同時に摂ることで効率よくカルシウムを摂取できます。
■「ビタミンB1」はイライラを抑える
納豆や枝豆などの大豆食品や玄米に豊富に含まれているビタミンB1は主に糖質の代謝をサポートする栄養素ですが、脳などの神経系機能の維持にも深くかかわっています。
神経の働きが正常に保たれていないと、疲れやすくなったりイライラしやすくなる場合があります。なので、更年期症状を緩和させるためにも積極的にとり入れたい栄養素です。
ウナギのかば焼きや豚ひれ肉、豚もも肉、ひらたけ、松の実、ぬか漬け、焼きのりなどにもビタミンB1が豊富に含まれています。
食事のリズムと内容が整えば、身体の調子や睡眠サイクルも整います。ストレスをため込みすぎず、好きなことで楽しく気分転換できる時間のゆとりもイライラ対策には欠かせません。好みの香りのアロマをとり入れることも良いでしょう。
我慢や悩みを抱え込みすぎないようにしましょう。心身ともに健やかでいられる努力を少しずつ積み重ねることで快活な暮らしを叶えたいですね。
(インナービューティー料理研究家 フードコーディネーター 國塩 亜矢子)
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【参考】
※平田 雅子/監修(2010)『不調をなおしてキレイになる 女性ホルモン基本事典』成美堂出版
※吉田企世子・松田早苗/監修(2016年)『あたらしい栄養学』高橋書店
※上西一弘/著(2016年)『栄養素の通になる』女子栄養大学出版部
※蒲池桂子/監修(2010年)『美肌美人栄養学』エクスナレッジ