アンチエイジングのベースになるといえるのが「睡眠」。しっかり睡眠をとること自体がアンチエイジングにつながりますし、他のアンチエイジングメソッドも効果が高まります。
しかし睡眠が崩れると、全てが崩れてきてしまいます。
女性の体型改善専門パーソナルトレーナーの筆者が、多くの人が知りたい睡眠に関する疑問への答えと、寝付きをよくするための方法を紹介します。
■睡眠不足になると見た目も体も老化が進む
そもそも睡眠不足になると、見た目も体も老化が進みます。
睡眠不足が続くと、皮膚のターンオーバーが正常でない状態が続き、お肌の状態に悪影響が出ると考えられます。
実際に、イギリスで行われた調査では、睡眠不足が続くとしみやしわが増加すると報告されています。
また、筋肉を分解するホルモンであるコルチゾールの分泌が増加し、筋肉量が低下し、見た目にもたるんだ体型に変化。体力が低下すると考えられます。
このように、睡眠不足は見た目も体の内側からも老化を進めてしまうのです。
アメリカの睡眠に関する学術団体National Sleep Foundationによると、大人である40・50代の女性に推奨される睡眠時間は7〜9時間程度。ここを目標に睡眠をとっていきましょう。
■夜に寝付けないのはなぜ?スムーズに寝るための方法は?
夜になかなか寝付けなくて、睡眠不足に陥ってしまうことがありますよね。
一般的に寝付くまでの時間は10〜20分程度。この時間よりも長ければ、なかなか寝付けていないといえるでしょう。
なお、30分以上寝付けないことが続き、苦痛を感じているのであれば、入眠障害の可能性がありますので、内科に相談してみましょう。
寝る前の入浴のタイミングにも注意
夜に寝付けない大きな原因は複数ありますが、もしかすると眠る前にお風呂に入る時間に問題があるのかもしれません。
人は睡眠前に体温が低下し、睡眠に適した体温になります。しかし、この体温の低下が上手く行かないと、スムーズに寝付くことが難しくなります。
夜に体温を低下させるのに最も影響を与えるものといえばお風呂。入浴後は通常よりも体温が高まっており、入眠に不適切な状態になっています。
ですから、眠る直前にお風呂から上がって髪を乾かすというようなことは、できるだけ避けた方が良いと考えられます。
理想は、睡眠予定時間の1時間半程度前にはお風呂から上がること。元の体温に戻るまでには1時間以上の時間がかかると考えられますから、それ以下にするためには、さらに長い時間が必要だと考えられるからです。
またおすすめは、39〜40℃程度のぬるま湯に10〜15分程度入ること。ぬるい温度のお湯に入ることで、過剰な体温の上昇を防ぐことができるからです。
寝る間の体温上昇によって寝付きを妨げている可能性もありますから、入浴時間に気をつけてみましょう。
■寝酒はやめた方がいい?
寝付きが良くなるからといって、寝酒をするのは避けた方がいいでしょう。
確かに入眠するまでの時間は短くなりますが、アルコールの作用が睡眠途中で切れて睡眠途中での中途覚醒が増加し、睡眠時間も睡眠の質も低下するといった結果になりがちです。
また、アルコールの耐性ができるため寝付きが良くなる効果もなくなりやすく、アルコールの量が徐々に増えてしまうことにつながります。
寝付きが悪くなる原因は他にありますから、お酒の力を使って眠ることはできる限り避けましょう。
食べ物の内容にも注意
寝付きをよくして睡眠の質を上げるためには、食物繊維が多めで、多すぎない炭水化物と脂質の食事を意識しましょう。
高炭水化物・高脂質の食事は、催眠効果のあるホルモン、メラトニンの分泌を減少させると考えられます。一方で食物繊維が豊富な食事は、メラトニン分泌をスムーズにさせたと考えられると、コロンビア大学の調査報告があります。
ですから、普段からお米をとりすぎたり毎日揚げ物を食べたりすることを避けましょう。もちろん完全に避ける必要はありませんが、お野菜を中心にお米やお肉・お魚をバランスよく食べることを意識しましょう。
■週末の寝だめはしていいの?
寝だめは基本的におすすめできません。が、ストレス解消になるのであればある程度してもいいでしょう。
過剰な寝だめは生活リズムを崩す原因になります。普段7:00に起きている人が休日に12:00まで寝ていると、平日と時差が生じて生体リズムが変化します。
その結果、平日のリズムをつかむことができなくなり、体の不調の原因になります。
また、普段から慢性的な寝不足なのであれば、たった1日の寝だめにあまり効果は期待できません。ですから基本的には寝だめは推奨されません。
平日のリズムに悪影響の出ない範囲で
一方で、「休日はのんびりベッドの上で過ごしたい」「ゆっくり起きたい」と思うのも普通です。ですから、休日は目覚ましをかけることなく自然に目が覚める時間に目を覚まし、気持ちが落ち着くまでベッドの上にいることも良いでしょう。
問題は平日にリズムが崩れてボーッとしてしまうことですから、自分自身でリズムに悪影響が出ない休日の睡眠の仕方を探してみましょう。
睡眠はアンチエイジングの基本になりますが、年齢を重ねるとなかなか寝付けなくなるもの。しかし、寝る前の過ごし方や食習慣を変えることで、改善することが可能です。しっかりと眠って、歳を重ねても美しい体型を作っていきましょう。
(パーソナルトレーナー 藤本 千晶)
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【参考】
※睡眠不足による肌トラブル回復のケアを(睡眠コラム2) – 第一三共ヘルスケア
※These Photos Of Jodie Kidd Show The Alarming Effect Sleep Deprivation Has On Your Skin – HuffPost UK Life
※睡眠軽んずべからず! – 板谷耳鼻咽喉科
※健常者におけるコルチゾール上昇と筋力・筋肉量の因果関係を解明 – 九州大学
※How Much Sleep Do You Really Need? – National Sleep Foundation
※第3章 睡眠検査 – 日本臨床衛生検査技師会
※年代別入浴時体温変化の身体に及ぼす影響 ~日本ハイパーサーミア学会第33回大会で報告~ – バスクリン
※Fiber and Saturated Fat Are Associated with Sleep Arousals and Slow Wave Sleep – Journal of Clinical Sleep Medicine
※週末寝だめ、1日6時間の睡眠では返済できない?──「睡眠負債」を返済する方法とは – リクルート
※日本睡眠教育機構 監修 宮崎総一郎・佐藤尚武 編著『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』(2013年)全日本病院出版会