「年齢を重ねると、太りやすく痩せにくくなる」と感じる人は多いと思います。実際に、更年期を迎えると太りやすくなると考えられています。
では、なぜ太りやすくなるのでしょうか?
女性の体型改善専門パーソナルトレーナーの筆者が、更年期に太りやすくなる原因について解説し、年齢を重ねても美しい体型を保つための効果的な方法をご紹介します。
■更年期は太りやすくなる
そもそも、更年期に入った女性は太りやすくなります。その原因は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少するからです。
女性ホルモンであるエストロゲンは女性の生理機能をコントロールしていますが、十分に分泌されることで内臓脂肪の合成を抑える働きがあります。
しかし、更年期に入り女性ホルモンの分泌が減少すると、内臓脂肪の合成を抑える働きが弱くなり、内臓脂肪が増加しやすくなるのです。
脂肪は重さに対してサイズが大きい組織で、増えると体のサイズが大きくなり、見た目にも垂れ感がでてきます。
エストロゲンの分泌量低下は防ぐことができません。ですから、内臓脂肪の合成を防ぐための対策をとる必要があります。
■年齢を重ねても美しい体型を保つための方法
(1)7〜9時間の睡眠をとる
内臓脂肪の合成を防ぐためには、十分な睡眠をとることが最も大切です。十分に寝ることで脂肪の分解を促し、筋肉量をキープしやすくなります。
十分な睡眠時間をとると脂肪を分解し、筋肉を合成する成長ホルモンが十分に分泌されます。そのため、太りにくくなることにつながるのです。
一方、更年期は睡眠に導くホルモンであるメラトニンの分泌が減少し、睡眠の質も時間も低下しやすくなります。
ですから、メラトニンの分泌を阻害したり睡眠の質を下げるような行動を避けるべきでしょう。
代表的な避けるべき行動は寝酒です。寝る前のお酒は入眠をスムーズにしますが、アルコールが抜けてくるとともに覚醒しやすくなり、トータルで睡眠の質を低下させます。
また、見落としがちなのがお風呂に入るタイミングです。ベッドに入る直前にお風呂に入ることは、体温を上げて身体を覚醒状態にして、睡眠の質も量も低下させます。
できるだけ、睡眠予定時刻の2時間前にはお風呂から上がるように、心がけましょう。
(2)お肉・お魚を食べる
更年期太りを防ぐために大切なのは食事です。特に、普段からお肉・お魚を食べることが大切です。
お肉・お魚にはタンパク質が多く含まれています。タンパク質は筋肉の主な原料となり、しっかりとることで筋肉量の減少を抑え、筋肉量を保ちやすくなります。
筋肉量を保つことで、その分脂肪の増加が抑えられて、体型崩れを防ぎやすくなります。
特に、動物性のタンパク質であるお肉やお魚は、大豆などの植物性タンパク質よりも筋肉が作られやすく、積極的にとってほしいところです。
おすすめのお肉は、牛モモ肉や豚モモ肉、ヒレ肉。タンパク質が多いことはもちろん脂質が少なくビタミン・ミネラルが豊富なため、健康的な体を保つのにおすすめの食材です。
ですから、毎食意識してタンパク質が含まれるお肉・お魚を食べましょう。
(3)目標は1日8,000歩!運動を習慣化する
内臓脂肪の増加を防ぐためには、運動をすることもとても大切です。
運動をすることによって、脂肪を分解しエネルギー源として利用するため、内臓脂肪の増加を妨げ、減少を促すことにつながります。
どのような運動でも効果があると考えられていますが、筋トレよりも有酸素運動の方が時間当たりの消費エネルギー量が大きく、おすすめできます。
体力に不安がある40・50代で、いきなり激しく長い運動をするのは難しいかもしれません。ですから、まずはスマホや万歩計を利用し、歩数を増やすことから始めることがおすすめです。
目安は、1日8,000歩ほどを目標にして、ここに近づけるように意識すると良いでしょう。
年齢を重ねると、代謝の低下やエストロゲンの分泌量の減少などが起こり、徐々に太りやすい体質に変化します。健康的に美しい身体を維持するためにも、睡眠・食事・運動に気をつけて体づくりをすすめていきましょう。
(パーソナルトレーナー 藤本 千晶)
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【参考】
※更年期と内臓脂肪(visceral fat accumulation in menopausal and post-menopausal periods) – 慶應義塾大学
※高齢者の睡眠 – 厚生労働省
※内臓脂肪減少のための運動 – 厚生労働省
※身体活動・運動の推進 – 厚生労働省