ダイエットのために「糖質制限」をする方は多いのではないでしょうか。もちろん、糖質の摂り過ぎはよくありませんが、全く摂らないというのも健康にはNGです。
管理栄養士の筆者が、糖質制限の注意点や、40・50代に適した糖質量をご紹介します。
■過度な糖質制限はNG!?その理由とは
摂り過ぎると太ってしまうことから、ダイエットでは懸念されがちな「糖質」ですが、実は身体にとって重要な役割を担っています。
糖質は、最終的に「ブドウ糖」などの単糖に分解されますが、脳はブドウ糖しかエネルギーにすることができません。そのため、糖質を制限し過ぎると、フラフラしたり集中力が低下したりすることがあります。
また、糖質を制限し過ぎると、身体は筋肉を分解してエネルギーを作り出します。筋肉量が低下してしまうと基礎代謝も低下するため、結果として痩せにくい身体になってしまいます。
40・50代以降は特に健康管理が重要になるため、糖質をかしこく適度に摂っていきましょう。
■40・50代に適した糖質量とは
必要な糖質量というのは、明確に決まっているわけではありません。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、糖質を含む炭水化物から摂取するカロリーは、1日の総摂取カロリーの50~65%とされています。
1日に必要な糖質量の例
1日の総摂取カロリーは、体格や活動量よって異なります。例えば、30~49歳女性でデスクワークを仕事にしている場合(身体活動レベルⅡ)、良好な栄養状態を維持するために必要なカロリーは2,050キロカロリーだとされています。
この場合、炭水化物から摂取するカロリーの目安は約1,000~1,300キロカロリーとなります。炭水化物は1グラムあたり4キロカロリーなので、約250~325グラムの炭水化物を摂取する必要があるということになります。
炭水化物約250グラムというと、お茶碗に3杯と少しのご飯くらいに相当するため、意外と量が多いことがわかります。
とはいえ、炭水化物が多いご飯や麺類は、多いと感じていても食が進みやすいものなので、つい食べ過ぎてしまうかもしれません。無理をせずにかしこく糖質をカットするためには、どう工夫すれば良いのかをご紹介します。
■無理なく糖質量を抑えるコツ3つ
(1)かさ増しをする
ご飯を炊く際に、しらたきやカリフラワー、おからを混ぜ込んで“かさ増し”をしましょう。これらの食材は「食物繊維」が豊富なため、便秘解消にもおすすめですよ。
食感や味も想像以上に自然なため、無理なく続けることができるかと思います。
(2)温かい飲み物と一緒に食べる
ご飯や麺類、パンなどの糖質が多いものを食べるときは、必ず温かい飲み物も一緒にとりましょう。温かい飲み物と一緒に食べることで、早食いを予防できます。
特に、コーヒーに含まれる「カフェイン」や、緑茶に含まれる「カテキン」には、脂肪を燃やす効果や体脂肪を減らす効果が期待できるため、糖質が多いものを食べるときは温かいコーヒーか、緑茶がおすすめです。
GI値が低いものを選ぶ
食後の血糖値上昇を示す指標である「GI値(グリセミック指数)」が、なるべく低いものを選びましょう。例えば、糖質を含む食品でも、「食物繊維」が豊富な玄米やライ麦パンはGI値が低いことがわかっています。
GI値が高いと、血糖値を下げるために「インスリン」がたくさん必要になり、余分な糖質が脂肪として蓄積されやすくなります。
健康やダイエットのためにも、GI値が低いものを選ぶようにしましょう。
誰しも、身体に負担を与えることなくダイエットや健康維持に力を入れていきたいですよね。懸念されがちな「糖質」ですが、身体には欠かせない栄養素です。ご紹介した工夫を参考にして、糖質をかしこく食事に取り入れてくださいね。
(フリーランス管理栄養士 今井 尚美)
【関連記事】
・朝の1杯で老ける!?朝イチで飲んではいけない飲み物
・コーヒーに●●を足すだけ!痩せ効果UPの飲み方
・おにぎり+●●で痩せる!痩せ効果UPの食材3つ
・実はNGな「納豆の食べ方」3つ
【参考】
※三大栄養素の炭水化物の働きと1日の摂取量 – 健康長寿ネット
※糖尿病の食事に「グリセミック・インデックス」を導入 血糖値の急上昇を避ける食べ方 – 糖尿病ネットワーク
※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書(エネルギー・炭水化物) – 厚生労働省