ダイエットをしようと思っていても、ついついムダに食べてしまい、なかなか体重が落とせないことがありますよね。なぜムダ食いが発生してしまうのでしょうか?
女性の体型改善専門パーソナルトレーナーの筆者が、ダイエットの敵であるムダ食いが起こる原因や、防ぐ方法について解説します。
■そもそもムダ食いとは何か?
ムダ食いとは、「意志に反してついつい食べてしまうこと」です。
体重を落とすためには、摂取エネルギー量を消費エネルギー量より少なくすることが必要。そうすることで脂肪などが落ちて、体重が減少します。
ダイエット中の食事は、摂取エネルギー量を消費エネルギー量以下に抑えるように考えて摂ります。しかしダイエット中には、自分の意志に反して食べるつもりのなかったものを食べてしまい、余計なエネルギーを摂取してしまうことがあります。
このような、元々食べる予定がなく、我慢するつもりだった食事を、意志に反して食べてしまうことが「ムダ食い」になります。
■ムダ食いが起こる原因
(1)睡眠不足
睡眠不足は、ムダ食いを起こす大きな原因です。食欲増進ホルモンが多く分泌され、食欲抑制ホルモンの分泌が減少するからです。
食欲を増進するホルモンはグレリン。胃で分泌されているホルモンですが、分泌量が増加すると食欲を増進し、食事を摂ることが我慢しにくくなります。
一方で、食欲を抑制するホルモンはレプチン。脂肪細胞から分泌されるホルモンで、食欲を抑える作用があります。
睡眠不足になると、グレリンの分泌が増加し、レプチンの分泌が低下。食欲が増加してムダ食いの原因となってしまうのです。
(2)速すぎる減量ペース
減量ペースが速すぎると、ムダ食いが起こりやすくなります。食事量が足りなくなり、満腹感が得にくくなるからです。
当然の話ですが、摂取エネルギー量を減らせば減らすほど食事量は少なくなります。食事量が少なくなると満腹感も満足感も得にくくなり、ストレスがたまっていきます。
最初はそのストレスも我慢できるかもしれません。しかし、それが継続することでいつかストレスが爆発。ムダ食いが起こり、ダイエットに失敗してしまうのです。
(3)目の届く範囲にお菓子が置いてあること
目の届く範囲にお菓子が置いてあると、ムダ食いの原因になります。見える場所にお菓子がおいてあると、お腹がすいていなくても食べてしまうからです。
人間は視覚情報によっても食欲が刺激されます。目の届く位置にお菓子など美味しそうなものがおいてあると、食欲が刺激され、お腹が空いていなくても手に取って食べてしまいます。
■ムダ食いを起こさないためにするべきこと
(1)6時間以上の睡眠時間をとる
睡眠不足からのムダ食いを防ぐためには、1日6時間以上の睡眠を目指しましょう。レプチンの分泌を促し、グレリンの分泌を抑えられるからです。
必要な睡眠時間は個人差が大きく、一概に「この睡眠時間が正解」という時間はありません。
しかし、睡眠時間が5時間程度でもグレリン分泌量は増加するという調査報告があり、それ以下にすることはあまり推奨されません。
厚生労働省は6〜8時間の睡眠時間を推奨しており、現実的な生活習慣を考えても、6時間以上の睡眠時間をとることをおすすめします。
(2)減量速度は1ヶ月で1.5%程度
体重を落とす速度は、1ヶ月間で現在の体重から1.5%程度減をおすすめします。この程度が、無理な食事規制をすることなく体重を落とせるからです。
世界最大のトレーナー・トレーニング科学者の団体NSCAのガイドラインにより、勧められている減量速度は、半年間で現在の体重の10%程度。
つまり、体重60kgであれば、半年後に目標とするのは54kgであるということです。
これをわかりやすく月換算にすると、減量速度は毎月1.5%強のペース。実際にダイエットコーチングをしていても、無理のない食事内容になると感じています。
SNSなどに出てくる「2ヶ月で−10kg」などは、かなり無謀な目標です。ゆっくりと着実に健康的なダイエットを行いましょう。
(3)お菓子の買いだめをしない
お菓子を家や職場に置いておかず、都度買いにすることで、ムダ食いを防ぐことができます。お菓子が手元にあるから食べてしまうのであれば、手元に置かなければいいのです。
人間は視覚からも食欲が刺激されますが、目に映らなければ、そもそも視覚から食欲が刺激されません。
そのためには、家にお菓子は置かず、本当に食べたいときだけ手間をかけて買いに行く「都度買い」にすることで、ムダ食いを防ぐことが可能になります。
以上のように、ムダ食いの原因は、睡眠不足や速すぎる減量ペース、目の届く範囲にお菓子を置くことで食欲を刺激することです。睡眠は少しでも長くとることで効果を発揮しますし、都度買いも今すぐに取り入れられます。また、減量ペースが早すぎる場合は、後々で食欲が爆発してしまう恐れがあることを理解しましょう。
今回解説した内容を参考にして、ムダ食いを防いで、女性的で美しい体型を作っていきましょう。
(パーソナルトレーナー 藤本 千晶)
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【参考】
※Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin, Elevated Ghrelin, and Increased Body Mass Index – PROS
※健康づくりのための睡眠指針2014 – 厚生労働省※ジャレッド・W.コバーン、モー・H.マレク 著『NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識』(2013年)NSCAジャパン