40歳を超えると体型の変化が目立つようになります。「体重はほとんど変わっていないけれど、お腹が出てきた」「お尻が垂れてきた」ということが気になり始める人も多いでしょう。
それには、日々の生活習慣が深く関係しています。
体型改善の専門家であるパーソナルトレーナーの筆者が、年齢により太りやすくなった身体を痩せやすい身体に導く生活習慣をご紹介します。
■体型が変化する原因
運動不足
体重があまり変わらないのに体型が大きく変わってしまう最も大きな原因に、運動不足が挙げられます。定期的な運動をしていない場合、加齢とともに筋肉量も筋肉の柔軟性も低下していきます。
体重が変わらないで筋肉量が減るということは、その部分に脂肪が増えるということです。脂肪は筋肉と同じ重量でも20%ほどサイズが大きく、柔らかく下に垂れるという性質があります。そのため、昔は平らだったお腹もぽっこりと出てきたり、背中に余計な肉が乗ってしまうということが起こります。
また、筋肉が固くなると姿勢が崩れ、猫背や反り腰といった姿勢になりやすくなります。反り腰になるとお腹を前に突き出す姿勢になるので、ぽっこりとお腹が出てきてしまいます。
ですから、日々の運動やストレッチが不足している場合、筋肉量や姿勢・骨格の乱れから体型が崩れてきてしまいます。
「タンパク質」が少ない食事
体型が崩れる原因として筋肉量の減少や姿勢の変化が主に考えられますが、それに最も大きな影響を与えるのは定期的な運動習慣です。しかし、定期的な運動習慣があっても、筋肉量の減少や姿勢の変化を招くことがあります。
その大きな原因として食事内容が考えられます。特に、「タンパク質」が不足した食事内容では、十分な運動をしていても徐々に筋肉量が低下しやすくなります。
筋肉量の低下が起こると身体を支える力が弱くなるため、骨盤や背骨を正常な位置で保つことがむずかしくなります。その結果、姿勢の変化も同時に起こると考えられます。ですから、普段の食事でタンパク質が不足してる場合は、体型が崩れやすくなってしまうでしょう。
睡眠不足
あまり注目されない項目ですが、体型に対して睡眠は非常に大きな影響を与えます。睡眠時間が短すぎると、運動をして十分なタンパク質を含んだ食事をしても、筋肉量を保つことがむずかしくなります。
例えば、シカゴ大学医学部の研究者Nedeltchevaらが行った調査では、8.5時間と5.5時間の睡眠時間グループの身体の変化が比較され、両グループともに約3kg体重が落ちたものの、5.5時間グループの脂肪は0.6kgしか落ちず、それ以外の筋肉などの組織が2.4kg落ちたという結果が発表されました。
睡眠研究の学術研究を行っているNational Sleep Fundationは、成人女性に対しては7〜9時間の睡眠を推奨しています。十分な睡眠時間を確保するように意識しましょう。
■体型を保つための毎日の習慣
ながら運動・ストレッチ
定期的に週2回程度運動する時間がとれるなら問題はありませんが、現実的にはなかなか時間はとれませんよね。ですが、ちょっとしたスキマ時間に行う「ながら運動」や「ストレッチ」をすると、体型崩れを防ぐことにつながります。
ポイントを抑えて行うことで、体型を改善する効果が期待できます。つやプラのインスタグラムにはながらエクササイズやストレッチが多数掲載されていますので、ぜひ行ってみてください。
長時間座っているなら、立ち座りやストレッチ
長時間座りっぱなしでいると身体全体が固くなりやすく、姿勢を悪くさせる大きな原因につながります。背筋が伸びた姿勢でいたとしても、ずっと同じ姿勢でいることで特定の筋肉に刺激が偏ってしまい、姿勢を崩しやすくなります。
これを防ぐためには、時間を決めて定期的に姿勢を変えたり、ストレッチをして固くなった身体を柔らかくすることがおすすめです。筆者はパソコン作業が続く時は50分作業:10分休憩をし、タイマーをセットして10分休憩の時にストレッチをしています。
定期的に身体を動かすように意識してみましょう。
毎食、肉か魚を食べる
タンパク質を十分にとるために最も効果的なのが、肉や魚を食べることです。太りやすいというイメージが強い肉や魚ですが、脂質の少ない部位や種類を選ぶことで、非常にヘルシーな食材となります。
毎食(生の状態で)100g程度の肉や魚をとることで、十分なタンパク質を摂取することができると思います。もし、肉や魚が苦手というのであれば、プロテインサプリメントを活用しましょう。
寝る前のスマホやテレビの使用をやめる
7〜9時間の睡眠時間確保がむずかしくても、寝つきを早くして実質的な睡眠時間を長くすることで、体型改善効果を上げることにつながります。そのなかで最も手軽に行えることが、寝る前のスマホやテレビの使用をやめることです。
強い光には覚醒作用があり、眠りにつくまでの時間を長くする場合があります。特に、スマホやテレビなどの光を目の前で受け続けると覚醒しやすく、眠るまでの時間が長くなりがちです。
ですから、寝る30分前ぐらいからスマホやテレビの使用をやめて、寝室へ向かいましょう。筆者は寝る30分前にスマホをキッチンで充電し、寝室には本や雑誌を置いて寝る前に読んでいます。起きる時は目覚まし時計を使っています。
スマホを遠ざけるだけでも大きく変わりますので、ぜひ試してみてください。
寝る直前のストレッチ
寝る直前のストレッチも入眠を良くします。ストレッチは副交感神経を優位にする働きがあるので、身体全体をリラックスさせ、寝つきを良くさせる効果が期待できます。
姿勢改善や運動不足改善も行えて一石二鳥ですので、ベッドの上で寝る前にストレッチを試してみてください。
健康的で美しい身体を保つためには、運動・食事・睡眠が非常に大切です。できることから生活習慣を見直して、スッキリとした美しい身体を作っていきましょう。
(パーソナルトレーナー 藤本 千晶)
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【参考】
※Insufficient sleep undermines dietary efforts to reduce adiposity – NCBI