「年齢のせいか脂肪が目立ち、メリハリのないもっさり体型になってきた……」と悩んでいる方がいるかもしれません。
その場合、年齢のせいにしてあきらめるより睡眠前の習慣を考えてみることで、体型崩れを防ぐことができるかもしれません。
睡眠は体型に大きな影響を及ぼすと考えられるからです。
女性の体型改善専門パーソナルトレーナーの筆者が、体型崩れを防ぐ、夜寝る前の睡眠の質を改善してやせる習慣についてご紹介します。
■睡眠の質が悪いともっさり体型になるかも!?
睡眠の質が悪いと、体型に悪影響の出る可能性が考えられます。脂肪を燃焼させ、筋肉を維持するホルモンの分泌が減少し、脂肪増加・筋肉量の減少につながるかもしれないからです。
脂肪を燃焼させ、筋肉を維持するホルモンは「成長ホルモン」。子どもに分泌され骨を成長させるホルモンとして有名ですが、大人でも睡眠中に分泌されます。
成長ホルモンは深い睡眠をとっているときに分泌が促されるため、睡眠の質が低下し浅い眠りが多くなると、分泌量が低下します。脂肪を落とさずに筋肉を多く落としてしまうかもしれません。
ですから、睡眠の質を改善させることはとても重要なのです。
■睡眠の質を改善する、夜寝る前の「やせる習慣」4つ
(1)睡眠2時間前までにお風呂から上がる
お風呂は、眠りにつく2時間前までに上がるようにしましょう。上がった体温を睡眠に適切な体温にまで下げるのには時間がかかるからです。
スムーズな就寝には、深部体温が適切な温度にまで下がる必要があります。深部体温とは体内の温度のこと。日中は上がって活動的になり、夜には下がって眠気が促されるのです。
深部体温が下がることで眠気が促されますが、お風呂に入り体を温めることで、逆に深部体温を上昇させ覚醒させてしまいます。そのため、寝るまでに深部体温を十分に下げる時間が必要です。
ぬるま湯で長時間のお風呂は睡眠にとって効果的と思われていますが、寝る直前まで入っていては逆効果になりかねません。
深部体温を下げるには、2時間程度時間が必要です。時間に余裕を持ってお風呂に入るようにしましょう。
(2)睡眠2時間半前までに軽い運動を終える
夜に運動する場合は、睡眠の2時間半前までに終わらせるようにしましょう。深部体温をしっかり下げるための時間が必要になるからです。
入浴とともに、深部体温を大きく上昇させるのが運動です。軽い運動でも深部体温は上昇し、下がるまで寝付きにくくなるため、寝る直前に行うと睡眠の質を悪化させてしまう可能性があります。
しかし、仕事をしていると日中に運動をする時間はなかなかとれません。ですから、現実的には夜に運動を行うことになります。
運動をするときは、ほとんど入浴の前に行われると思います。ですから入浴を睡眠の2時間前程度に終わらせられるように、それよりも少し早い2時間半前に運動を終わらせるように心がけましょう。
(3)夜の食事は高食物繊維・低脂質・低炭水化物
夜の食事を高食物繊維・低脂質・低炭水化物にすることで睡眠の質が改善されるかもしれません。
高脂質・高炭水化物の食事は、メラトニンの分泌量を低下させると考えられます。メラトニンは生体リズムを調整するホルモンで、夕方から夜にかけて分泌されます。催眠作用をもち、人を眠りに導きます。
メラトニンの分泌量が減少すると、睡眠の質低下に繋がるため、適量を分泌させる必要があります。
しかし、高脂質・高炭水化物の食事が睡眠の質を悪化させたとの報告がコロンビア大学からなされており、主な要因はメラトニン分泌量の低下と考えられています。
コロンビア大学の同じ調査で、高食物繊維の食事をすることで睡眠の質を改善されたと報告されており、高食物繊維・低脂質・低炭水化物の食事は睡眠の質を改善させると考えられます。
より良い睡眠は体型崩れ防止に繋がりますから、できるだけ食物繊維を多くとり、脂質・炭水化物の摂りすぎに注意しましょう。
(4)ライトは電球色・少し暗い程度で過ごす
夜間、部屋のライトは電球色で、少し暗い明るさにして過ごしましょう。明るすぎることでメラトニンの分泌量を低下させます。
お部屋のライトの色はメラトニンの分泌に影響を与えます。昼間の白色に近い昼白色や昼光色は体を覚醒させ、メラトニン分泌量を低下させます。
メラトニン分泌を妨げないのはオレンジがかった電球色。ですから、電球色にできるのであれば電球色で過ごすようにしましょう。
また、明るさもとても大切。明るすぎるとメラトニン分泌を妨げてしまいます。
ほとんどのシーリングライトはお部屋の広さに合わせて選べば問題ありませんが、もしお部屋が8畳なのに12畳用のライトを使うなどしていたら要注意です。明るすぎて体を覚醒させてしまうかもしれません。
明るさ調整ができるものであれば、1〜2段階暗くして、体を目覚めさせないように気をつけましょう。
睡眠は時間だけでなく質もとても大切です。深い睡眠を長い時間とることが体型を維持するために大切なポイントになりますから、寝る前の習慣を変えて、美しいスタイルを維持していきましょう。
(パーソナルトレーナー 藤本 千晶)
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【参考】
※成長ホルモンと減量 – 総合南東北病院
※睡眠関連ホルモンの計測(PDF) – 日本生体医工学会
※Fiber and Saturated Fat Are Associated with Sleep Arousals and Slow Wave Sleep – Journal of Clinical Sleep Medicine