ジメジメして過ごしにくい梅雨時期。気分がなんとなく晴れないだけではなく、薬膳の世界では多湿によってむくみやだるさのほかに、肌のたるみを引き起こしやすい時期だともいわれています。
梅雨時期を快適に過ごすためにも肌のためにも、食事に気を配りましょう。
ずぼらだけど国際薬膳調理師である筆者が、むくみ改善と老け対策におすすめな簡単スープのレシピをご紹介します。
■むくみやすい方は梅雨時期こそケアが大切
「梅雨時期にむくみや気持ちの落ち込みを感じやすくなる」という方は多いのではないでしょうか。それは、自然界と同じことが身体の中でも起きやすいと薬膳のベースである中医学(中国伝統医学)では考えるからです。
自然界がジメジメしていると人間の身体もスポンジのように水を体内に溜め込みやすくなるので、一年のなかでも梅雨はむくみやすい時期です。
歳を重ねるほど、むくみを感じやすくなる
歳を重ねるほど、むくみを感じやすくなる傾向にあります。それは、中医学では「腎(じん)」という臓腑が水分調整を行っているので、腎が弱ると水分を排泄する機能が低下しやすくなりむくみを招きます。
この腎は、女性の場合7の倍数で変化するとされており、28歳をピークに35歳、42歳、49歳とどんどん腎の働きが落ちていきます。なので、40代以降の方はむくみ対策も忘れずに意識していきましょう。
梅雨は肌のたるみリスクが高まる?
梅雨時期は、肌のたるみが出やすい時期ともいわれています。それは、この時期は湿気に弱い「脾(ひ)」という胃腸系システムが弱りやすいからです。
脾には、肌のツヤ・弾力・ハリの源ともいわれ、皮膚に栄養やうるおいを運ぶ「気(き)」を作り出す働きがあるので、脾が弱ることで気が不足すると肌たるみの症状が出やすくなってしまいます。脾は湿気が苦手なので、梅雨時期は脾が弱らないように心がけましょう。
■梅雨の不調をやわらげる3つのキーワード
(1)利水(りすい)作用のある食材
余分な水分が溜まることで、身体がむくみやすくなります。余分な水分を追い出す食材を積極的にいただきましょう。
おすすめの食材は、「白菜」「アスパラガス」「とうもろこし」「茄子」「春雨」「黒豆」「グリーンピース」「もやし」です。
(2)脾をいたわる食材
梅雨時期は胃腸の不快感を感じやすいため、脾を労わる食材を積極的に食べましょう。
おすすめの食材は、「黒豆」「ハトムギ」「ネギ」「白菜」「茄子」「にんじん」「生姜」「とうもろこし」
(3)身体を温める食材
脾は冷えると働きが低下しますので、身体を温める効果が期待できる食材を食べましょう。
おすすめの食材は、「生姜」「こしょう」「ネギ」「たまねぎ」「鮭」「まぐろ」「えび」
■煮るまで5分!身近な食材で作る「むくみ改善の薬膳スープ」
梅雨の不調をやわらげる食材を使ったおすすめのレシピをご紹介します。煮る調理法は脾に1番負担が少ないので、スープは日々食べていただきたいメニューです。
材料(作りやすい分量)
・白菜 1/4
・ねぎ 1本(細目であれば2~3本)
・生姜 1かけ
・もやし 50g
・出汁 300g
・春雨 40g
・ツナ缶 1缶
・にんじん 1本
作り方
(1)白菜はザク切り、生姜は薄切りに、ねぎは2~3センチ幅に切り、にんじんはピーラーで剥きます。
(2)鍋の真ん中を開けて白菜を縦に入れ、生姜→にんじん→春雨→もやし→ねぎを入れます。ツナ缶を鍋の真ん中に入れ、出汁を流し入れてフタをして煮ます。
(3)具材がクタクタになるまで煮込んだら完成です。
薬膳ポイント
胃腸を温める「ねぎ」と「生姜」で冷えたお腹をポカポカに温めながら、余分な水分を追い出す「白菜」「春雨」「もやし」をたっぷり使い軽やかな身体に導くスープとなっています。脾を労わる食材もふんだんに使いましたので、肌のたるみケアにもなります。
「ブロッコリー」「エビ」「マッシュルーム」「枝豆」を入れると腎の働きアップを狙えるので、ちょい足ししてみることもおすすめです。
梅雨の時期は、ご紹介したスープをぜひ活用してください。
(薬膳ライフバランスプランナー/国際薬膳調理師/コラムニスト 倉口 ゆうみ)
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【参考】
※櫻井大典著/著(2018年)『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』ナツメ社※日本中医食養学会/著(2006年)『現代の食卓に生かす食物性味表 改訂2版』燎原書店※栗原毅・中山貴弘・陳志清・菅沼栄・楊暁波/監修(2016年)『漢方・中医学がわかる本』宝島社