「もしかして、これは更年期症状?」と思ったときは、どのような病院に行けばいいのでしょうか。
閉経に伴う女性ホルモンの分泌量低下が原因で、さまざまな不調を引き起こす場合があります。正しく対処をするためにも、病院選びはとても大切です。
今回は、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、更年期の病院選びについて教えていただきました。
■更年期かな?と思ったら婦人科・更年期外来へ
早ければ40代から起こる更年期症状は、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が減少することで自律神経が乱れ、さまざまな箇所で不調が起こります。
もしも更年期が疑われる場合は、まず、婦人科や更年期外来を受診してみましょう。
婦人科や更年期外来は更年期の症状に詳しい機関であるため、他の医療機関で診てもらうよりも、更年期が原因かどうかが判明しやすいです。
というのも、更年期症状にはさまざまなものがあり常に変動するため、内科などの別の医療機関でははっきりとした診断が難しいことがあります。
また、他に原因があった場合のことも考えて、婦人科や更年期外来がある総合病院で診てもらうのもおすすめです。
イライラや気分の落ち込みなどストレスからくる心身症の場合もあるため、心療内科を併診している医療機関の受診が望ましいこともあります。
■病院での診断の流れ
更年期かどうかを診断する一般的な流れは、下記の通りです。
問診
医師は診察時の症状しかわからないため、普段の生活のなかでどのような症状が起きているのか、また、アレルギーや服薬の有無などを知る必要があります。
とくに、更年期症状などのホルモン系や自律神経系はまばらに症状が出るため、診断が難しいことがあります。
確かな診断をするためにも、問診は欠かせません。
検査
更年期かどうかを調べる検査方法は「血液検査」です。
血液ホルモンの中でも強い作用をもつエストロゲン「エストラジオール」の場合、血液濃度は20〜40歳の性成熟期で20〜200pg/mlあります。一方、更年期に入ると20以下、閉経すると5以下に変わっていきます。
更年期であることがわかった後は、子宮や卵巣、乳ガンの検査、骨量測定を行います。
40代以降になると女性特有のガンの発症率が高くなることや、骨量が低下し「骨粗しょう症」を発症しているケースが多いため、検査を行うのが一般的です。
診断・投薬
検査結果を医師から伝えられ、今後の治療や過ごし方、投薬についての説明を受けます。
投薬治療には、不足しているエストロゲンを補う薬を服用する「ホルモン補充療法」があり、更年期の各症状を緩和させることが可能です。
うつ症状などが見られる場合は、対症療法として抗うつ剤や、抗不安薬などを処方する場合もあります。
投薬を希望しない場合は、生活習慣の改善指導やカウンセリングなどの心理療法で、緩和・改善を目指すことも可能です。
■更年期症状との見分けが必要な病気
実は更年期症状によく似た別の疾患であるケースもあり、必要に応じて専門医の受診が必要になることもあります。
息切れや動悸がする
貧血、不整脈、低血糖症、狭心症など
めまいやふらつきがある
脳に関する疾患、低血圧など
不正出血がある
子宮内膜症、子宮頸ガン、子宮体ガンなど
汗を大量にかく、からだがほてる
バセドウ病、甲状腺の疾患など
イライラする、気分が落ち込みやすい
うつ病
■更年期の治療には漢方薬が処方されることも
女性ホルモンを補う薬や対症療法、生活習慣の改善といった治療方法だけでなく、漢方薬が処方されることもあります。
漢方薬は、更年期症状の原因となる、血流や自律神経、ホルモンバランスの乱れを整えることで、心身の不調の根本改善を目指します。
漢方薬は自然の生薬の組み合わせで作られており、心とからだのバランスを回復させるため、さまざまな不調を訴える更年期女性に対してはとくに有効とされています。
更年期によく使われる漢方薬には次のようなものがあります。
更年期におすすめの漢方薬
加味逍遙散(かみしょうようさん)
疲れやすく、イライラしがちな方に。血行を改善して自律神経を整えることで、ホットフラッシュ(ほてりやのぼせ)や、イライラ、気分の落ち込みなど、精神不安がある更年期症状に用いられます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
精神不安があり、動悸や不眠を伴う方に。気(エネルギー)の流れを整えて、からだにこもった熱を冷ますことで精神を安定させ、不眠や更年期神経症、高血圧などに用いられます。
■更年期症状かも?と思ったら婦人科・更年期外来へ
更年期症状が疑われる場合は、基本的に婦人科・更年期外来で診てもらうことをおすすめします。
更年期症状は常に変動するため、更年期症状について詳しい機関でなければ診断が難しい場合もあります。
ただし、からだの不調の原因が別にあることも考えられるため、他の機関と連携ができる婦人科系がある総合病院で診てもらうといいでしょう。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)は10万人の患者が癒されたポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
【前回の記事】
・更年期世代は要注意!帯状疱疹の原因と対策
・ホットフラッシュの原因は?更年期世代がすべき対策
・春の冷えに要注意!40・50代がすべき春の冷え対策
・更年期は春の肌荒れに注意!春のスキンケアのコツ
【関連記事】
・更年期に●●は逆効果?やってはいけないNG対策
・誰にも聞けない…更年期の陰部のヒリヒリのケア法
・更年期不調に◎40・50代におすすめのお茶5選
・更年期は要注意!口臭がする人のやりがちNG習慣