年齢を重ねるにつれ「昔よりも痩せにくい」と感じる人も多いのではないでしょうか。その原因は、もしかしたら足裏の筋肉に問題があるかもしれません。
今回は、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師でヨガインストラクターの碇純子さんに、足裏の筋肉と太りやすさの関係について教えていただきました。
■太りやすい原因は「足裏」にあり?
足裏の筋肉は、足のアーチ(足底の凹凸)を支える重要な役割を果たしています。この足裏の筋肉が弱くなると、足のアーチが崩れて、足裏にかかる体重が分散されずに偏ってしまうのです。
具体的な名称としては、扁平足(へんぺいそく)やかかと重心、外反母趾(がいはんぼし)、浮き指(足裏を床につけたときに床から足指が浮いている状態)が挙げられます。
これらは歩行や運動の効率低下や姿勢の悪化につながり、血行不良を引き起こすことから、むくんだり、太りやすい体質になったりする恐れがあるのです。
■足裏でわかるデブ化診断チェックリスト
実際にどのような足裏が太りやすいといわれているのでしょうか。具体的な特徴は下記の通りです。
・全体的に四角い形をしている
・かかとの皮膚が厚い
・土踏まずのアーチ部分(消化器ゾーン)の色が悪い
・土踏まずが潰れている
・足裏の色が赤っぽい
・触るとガッチリしている
・横幅が広い
これらに当てはまる人は、次でご紹介するセルフケアを実践してみてください。
■太りやすい足裏へのセルフケア
チェックリストに当てはまる項目があった場合は、歩行時に足裏の筋肉を正しく使ったり、足裏の筋肉を鍛えたりすることで改善を目指しましょう。
次のアイテムやエクササイズを取り入れてみてください。
テーピング靴下
足裏の筋肉をバランスよく使うには、3本指のテーピング靴下を履くのがおすすめです。
3本指のテーピング靴下は、足の親指と小指を外側に広げ、横幅を締めて足のアーチを整えます。外指が開きやすくなり、歩行時に地面をしっかり掴めるようになるので、足裏の筋肉を正しくしっかり使えるようになります。
また、足裏の着地点を安定させることで、脚全体の負担も軽減されます。
ネットショッピングで「外反母趾 靴下」「3本指 靴下」などと検索してチェックしてみてください。
足に合った靴を履く
自分の足に合った靴を選びましょう。とくに、実際の足のサイズよりも大きな靴を履いている場合は要注意です。
大きい靴を履くと、靴の中で足が滑って足指が靴の前方で詰まります。足指をしっかり動かして歩くことができないため、足裏の筋肉が弱ってしまうのです。
靴を選ぶときは「歩くときにパカパカしないか」「靴の中で足指の曲げ伸ばしができるか」をチェックしましょう。
自分に合った靴の見極めが難しいときは、靴の専門店で相談したり、オーダーメイドの靴を作ったりするのもいいでしょう。
足指体操
足指体操で、足裏の筋肉を鍛えましょう。
指を動かす筋肉は足裏の広範囲に広がっているため、足指を動かすことで足裏全体をバランスよく使えるようになります。また、足指体操はむくみや冷えも改善できるので、血行や代謝もよくなります。
(1)足指で「グー・チョキ・パー」をする。
(2)左右10回ずつを目標に無理のない範囲で実践する
(3)終わったあとは、足指の間に手の指を挟んで、握ったり緩めたりして足をリラックスさせる
慣れていない場合は足指がつる可能性もあるので、無理のない範囲で行ってください。
■太りやすい体質には漢方薬もおすすめ
血行不良やむくみによって太りやすくなっている場合には、漢方薬を併用するのもおすすめです。
漢方薬は、「水太り」「脂肪太り」「ストレス太り」などの症状に効果が認められています。足裏へのアプローチをしながら飲むことで、相乗効果が期待できるでしょう。
ダイエット目的で漢方薬を飲むときは、下記のような働きのあるものを選んでください。
・代謝を上げて、運動の効率をよくする
・水分の循環をよくして水太りを改善する
・脂肪燃焼をサポートする
・余分な脂肪を便と一緒に排出する
・自律神経を整えてストレス過食を防ぐ
漢方薬は自然由来の生薬でできているので、副作用も少なく、太りにくく健康的な体質作りの手助けをしてくれます。
ダイエットにおすすめの漢方薬
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
便秘がちで、おなか周りに脂肪がつきやすい人に向いています。体内にたまった余分な老廃物を尿や便と一緒に排泄するとともに、脂質代謝、脂肪分解・燃焼を促し、肥満症を改善します。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
疲れやすく汗かきの人に向いています。水分代謝を整えることで、余分な水分を体外に排出し、水太りやむくみに働きかけ、肥満症を改善します。
慢性的にむくみや肥満が気になる場合には、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
最近はオンラインで薬剤師に相談できるサービスなどもあるので、試してみるのもいいでしょう。
■足裏の筋肉にも注目して健康的な体型を目指そう
普段はあまり意識しない足裏の筋肉ですが、実はダイエットに深い関わりがあります。定期的に状態をチェックしてセルフケアを実践し、痩せやすいからだを目指しましょう。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)は10万人の患者が癒されたポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
【漢方部分監修者:碇純子(いかりすみこ)さん プロフィール】
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師/修士(薬学)/博士(理学)。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いから、オンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
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【参考】
※鈴木きよみ 著・監修『すべての不調は足裏を見ればわかる!』(2021年)ワン・パブリッシング